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試合レポート

準備した戦術を各自が遂行。難しい展開も大津の今季2点目で5試合ぶり勝利

 

前節に続き今節も引いた相手に苦戦しながら、全員で辛抱強く対讃岐の戦術を遂行。68分に投入された大津耀誠が77分に挙げた決勝点は、前半から続けた地道な攻略の成果でもあった。

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奏功した紅白戦でのシミュレーション

 
5試合ぶりの勝利に、監督も選手たちもほっとした表情を見せた。シーズン折り返し後の初勝利だ。案の定、讃岐との対戦は難しい試合になった。勝利を引き寄せたのは、試合前々日の紅白戦で準備した戦術を、全員が意思疎通して粘り強く遂行できたからこそだった。
 
前節に続き、讃岐が3-5-2システムで試合に臨むと読んでいた片野坂知宏監督は、紅白戦でその形をシミュレーション。いつもどおりにボールを動かそうとすると詰まって上手く行かなかったことを受け、中盤のポジショニングをアレンジして相手のスペースを突くよう狙った。
 
特に讃岐の渡邉大剛と高木和正がプレスに来た背後と、アンカー永田亮太の脇。1トップの三平和司が下りたり、川西翔太と鈴木惇のボランチの1枚が前に出たりしながら、そこを使った。相手が5-3-2のブロックを作ってからは、いつもは縦に仕掛ける両WBの山岸智と松本怜も頻繁にカットインして相手のマークを混乱させた。開いてサイドで数的優位を作ったり、そこから中に切れ込んだりと動きを出したシャドーの働きも、地味ではあったが不可欠な仕事だった。
 

丁寧な試合運びでじりじりと流れを引き寄せる

 
なんとか21位から浮上したい讃岐は、立ち上がりから気迫あふれるプレーでチャンスを多く作る。いきなり3分、左WBで移籍後初出場のアレックスがカットインして永田がシュート。竹内彬のブロックしたこぼれ球を高木が狙うが、これは上福元直人の好セーブで防いだ。一瞬のチャンスを見逃さずにゴールを狙う木島徹也も積極的にシュートを放つが、わずかに枠外で命拾い。
 
そんな讃岐の迫力ある攻撃に対し、大分は丁寧な入りを見せた。相手の鋭いカウンターを警戒してサイドから攻略しつつ、徐々に自分たちの形を出しながら、じわじわと流れを引き寄せていく。
 
主導権が大分に移ると見ると、讃岐は5-3-2のブロックを構える。ゴール前を固めてカウンターを狙う戦法に切り替え、大分の攻撃を潰し続けた。大分は準備してきた狙いを次々に繰り出す。24分に鈴木惇、26分には山岸。30分には三平がウラに抜けてチャンスを作り、g44分には小手川宏基がカットインからシュート。枠を捉えきれなかったり相手に阻まれたりしたが、鈴木惇の2本のミドルシュートを含め、全員のプレーからゴールを狙う意識の高さが見て取れた。
 
パスやトラップのミスを狙われたりインターセプトされたりしたところからカウンターを受ける場面もあったが、素早い切り替えで対応。最終ラインだけでなく、プレスバックするボランチも体を張って、讃岐の攻撃を潰した。
 

相手を引きつけて出した鈴木惇のラストパス

 
スコアレスで折り返した後半の立ち上がりには、三平の落としから後藤優介がシュート。狙いどおりの形から放たれた鋭く低い弾道は、清水健太のファインセーブに阻まれる。
 
膠着状態の打開を図る大分は、59分に山岸に代えてシキーニョを投入して活性化。シキーニョが入ったことで個人技での仕掛けが増え、右の松本とともにサイドを破る場面が増えた。
 
それを受けて68分、指揮官は小手川を下げて大津耀誠を送り込む。前線での1トップらしい仕事に期待し、今季2試合目の出場となったストライカーは、ピッチに出た9分後に、見事にそれに応えた。
 
竹内からの展開を大津が胸トラップで落とすと鈴木惇がそれを収め、ミドルシュートを打つ振りからの、ゴール前に入ってきた大津への優しく丁寧なパス。相手は前半に2本のミドルを放った鈴木惇に完全に食いついており、大津はトラップから素早くかつ確実に、右足でゴールへと流し込んだ。
 

全員がそれぞれの役割を遂行

 
ビハインドとなった讃岐は、あきらめずに攻撃へと打って出る。70分に木島を原一樹に、高木を山本翔平に2枚替えしていたのに続き、81分にアレックスを西弘則に交代。西は左サイドから迷うことなくアーリークロスを送り続けてゴール前の局面を演出する。
 
競り合ったこぼれ球を拾って2次、3次攻撃を仕掛けてくる讃岐だが、勝てていないチームにありがちなとおり、攻め急いで的確な判断が出来ず、大分の守備陣に潰されてしまう。
 
三平を前田凌佑に代え、川西を一列上げて全体のモビリティーを保ち、果敢にボールにアタックすることでラインを押し上げ続けながら、3分のアディショナルタイムを乗り切って長いホイッスル。5試合ぶりの勝利を挙げた。
 
大津が落ち着いて挙げた得点はもちろん素晴らしかったが、2本のミドルシュートを伏線とした鈴木惇のアシストや、スペースへと持ち上がる鈴木義宜と縦パスを通す福森直也の攻撃参加など、全員がそれぞれの持ち場で組織の中での役割を遂行したからこそ、粘り強くもぎ取れた勝ち点3だった。
 

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