8勝1敗で単独首位を走る千葉との敵地戦。前進の手応えを確かめたい

今節からスタートするGWまたぎの変則6連戦。その初陣は現在8勝1敗の勝点24で単独首位をひた走る好調・千葉とのアウェイゲームだ。
前進を感じつつ迎える第10節
開幕から2戦は勢いを見せたものの、それ以降は相手にも対策されつつ、組織として未成熟な部分が露呈したかたちになったシーズン序盤。チームはひとつずつ丁寧に課題を修正し、前進を続けてきた。システムも3-4-2-1から3-5-2へと変更され、選手個々の特長が組織に還元されるようになっている。
特に第8節のアウェイ大宮戦以降は相手に合わせて立ち位置を変化させる戦い方も見られるようになり、戦いの幅がぐっと広がった印象だ。中盤に並ぶ3人が組織に柔軟性をもたらしつつ、前線に伊佐耕平、中盤に野村直輝、最終ラインに野嶽惇也と経験豊富なメンバーが入っていることも布陣の判断力を高めている。
一方で、選手交代後の試合運びにはまだ課題が残るのが現状。終盤に失点して勝点を取りこぼした試合が複数あり、ベンチメンバーにはさらなる戦術理解とタスク遂行の力を求めたい。引き続き、試合を重ねながら共通理解を深めていく。
サイド攻撃がストロングの千葉、両SHが絶好調
ここまで9戦中6戦が引き分けと、粘り強さと勝負弱さの両面が結果に表れている大分とは裏腹に、千葉は8勝1敗の引き分けなしで明暗がはっきりと分かれる戦いを続けている。真面目にコツコツと組織を育ててきた小林慶行監督体制の3シーズン目。積極補強で戦力をアップし、勝負の年と位置づけている様子だ。
開幕6連勝後、第7節に磐田に0-1で敗れたが、その後は2連勝中。リーグ最多の22得点を挙げつつ失点数も9、第9節終了時点ですでに得失点差13という好調ぶりには目を見張るものがある。特に横浜FMユースで榊原彗悟と同期でもある左の椿直起、右の田中和樹とスピードと推進力に長けた両SHの存在感が目覚ましく、間違いなくそこが最重要警戒ポイントだ。SBやボランチとの連係でサイドを攻略してくる千葉に対し、大分も左の宇津元伸弥、右の𠮷田真那斗の両WBがキーマンとなるだろう。
石川大地を筆頭に古巣戦の呉屋大翔やカルリーニョス・ジュニオら決定的な仕事の出来るFWたちをターゲットに最終ラインから長いボールを送る戦い方も強力な選択肢として持つ千葉。その多彩な攻撃に対し、こちらはピッチの全員が意識を合わせて隙を作らずに守りつつ攻め返すことがカギになる。アウェイ感満点のフクダ電子アリーナで、自信を持って首位の相手に挑みたい。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
千葉さんはやはりウイングがキモ。推進力ある選手が個の仕掛けで打開できるので、自由にスペースと時間を与えさせたくない。前線にもカルリーニョスや石川、呉屋ら決定力のある選手がいるので、そういうところに配球されないように。個々のレベルが高い選手が揃っているので、自分たちは組織として戦うことが大事になる。
千葉のストロングと相手がどういうふうにしたいかというところでやらせないようにしたい。逆に自分たちが攻撃で上回ることが出来てチャンスを作り得点できれば勝機も見えてくるかなというところで、千葉さんの守備を打開できるようトライしたい。
■MF 25 榊原彗悟
千葉は決定力のあるチームだが、そこまで毎試合必ず支配しているというわけでもない。首位の相手に対してチャレンジャー精神をもって臨みはするが、相手をリスペクトしすぎることなく、隙を突いて自分たちの良さを出していきたい。勢いあるチームも食えるように頑張りたい。
マリノスユースの同期の椿直起はいま千葉の攻撃の中心になっていて、サイドからどんどん仕掛けてくると思う。対戦は楽しみだが、縦への突破力やスピードはJ2の中でもトップレベルなので、警戒しなくてはならない選手。しっかり特徴や情報を伝えれば、(𠮷田)真那斗が抑えてくれると思う。
■DF 44 𠮷田 真那斗
引き分けが多いことについては満足していない。僕らも勝利が欲しいので全力で準備して全力で戦っているのだが、何かが足りないからこういう結果になっているのだと思う。それでもチームとして積み上げているものがあり、ノムくん(野村直輝)たちがいい形でボールに関わってくれる回数が増えているので、ゴール前まで入れることも増え、得点も奪えるようになって、そこには手応えを感じている。
千葉は強い相手だし、サイドにはいい選手がいる。まずはマッチアップする相手に自由にやらせないことが自分に課せられたミッション。それを遂行することをいちばんに、(野嶽)惇也くんたちと協力しながら相手を圧倒して、千葉の左サイドを攻守で上回りたい。相手のストロングを粘り強く完封できるのが自分の良さ。負ける気はさらさらない。自分たちはチャレンジャーだが、決してリスペクトしすぎることなく、食ってかかるくらいの勢いで試合に臨む。