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試合レポート

相手ペースを修正して終盤には猛攻で追撃するも、好調岡山の堅守を破れず

 

何かが狂ったようにミスが多発し、苦しい展開から先制を許した。修正を重ね、終盤にかけて相手を押し込み猛追したが、ゴール前を固める岡山の牙城を崩すには至らなかった。

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立ち上がりからミスが多く悪循環に陥る

 
何があったのだろうと思うほど、前半はミスが多発した。ピッチ上は見た目以上に強風の影響があったようだが、それにしてもパスが繋がらなさすぎた。この試合に向けてのトレーニングは大雨と強風に苛まれ、コンディションが良くなかった可能性もあるが、判断や動き出しが遅く、ミラーゲームにおいて特に重要となるセカンドボールも、前半はほぼ相手に拾われていた。
 
立ち上がりから相手にクロスを入れられたりサイドを破られたりと続くピンチをしのぎながら、なんとか攻め返そうとするが、意思が噛み合わないようにパスが通らない。前線と中盤が分断されたような状態で、ボールの収まりどころがないままに相手からのプレッシャーを受けて長いボールを前線へと送るが、頂点で孤立した藤本憲明は相手守備陣に潰されてしまう。それでも14分には藤本が抜け出して一森純をかわすビッグチャンスを迎えたが、シュートは枠を捉えきれず。その後もアイデア勝負でゴールを狙うが、苦し紛れな印象に終始した。
 
岡山の度重なるクロスにも粘り強く対応していたが、43分、一瞬の隙を突かれる。上田康太のクロスがワンバウンドしたところを赤嶺真吾が左足でダイレクトボレー。与えてはならない先制点を与えてしまった。
 

修正して終盤は猛攻を仕掛けたが

 
後半立ち上がりも状況が改善しない中、岡山の堅守をこじ開けるために、片野坂知宏監督は選手交代で打開を図った。まずは59分、CB右を竹内彬から岸田翔平へとチェンジし、岸田の攻撃参加に期待する。右サイドで孤立していた松本怜と連係して数的優位を作ることにより、攻撃機会を増やした。
 
続く67分には、前半の相手との接触プレーで痛んでいた後藤優介に代えて川西翔太をシャドーに配置。精度不足でパスがつながらない課題を川西のキープ力と推進力で解決したことで、主導権を奪還する。67分には岡山もイ・ヨンジェを齊藤和樹に代えて前線の守備力を上げようとするが、追撃する大分の勢いは止められない。岡山は80分、伊藤大介を下げて末吉隼也を投入し、3ボランチにしてさらに守勢を強めた。
 
ゴール前をがっちり固める岡山をなんとかこじ開けようと、83分には藤本に代えて林容平を送り込む。ブロックの中でボールを受けて起点となる林に松本や岸田が絡み、ボランチからもミドルシュートを狙うなど猛攻を仕掛けたが、岡山の牙城には隙がない。
 
アディショナルタイムまで激しく攻め続け、松本のクロスを一森が弾いてCKを獲得したところでタイムアップ。1点が遠く、3試合連続無失点で初の開幕3連勝と好調な岡山の前に、今季初黒星を喫した。
 

チーム全体でイメージを共有するために

 
選手交代によって攻撃の時間を増やす修正には成功したが、前半の上手く行かない時間帯を盛り返せなかったことが残念な一戦だった。上手く行かない焦りからか悪循環に陥り、どんどん泥沼にハマっていったような印象を受ける。ピッチに立っている選手はそれぞれの長所も出してはいたのだが、プレー精度の低さや判断の行き違いにより、それがどうにも噛み合っていないように見えた。
 
その苦しい時間帯をベンチで見ていた林は「ミスも多かったし、見ていてエネルギーも感じられなかった。ミスしてもいいからエネルギッシュな試合をしなくてはならない」、川西は「もっと何回もやり直してもいいのになと思っていた。蹴ってしまったり、無理して前に当てて自分たちの時間が短かったりしていたので、間で受けてポジションを取り直してを続けていけばいい」と考えていたようだ。
 
岸田は現在のチーム状況を「見ている人もそうかもしれないが、昨季終盤のイメージが僕たちの中にもある。やっているサッカーは変わっていないのだが、選手が入れ替わったので、昨季からやっている選手がもっと合わせたりコミュニケーションを取ったりする必要がある。やっていること自体は悪くなく、本当にあと少しの部分を合わせていくだけだと思う」と分析する。
 
ポジション別のミーティングなども頻繁に行い、イメージのすり合わせは進んでいる。シーズン最後に笑うことを目指す片野坂監督のマネジメントはまだはじまったばかりだ。ここからの成長曲線に期待しながら、チームが迎える今季初の3連戦を見守りたい。