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試合レポート

勝ち点2を逃した感もありつつ、狙いの形から2得点。苦しみながら打開への姿勢を示す

 

今季初の逆転勝利かと思われた試合は、93分、相手の劇的同点弾によりドローとなった。展開としては終了寸前で勝ち点2を失った形だが、自らの壁を乗り越えようと足掻くチームは、苦しみながらも前進する姿勢を見せた。

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慎重に入った前半は攻撃の形をほとんど作れず

 
連敗を止めたいチームは、まずはバランスを崩さず失点しないことを目標に、慎重に試合に入った。ただ、そのために相手に主導権を明け渡し、攻撃の形を作れないままの前半となる。
 
長身FWケヴィン・オリスにシンプルに当ててくる京都の攻撃に対してセカンドボールをケアするために、ボランチが高い位置を取れない。WBも下がって5バックを形成したため、逆に相手のサイドに勢いを与えることになった。
 
2連敗中のメンタル面を考慮して、片野坂知宏監督も、立ち上がりはシンプルに前線に長いボールを蹴り込んでいいと伝えてあったようだ。だが、1トップ2シャドーが孤立する状況で、ボールを前線で収めることが出来ず、相手に攻め返されてしまう。攻め込まれた状況でボールを奪っても、ガラ空きの相手の背後へとボールを送るのが遅く、攻撃のスイッチを入れることが出来ない。単発で鈴木惇のミドルシュートや三平和司のループシュートもあったが、いずれも枠をとらえることは出来なかった。
 
そんな中、39分にセットプレーから失点。石櫃洋祐の右CKへと迫力をもって飛び込んできたイ・ヨンジェに、頭で押し込まれた。
 

狙いどおりの会心の2得点で逆転に成功

 
ビハインドになったことで、攻める姿勢へと意思統一できた。前半の展開を見ながら「これならつなげる」と思ったという片野坂監督も、ハーフタイムに指示を出して修正を図った。
 
後半は相手のスペースを使いながらボールを動かす場面が増えた。53分にはエスクデロ競飛王にCKのこぼれ球から強烈なミドルシュートを放たれるが、三平のシュートブロックでそれを阻むと、チームは勇気づく。
 
62分、山岸をシキーニョに代えると、その2分後、逆サイドから得点が生まれた。松本怜と後藤優介のワンツーに三平が絡み、最後は松本のグラウンダークロスを鈴木惇が蹴り込んだ。流動的に人が絡んでシンプルなタッチでボールを動かして奪った、これぞ大分スタイルと言うべき会心の同点弾だった。
 
互いに攻めあいチャンスを作りあう中、京都は大黒将志を投入して攻勢を強めるが、次にスコアを動かしたのは大分。81分、左サイドの崩しから突破したシキーニョがスピードに乗ったままDFラインのウラへと送ったクロスに走り込み、交代したばかりの伊佐耕平が追加点。鮮やかな逆転劇を演じた。
 

劇的同点弾で追いつかれるが、前進はここから

 
今季初の逆転勝利かと思われたが、ドラマはこれでは終わらなかった。アディショナルタイム4分も終わりに近づいた93分、竹内彬とケヴィン・オリスとの競り合いがファウル判定となり、正面からのFKを献上。ケヴィン・オリスの右足から放たれた豪快なキックは上福元直人が触れてクロスバーに当たるが、そのこぼれ球に誰よりも早く反応した大黒に頭で押し込まれる。
 
あと少し耐えればというところで勝ち点2を取りこぼした感の残る結末となったが、指揮官は試合後、「勝てなかったのは悔しい」としつつ「90分の試合内容を考えると、もしかしたら妥当な結果だったのかもしれない」と総括した。鈴木惇は「追加点を入れて仕留めに行くのかボールを回すのかというところでミスがあって、なんとなく試合が進んでしまった。失点シーンだけでなく、そこも課題」と反省する。
 
前節終了後、チームであらためて意思疎通して臨んだ試合。今節は連戦期間中で最低限の準備しか出来なかったが、今後はさらなるブラッシュアップを図り、戦術が突き詰められていくはずだ。戦力の底上げも進めなくてはならない。
 
明確な「型」を持つだけに、対策されたときにさらにそれを上回るハードルは高い。だが、この課題を一段階ずつクリアしていくことで、いずれはJ1で戦えるチームに仕上げたい。指揮官の視線は、そこを見ているはずだ。
 

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