TORITENトリテン

今節の見どころ

2025年の開幕は4年ぶり対戦の札幌と。クラドを今季への期待感で満たせ

 

1月6日にトレーニングをスタートして1ヶ月と10日。昨季の悔しさをバネに地に足をつけて目標達成へとたどり着きたい今季が、いよいよ開幕する。

 

昨季の悔しさをバネに、今季こその思い

J1は一足早く14日に、“金J”の大阪ダービーで幕を開けた。タレント居並ぶ両軍の華やかな攻め合いは、終わってみればアウェイのC大阪がパナソニックスタジアム吹田でG大阪を5-2で下すというエキサイティングな結果となった。15日にはJ2とJ3もそれぞれ開幕し、J2は7試合が開催される。
 
われらが大分は、J2開幕戦では最も遅い16日14時キックオフ。今年から「クラサスドーム大分」と名を変えたホームスタジアムに、2021年J1以来の対戦となる札幌を迎える。
 
昨季は選手の自主性を引き出す狙いで指揮官からの指示を抑えめにスタートしたが、負傷者が続出してメンバーが安定せずなかなか組織を熟成できなかった。今季はそれを教訓にして、昨季終盤に手応えの感じられた戦術をベースにブラッシュアップし、片野坂知宏監督が最初から選手たちに明確なタスクを課して臨む。
 
戦術的にも昨季最初のハイプレスを起点に攻め続けるスタイルではなく、ミドルブロックベースのバランスの取れた守備から入る。昨季終盤のそれよりもアグレッシブさを追求し、攻撃でもゴールへの矢印をより意識的・意図的に描き出す狙い。早い時期からある程度メンバーを固めて戦ったトレーニングマッチでは守備に関する相応の手応えを得た一方で、攻撃面では改善の余地も見られた。
 
万全の準備を施して挑みたいところだが、なかなか予定どおりには行かないのもシーズン中の常。ただ、想定外の事態も含め、選手層の厚みを生かしていかなる事態にも対応していきたい。今季からベンチメンバーが9人制となることも、片野坂監督のベンチワークの幅を広げてくれるはずだ。
 

岩政監督新体制、戦術浸透度はいかに

第1節・札幌、第2節・いわきとホーム連戦でいいスタートを切って勢いに乗れるのが理想だが、J1からの降格組である札幌はなかなかに手強い相手だ。
 
札幌にとっては9シーズンぶりのJ2での戦い。駒井善成、菅大輝、岡村大八、鈴木武蔵らがチームを離れたが、主力の多くや昨夏加入した外国籍選手たちが残留しており、高嶺朋樹も復帰してキャプテンに就任し、個々のクオリティーや強度の高さでは圧倒的に優位と見られる。
 
それらの戦力を、今季から指揮を執る岩政大樹監督がどう生かすか。7年間にわたったミハイロ・ペトロヴィッチ監督体制からの「継承と前進」を掲げた新スタイルは、攻撃での流動性を増したところがシステマティックな“ミシャ式”との最大の相違点だ。前任の指揮官とはまた異なるタイプの知将は、じっくりと自身のサッカー哲学を落とし込んでいくに違いない。戦術浸透度はまだそれほど高まっていないはずだが、プレシーズンのトレーニングマッチ6戦は4勝2分と無敗。つまりは未成熟でも相手を圧倒できる戦力が整っているということでもある。
 
そんな相手に対し、大分がどう太刀打ちしていくか。予想では3バック同士でマッチアップの局面が多くなりそうだが、個の対応に加え組織力を生かして上回りたい。流動的な相手には粘り強く対応し、奪ったらすぐに切り替えて隙を突くのが鉄則だ。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
今週はゲームで戦術を試し、選手がどのように反応するかを確認した。選手のコンディションや組み合わせをいろいろと見ながら試せたのはよかった。札幌がどういう出方をしてくるかわからないし、こちらもまだどういうメンバーを組むかは決めていない。もう少し練って、悩みたい。
 
札幌に対しては守備だけでなく攻撃に関しても、組織でしっかりと戦っていきたい。個人のところでは相手も能力の高い選手がいて、上手い選手、クオリティーの高い選手、フィジカルの強い選手と仕事の出来る選手が揃っている。個人のバトルで負けないことは大事だが、組織としても機能できればこちらにも勝機があるのではないか。
 
われわれが勝つための攻守のポイントをしっかりと徹底できるかどうか、90分相手よりも切らさずに出来るかどうかが勝敗を分ける。もちろんそれを上回るクオリティーが相手にあったり、どうしようもないところもある可能性はあるが、ホーム開幕戦でいいスタートを切れるようなゲームになるようにしたい。
 
■MF 38 天笠泰輝
今季のJ2はどのチームも個人のレベルが高いが、自分たちがやるべきことをやれば個人としても勝てると思っている。ピッチに立てばJ1とかJ2とか関係なしに、いま自分の持っている力を出す。攻撃でも守備でも組織として合わせていきたい。
 
大分に来て、トリニータは地域の人に応援されているのだと感じ、そういう人たちのために戦いたいという気持ちになる。まずは目の前の試合で結果を出し、勢いに乗ればJ1昇格やプレーオフの目標も見えてくると思う。
 
札幌は個々の能力が高く、チームとしても合わせてきていると思うが、経歴のある選手や外国籍選手に対してもビビらずにやれるかどうかが最も問われるところ。そこで怯んでいたら1年間戦っていけないと思うし、大分にもいい選手がたくさんいる。サポーターの方々と一緒に戦っていけるのも大分の強みだと思う。やるべきことを選手全員が理解して取り組んでいく。自信を持って戦いたい。
 
■FW 9 有馬幸太郎
コンディションは上がってきている。周囲の選手たちとも練習や試合を重ねるにつれて、コミュニケーションを取りお互いを意識しながらプレーできている感じがあって、徐々に関係性は良くなっている。札幌は力のあるチーム。岩政監督とは直接の関わりはないが、小さい頃に見ていてすごい選手だと思っていた。
 
出来るかぎり多く点を取ってチームの勝利に貢献することが個人的な目標。いい守備あってのいい攻撃だし相手との噛み合わせもあるので、すべてが自分たちの思いどおりには運ばないと思うが、攻守両面で最後まで完成度を高めていけたらと思う。