せめぎ合いで上回られ、決定機を逃し続けて6戦ぶりの敗戦
11日に行われた、明治安田J2第27節H町田戦。チームは相手のハイプレスに遭い自分たちの形を出せず、後半は修正したものの決定機を外して、1-3で敗れた。後半戦初、6試合ぶりの黒星で3連勝ならず。ホーム100勝もまたおあずけとなった。
試合情報はこちら
町田のアグレッシブな守備に圧倒される
出場停止の竹内彬の代わりに、天皇杯2回戦で良い働きを見せた山口貴弘を起用して、ゲームはスタートした。
いつも町田とは互いのスタイルを出し合い、どちらが上回れるかのせめぎ合いになる。縦横にコンパクトで球際激しい町田。幅と奥行きを使って相手をいなしながら攻める大分。前回対戦の第15節も、天皇杯2回戦も、サイドチェンジを駆使して相手に揺さぶりをかけた大分が、内容で上回った。
だが、今節は立ち上がりから、相手の激しいプレッシャーに圧倒された。よく整理された組織的な前線からの守備で、町田は大分の意図を潰しにかかる。大分はいつものようにボールを回せない。
最終ラインに落ちた鈴木惇や川西翔太からの展開や中盤でのサイドチェンジ、山岸智と松本怜の仕掛けでボールを前線に運ぶことも出来てはいたのだが、町田の守備は堅く、なかなかシュートを打たせてもらえない。
不運な失点と豪快な恩返し弾で前半2失点
11分には不運により先制点を与えてしまう。町田が戸高弘貴の仕掛けから得た右サイド高くからのFK。混戦の中、山岸の膝に当たったボールは上福元直人が正面でキャッチしたが、体ごとラインを割っていた。
さらに43分には、ビルドアップ中にボールを奪われカウンターを受け、井上裕大が豪快なミドルシュートを古巣のゴールに突き刺す。
それでも、2-0ならまだ逆転の望みはあるかに思われた。いつものように辛抱強くボールを動かして相手を走らせれば、さすがに途中で運動量が落ちる時間帯が来るはずだ。
だが、今節は思うようにボールを動かすことが出来ず、我慢しきれずに長いボールを蹴る場面も多かった。実際それでチャンスも作れていたのだが、チーム全員の意思疎通が取れていたわけではなかった。
片野坂知宏監督は後半頭から、山岸に代えてシキーニョを入れるとともに、相手に使われるボランチ脇のスペースをケアし、セカンドボールを拾うために、小手川宏基を一列下げてシステムを5-3-2に変更した。
それでもなお主導権を奪還できないと見ると、警告を1枚もらっていた山口貴弘に代えて伊佐耕平を投入。三平和司をトップ下に、後藤と伊佐を前線に並べた4-3-1-2の形に変える。背後を狙えるのであればと、伊佐の迫力と強さに期待した采配だった。
割り切った攻撃でチャンスを築くが…
この試みはある程度奏功し、チャンスの数も増える。相変わらず町田にも攻められたが、ひとたび奪えば前線へと長いボールを入れる割り切った戦術は、後藤や伊佐の特長をよく生かしていた。
ただ、そうやって築いた決定機を、ことごとく逃してしまう。良い形で抜け出してからのシュートが、何本も枠の外へと飛んでいった。
ここでスコアを1-2に出来ていれば、流れも変わったかもしれないが、次の1点をものにしたのも町田だった。71分、福森直也の空振りを見逃さずボールをさらった鈴木孝司がゴール前に持ち込んで3点目。J2・J3入れ替え戦でも躍動した背番号9が、アキレス腱断裂からの完全復活を宣言するように、復帰後初得点を決めた。
大分がようやく一矢報いたのは75分。ウラに抜け出した後藤が今度は落ち着いて流し込んだが、その後の追撃が実ることはなかった。
続けるか割り切るかの判断を統一したい
これまでの2戦で上手く自分たちの形が機能していただけに、立ち上がりからそれが上手く行かなかったとき、それを続けるのか、それとも割り切って攻めるのかの判断が、上手く出来なかった印象だ。
試合後の選手たちが「ピッチにいる自分たちが判断してやらなくてはならなかった」と口々に話したのも、そのあたりのことだと思われる。
次節の東京V戦まで中4日。川西は「まずは3失点した守備を修正したい」と急務の必要性を感じていた。実戦で出た課題をひとつひとつ克服しながら、チームはブレることなく自分たちの戦術を積み上げていかなくてはならない。