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今節の見どころ

プレーオフ圏内を目指す仙台は間違いなく最強。こちらも今季初の3連勝を懸けての“決勝戦”

 

開幕戦で引き分けた相手との、アウェイでの最終節。仙台は勝点で並ぶ6位・千葉を追ってプレーオフ圏内を目指す。ホーム最終戦のユアスタは、ピースタの柿落とし以上にアウェイ感満点になるだろう。

 

開幕戦以来の最終節でのマッチアップ

苦しい戦いを強いられた今季もいよいよ最終節となった。相手は開幕の第1節にホームで対戦した仙台。仙台は今季から森山佳郎監督体制。片野坂知宏監督にとっては現役時代に広島で左右SBを務めた旧知の仲で、敵将となった“ゴリさん”は、4-4-2のオーソドックスな戦術でインテンシティー高く闘えるチームを作ってきた。
 
開幕戦は立ち上がりこそ互いにチャンスを築いたが、スタートからパワフルなメンバーを起用してきた仙台の強度を前に、徐々に主導権を明け渡す。両サイドの推進力に押し込まれ、40分にビルドアップのミスから先制点を奪われた。後半も仙台ペースではじまったが、56分の3枚替えが奏功して大分が盛り返すと、ベンチワークの駆け引きと激しい攻防の末に83分、大分が同点弾。76分に左SHでピッチに入った薩川淳貴のマイナスのグラウンダーを長沢駿が倒れ込みながら泥臭く押し込んで、試合は1-1で終了した。
 
それからの大分は負傷者が続出し、戦術もメンバーも二転三転しながら勝てない日々を過ごす。開幕戦でゴールした長沢は変遷する戦術の中、チームの不調にともなって得点できなくなり、やがて負傷離脱。その得点をアシストした薩川も半年間にわたる長期離脱となった。その2人がシーズン終盤に復帰し、最終節に揃ってメンバー入りする可能性がある。長沢は同郷の士でもある薩川の高精度クロスに期待しつつ「僕のゴールではじまったシーズンを僕のゴールで終わらせる」と古巣戦に向けて士気を高めた。
 

6位以内を目指す仙台と、3連勝を期す大分

今節、まず何よりもカギになるのは、アウェイの雰囲気に飲まれずに自分たちの戦いを表現することだ。ただでさえアウェイ感満点となるユアテックスタジアム仙台。最終節の今節を7位で迎える仙台はJ1昇格プレーオフ圏内を懸けて正真正銘のラストマッチに挑む。6位の千葉とは勝点61で並んでいるが、得失点差で大きく水をあけられており、その千葉が今節はアウェイで勝点63の山形とマッチアップするという日程くんの憎い演出。千葉が山形に敗れれば仙台は大分に引き分け以上で、あるいは千葉が引き分けて仙台が勝利するパターンでも、仙台は6位以内を勝ち取ることになる。
 
さらに今節は、今季かぎりで現役引退を表明した遠藤康のリーグ戦ラストゲームでもある。鹿島で15シーズン、その後は仙台で3シーズンプレーした地元出身の36歳とともに、プレーオフまで戦ってJ1昇格を果たしたい。そんなチームメイトたちの強い思いがこの一戦を後押しする。
 
一方の大分は前々節の結果をもってJ2残留を決め、前節はホーム最終戦で西山哲平GMと梅崎司を勝利で送り出した。その後のラスト1試合を「消化試合」と捉えるか「プレッシャーから解放されてのびのびと戦える試合」と捉えるか。苦しんだシーズンの締めくくりに、今季初の3連勝を遂げたい。片野坂監督は「決勝戦のつもりで臨む」と選手たちにハッパをかけた。ここ最近、チャンスビルディングに貢献していた宇津元伸弥が累積警告により出場停止。戦力がめまぐるしく入れ替わってきた今季、ラストゲームに挑むメンバー選考が楽しみだ。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
今節も勝ちたい。僕の中では決勝戦のような感じ。なぜかというと、仙台はホーム最終戦でプレーオフが懸かっている1戦で、すごい雰囲気になると思うので。仙台は何がなんでも死にものぐるいで来るだろうし、ファンやサポーターからのプレッシャーもすごいものになるだろう。それを自分たちが受けてしまってはいけない。浮き足立ったり弱みを見せたりすると絶対に勝てない。
 
そういう中でサッカーを出来る幸せとか、その雰囲気を黙らせるくらいにやらないと、僕らの成長はないし、それがトリニータの使命。それは昇格だろうが降格だろうが優勝が決まろうが残留しようが、プロのグループとしてそこは絶対に失ってはならない。緩んだり戦わなかったりやるべきことが出来なかったりしたら雰囲気にのみこまれて何も出来ずに大敗する。
 
この最終戦の1試合がもったいないゲームになるのはよくない。来季に向けても自分たちの成長のためにも、こういう雰囲気の中でどれだけ自分たちが出来るかにトライしないと意味がない。それくらい重要なゲームだと選手にもミーティングで伝えた。今季はまだ3連勝がないので絶対に3連勝しようと話している。
 
おそらく仙台は[4-4-2]で守備をしてくるだろうが、それをどう攻撃で上回れるか、守備でもフェーズを合わせて出来るか。球際、切り替え、ハードワーク、強度の部分を含めて相手より上回って出来るかで結果に繋がってくる。そういう熱いゲームにしたい。緩いゲームにだけはしたくない。最後まで一つでも上の順位を目指したいし、3連勝で勝ち切って終わることはすごく大事だと思う。
 
ゴリさんもこれだけ仙台を引き上げて徹底してやっている。モチベーションを上げること、選手に対しての熱も素晴らしいものがある。おそらく最終戦、ゴリさんもチームも決勝戦のつもりで来ると思うので、本当に面白く熱い試合にしたい。
 
■MF 16 茂平
 
今季は怪我から復帰したシーズンだったが、いま個人的にめっちゃ調子がいい。最後の3、4試合になってコンディションがぐっと上がった。ここからシーズンがはじまってほしいくらい(笑)。仙台はモチベーションが高いと思うが、最後は3連勝で終わりたい。
 
僕もチームのみんなも、消化試合と思っている選手は1人もいない。最後の3試合に臨むときに大分としてのプライドを本当に見せたいと話して2連勝できている。相手はプレーオフ進出を懸けて必死に来ると思うが、僕らも負けずに戦えると思うので、3連勝して終わりたい。
 
■GK 22 ムン・キョンゴン
 
残留が決まって本当によかった。1回、ビルドアップでミスして失点してから自信をなくしてミスを続けてしまった。そのせいで負けた試合もあって、本当に責任とプレッシャーを感じていた。とにかく残留を決めるために失点しないようにシンプルに攻撃する試合を続けたが、残留が決まってちょっと落ち着いたので、自分の中でもちょっとチャレンジできると思い、ビルドアップも織り交ぜながらプレーした。
 
仙台は開幕戦で対戦した相手。あのとき自分はベンチに入っていた。相手はホーム最終戦でプレーオフ進出も懸かっていてすごい雰囲気のスタジアムになると思うが、自分の中では逆にそれが楽しみ。僕らはもうプレッシャーもないし、今季ラストに素晴らしい雰囲気のスタジアムでプレーできそうでよかった。チームとしていつもどおりにプレーできれば、いい試合が出来ると思う。

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