開幕戦以来の勝利を目指し、前節の手応えを勝点に還元せよ

開幕以来採用してきた3-4-2-1から3-5-2へとフォーメーションを物理的に変更したことで、1トップが孤立したり守備がハマらなかったりといったそれまでの課題は解消。伊佐耕平が守備のスイッチ役と攻撃の起点をこなしながら有馬幸太郎との関係性を築き、相手に圧がかかるようになったことで布陣がコンパクトに保たれ、選手間の距離が改善した。
　
それにより前節は攻守に組織的な狙いが表現できたシーンが増え、その形の中から榊原彗悟の自身加入後初ゴールとなる同点弾も生まれた。ただ、その後はリスクマネジメントや攻撃面の課題が残り、流れを手放して終盤までどちらに転ぶかわからない展開となった試合は勝点1止まりに終わった。
　
そんな前節の課題をフィードバックして共有するとともに、攻撃練習に比重を置いた今週。前節終盤の課題となった、相手を押し込んでからのボールの動かし方などもグラウンドで確認した。ここまで5試合で3得点3失点。守備面はまずまず及第点だが得点を増やしていきたいと、片野坂知宏監督はトレーニングを続けた。
　

今節の相手・藤枝は、現在2勝2分1敗。開幕戦こそ徳島に敗れたが、その後は4戦無敗で、特に第3節以降は3試合で7得点を挙げている。
　
指揮5シーズン目の須藤大輔監督がJ3時代から築いてきたスタイルは年々バージョンアップしており、今季はGKを加えたビルドアップと、新戦力のディアマンカ・センゴールを生かしたシンプルな攻撃を使い分けながらチャンスを量産。3-4-2-1の頂点に立つセンゴールと2シャドーの金子翔太・千葉寛汰が流動的な前線は、守る側としてはなかなかに厄介だ。彼らのストロングを出させないためにも、ポゼッションの巧みな藤枝に対して大分がどのような守備を仕掛けるかが注目ポイントとなる。
　
また、藤枝は前節の途中で杉田真彦が負傷し、逆に負傷から復帰した梶川諒太が交代でボランチへ。今節はその梶川が先発すると見られる。経験豊富でクレバーなボランチとの中盤での駆け引きも見どころのひとつになるだろう。大分としては攻撃的な藤枝の右サイドの背後は狙い目と見られるが、そこをいかに突いていけるか。セットプレーでの得点も狙いたいところだ。
　
上手く行けば、ともに長所を出し合う好ゲームになりそうなカード。ここまで6回の対戦はすべて大分が勝利しているが、内容的には藤枝が上回っている試合も多かった。今節も相性の良さを継続し、内容的にも上回って、開幕戦以来の勝利を掴み取りたい。
　

■片野坂知宏監督
藤枝はボールを動かすのが上手いチームで、GKも加わってくるので、難しい相手になるとは思うが、ピッチに立っている選手が合わせて、攻撃でも守備でも連係・連動することが大事。いわき戦、水戸戦と続けて得点を挙げることが出来ておらず、ホームでの得点はここまでセットプレーで挙げた札幌戦の2点のみ。どういう状況でも得点しないと勝利は掴めないので、今節はそういうゲームになるようにしたい。
　
相手のボールの動かしに対して、やられてはいけない、気をつけなくてはいけないところを共有すること、また、持たせていいところは持たせるのも、駆け引きを含めて大事になる。ホームで勝って次のルヴァンカップにも勢いをつけたい。
　
■FW 9 有馬幸太郎
前節から2トップにシステム変更したが、やりやすい。伊佐くんが気を配って僕がプレーしやすいようにサイドに流れてくれたり前で体を張ってくれていたりした。守備でも伊佐くんは自分でも激しく行けるし、周りも動かして、自分にも声をかけてくれるので、組織的に動きやすかった。守備は2トップのほうが1トップより前から行ける。そのぶんリスクもあるのだが、チーム全体で合わせて守りたい。個人的には前からどんどん行きたいので、後ろの意見も聞きながら上手く擦り合わせていく。藤枝は丁寧にボールを繋いでくるイメージがあるが、逆に上手く引っ掛ければチャンスになる。
　
自分のシュートチャンスを増やすためにももっと要求していかなくてはならないと感じて、今日の練習でも自分の意見を周囲に伝えるようにした。そうするとボールが来る回数も増えてきたので、続けていきたい。今日は攻撃でどういうところを狙っていくかを擦り合わせた中で、割と感触はよかった。