今季初の連敗。チームはいま、次なるフェーズへの岐路に立つ

　
東京Vは、7試合ぶりに勝利を遂げた前節・熊本戦で採用した4-3-3システムで今節もスタート。今節は3トップの右に安西幸輝を配置してきた。大分は左WBでシキーニョが初先発。サイドで相手を上回ってほしいという指揮官の期待を背負って、安西とマッチアップする形になった。
　
立ち上がりこそ狙いどおり相手アンカーの脇でシャドーが起点となる攻撃を繰り出したが、攻撃の精度を欠いて次第に流れは東京Vへ。ミスから相手に奪われて攻め返されるうちに、トーンダウンしてしまった。
　
東京Vは、安西とアラン・ピニェイロの両ウイングが幅を取り、個の技術と勢いで大分の戦術の要所のひとつであるWBを制圧。インサイドハーフの梶川諒太と渡辺皓太が先手を取ってポジショニングすることで、後藤優介と小手川宏基の2シャドーをつり出し、その空いたスペースをドウグラス・ヴィエイラが使うといった具合に、大分の狙いを無効化してきた。
　
三平和司と小手川・後藤の3枚が分断されてコンビネーションが機能しなくなると、相手守備陣も個々で対応しやすい。シキーニョや松本怜からのクロスも精度を欠いたり中で跳ね返されたりして、決定機には至らなかった。
　

　
ボールを失ってからの切り替えが遅く、守備は終始、後手に回っていた。それが失点につながったのが16分。安西のクロスを梶川が頭で逸らし、ドウグラス・ヴィエイラが押し込んだ。
　
続く26分にもドウグラス・ヴィエイラ。田村直也からのアーリークロスを見事なダイレクトボレーで沈められ、あっというまに2点ビハインドとなる。
　
片野坂知宏監督は布陣を4-4-2に変更。「あのメンバーでどうやって4枚にしようか迷った」という指揮官は、まずはブラジルではSBが本職だったというシキーニョを左SBに下げた。
　
試合が0-2のまま折り返すと、後半からは松本怜が右SBに下がり、シキーニョを右SHに回す。それでも精彩を欠くシキーニョを、58分に前田凌佑と交代させ、川西翔太を一列上げた。
　
さらに67分には福森直也を岸田翔平に代え、岸田を右SBに、松本を左SBに配置。76分には三平を伊佐耕平にスイッチして前線に勢いをもたらした。
　
1枚交代するごとに修正を図り、サイドからのチャンスは増えたが、2点リードする東京Vは優位に試合を運ぶ。度重なる攻撃機会はことごとく相手に潰された。77分には鈴木惇の右CKから小手川がヘディングシュートを放ったが、柴崎貴広の好セーブにかき出された。
　
東京Vは、戦術を維持する選手交代で貫禄の勝利といった風情。22試合ぶりの連勝に充実した表情を見せた。
　
前節に続き、相手に研究されて攻め手を封じられての敗戦。逆に言えば、それだけスタイルが定着してきた証とも言えるのだが、ここからさらに相手を上回り返すためのブラッシュアップが求められる。