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試合レポート

粘り強くしのぎつつ得点を重ねて流れをつかむ。4得点無失点で公式戦3連勝

 

チームは25日、明治安田J2第20節A群馬戦に臨み、第13節H名古屋戦に続く後藤優介のハットトリックを含む4得点を挙げた。守備では相手に攻め込まれた場面もコレクティブに対応し、9試合ぶりのクリーンシートを達成。21日に行われた天皇杯を挟み公式戦3連勝となった。

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メリハリの効いた守備で群馬の勢いに対応

 
「2点目が大きかった。あのごっつぁん(後藤優介)がよく頑張ってくれた」と、指揮官は顔をほころばせた。前半に迎えたいくつかの絶好機を決めきれずにいたエースストライカーだが、試合の流れを完全に掌握する2点目を、落ち着いて奪った。
 
3-4-2-1システム同士のミラーゲーム。互いに後ろからつなぐスタイルを構築中のチームが激突した一戦は、スコアの差こそ大きく開いたが、流れがつかめるまでは、どちらに転ぶかわからない展開だった。
 
3連敗中の群馬は、21日の天皇杯・山口戦でパフォーマンスの良かった選手を起用し、前節からスタメンを5人入れ替えて臨んだ。5月の好調を牽引した元韓国代表ストライカーのカン・スイルが負傷欠場する中、1トップを務めたのは高井和馬。立ち上がりから積極果敢にシュートを放ち、大分ゴールを脅かす。左SBに入った石田雅俊のスピードに乗ったドリブルも、前半から大分のボランチ脇を突く狙いを見せ、流動的な攻撃に勢いをもたらした。
 
それに対し大分は、メリハリの効いた守備で対応。ラインの高さを保ち、相手に食いついて入れ替わられることのないように間合いを取りながら、要所と見ると危険の芽を潰しに出た。相手の足元に入った瞬間に2人がかりで奪いにかかったり、セカンドボールを拾ってスムーズに攻撃に切り替えたりすることが出来たのは、選手間の距離が保たれていたからだ。竹内彬は試合後に「全体の高さをどこに設定するかということと、布陣をコンパクトに保つことを意識していた」と明かした。
 

相手を動かしてギャップを突く狙いどおりの攻撃

 
激しくハイプレスをかけてくる群馬をいなしながら攻撃を組み立てる大分は、相手の背後を狙う。39分、パク・ゴンをつり出したギャップを突いてゴール前に侵入した三平和司は潰されたが、そのこぼれ球に後藤が詰めて先制点を挙げた。それまでにも何度も狙った形だった。
 
だが、追加点を奪えぬまま折り返すと、後半の立ち上がりは群馬が勢いを強めた。大分の守備は、後ろから湧いてくるような迫力あふれる群馬のカウンターにさらされ、ここで追いつかれれば流れは相手に傾くという雰囲気になる。前がかりになる群馬の背後へと三平が出したスルーパスに後藤が抜け出した57分は、どうしてもここで2点目を挙げなくてはいけない場面だった。
 
後藤は落ち着いた切り返しで目の前の舩津徹也をかわすと、相手2枚が寄せてくる寸前に左足を振り抜いた。ボールはゴールの左隅に突き刺さる。
 
群馬も負けじと58分、石田の突破から最後は小林竜樹がシュートを放つが、ポストに弾かれて大分は命拾い。群馬は59分に出岡大輝に代えて鈴木崇文をボランチに入れ、岡庭裕貴を一列上げたのに続き、62分には小林竜樹を下げて盛田剛平を1トップに据え高井をシャドーに落とす。相手が前がかりになるのを見て、大分も三平を伊佐耕平へとスイッチした。「相手の運動量が落ちる後半の勝負どころで予定していた」という指揮官の采配だ。
 
63分には、ボックス内に侵入した岸田翔平が石田に倒されてPKを獲得。後藤がこれを決めて3点目を挙げると、流れはさらに大分へ。66分、練習からその精度を磨いていたという鈴木義宜が、ゴール前に見事なアーリークロスを送ると、飛び込んだ伊佐のヘディングシュートが決まり4点目を挙げた。
 

コンパクトな距離感が個々の役割を増幅させた

 
石田のスピードに対応すべく、片野坂監督は山岸智に代えて松本怜を入れ、岸田を左に回すと松本を石田とマッチアップさせた。だが、森下仁志監督も71分、心が折れた高井を下げて阿部巧を左WBに入れると、石田をシャドーへと上げ、さらなる攻撃を試みた。
 
ただ、石田の仕掛けも盛田の高さも脅威ではあったが、それぞれがバラバラで、それぞれの長所を十分に生かすことは出来なかった。84分にはロングフィードに合わせた盛田のヘディングシュートに上福元直人が必死で手を伸ばし、ポストに救われるという場面もあったが、そういった幸運にも恵まれながら、粘り強い対応は続く。
 
84分には岸田に代えて坂井達弥を入れ、福森直也を左WBに上げて守備を固めると、アディショナルタイム3分まで守り切り、クリーンシートでの勝利。
 
「リーグ戦で8試合連続失点中だったので、ここでなんとか無失点に抑えたかった。選手たちはそれを感じながらプレーし、実際に無失点で終えることが出来た。なおかつ4得点できたということで、大きな勝利だった」と山岸は達成感を口にした。
 
外した決定機もあったが、危機をしのぎながら得点を重ねることで、着実に試合の流れを引き寄せて生まれた4得点。メンバーを入れ替えた相手の連係不足やフィニッシュの精度不足に助けられた場面もありつつ、三平・後藤・小手川宏基の3枚が相手守備のウィークポイントを狙いどおりに突き、全員が意思統一して粘り強く守ったことで、良い結果が得られた。鈴木惇と川西翔太のダブルボランチが周囲とコミュニケーションを取りながら攻守に見せたハードワークも光った。
 
「今日出場している選手だけでなく、天皇杯に出場して今日はメンバー外だった選手も、この流れを作ってくれた。特にこの3試合はチーム一丸となって戦えているので、それをこれからも続けていけるように頑張りたい」と山岸。戦い終えた選手たちは充実していながら地に足のついた表情でバスに乗り込んでいった。積み上げているスタイルに少しずつ手応えを増しながら、チームは前進している。
 

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