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今節の見どころ

残留確定まであと少し。力を振り絞って勝点を掴み取れ

 

残り3試合にして18位・栃木と勝点5差。今節、秋田に勝利して栃木が清水に引き分け以下となれば、大分のJ2残留が確定する。だが、目の前に立ちはだかるのは強敵・秋田だ。

 

残留へ向けて、なりふり構わず勝点を取りに

目標をJ2残留へと明確に切り替え、第32節の横浜FC戦からは現実的な戦い方へと軸足を移していたチーム。横浜FC戦で勝点1、続く藤枝戦で勝点3を積んだが、次の長崎戦でイージーなミスを重ねて自滅するかたちで1-4と大敗すると、その後の中断期間を挟んで、戦い方はさらに現実的なものへとシフトした。
 
前節の水戸戦では、自陣でのポゼッションを大幅に封印し、ボールを持てば手数をかけずに前線へと送る戦法。3-5-2の2トップには鮎川峻と屋敷優成を並べ、その機動力を生かしてシンプルに背後を狙わせた。守備時は5-3-2のブロックを構えたが、次第に相手が対応して3枚の脇のスペースを使われるようになると、5-4-1へと陣形変更。相手にボールを握られても粘り強い守備で失点せずに試合を進めた。後半に選手交代で変化を加えつつギアアップするが、得点には至らず0-0で終了。勝ちたい試合だったが、それでも大事な勝点1を積んだ。
 
当初に目指したスタイルとは大きく隔たるかたちにはなったが、現状のチームで勝点を得るための最善策。そういう割り切りを前提として感じられる手応えもあり、今節の秋田戦も前節同様に、リスクを負わない戦法を採ると見られる。
 

相手の土俵に乗らず、相手の強度に負けず

だが、今節アウェイで挑む秋田は、もとより手数をかけずにゴールを目指すチーム。大きく前線に蹴り出してセカンドボールを拾い、そこから勢いを増す。切らさずにハードワークを続け、球際も激しい。吉田謙監督がJ3時代から浸透させてきたスタイルが徹底されており、蹴り合いになればさすがに秋田のほうに分があるだろう。
 
片野坂知宏監督も、相手の土俵には乗りたくないと警戒する。第9節のホームでの前回対戦では、まんまと相手のストロングポイントを引き出すかたちで早々に2失点を喫すると、その後に相手は1人退場となったにも関わらず1点を返せたのみで、さらに終盤に1失点して1-3で敗れている。今節、この状況のチームで、指揮官がどのような戦い方を繰り出すかが気になるところだ。
 
秋田は前節の結果をもってJ1昇格プレーオフ圏内の可能性が消滅した。だが、いわゆる消化試合になっても手を緩めるチームではない。「吉田監督は変わらないと思う。秋田魂の、ハードワークの、ホームで応援してくれる人たちに見せる姿勢というものは、絶対にブレない。降格しても優勝しても何があっても絶対に徹底されるでしょう」と、片野坂監督。
 
今節にも残留が確定する可能性がある状況で、それをぐっと引き寄せたい。秋田の強度に負けず戦い、目標達成へと力強く歩を進める。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
前節は対水戸の戦い方と残留に向けて意識を合わせるというところで、本当に勝ちたいゲームだったが、最低限の勝点1。栃木も勝点1を積んで勝点5差は変わらず、残り3ゲームになった。今節勝てばこの勝点5差を絶対的なものに出来て、2試合を残して残留が決まる可能性もあるので、アウェイで秋田というまた難しい相手だが、勝ちに行くためにまた全員で合わせることが大事になる。
 
秋田さんは戦い方がはっきりしていて、パワフルな選手もいる。なりふり構わずハードワークして最後まで戦ってくるチームなので、それを受けずに、まずはチームとしてそれにしっかり対応し、個人としてもメンタルを含めて負けないことが大事。しっかりサボらずみんなで対応する。相手のやり方がわかっている中で相手の土俵に乗らずにどれだけやりたいことが出来るかにトライしたい。
 
後ろ3枚だけでなく中盤のセカンドボール対応も含め、ピッチ全域でバトルになる。肉弾戦というより流血戦、そのくらいの覚悟で臨まないといけない。ああいうチームに勝つにはそういうメンタリティーが必要。相手は、弱みを見せたらその隙を突いてくるチーム。自分たちで勝点3を奪いきるというくらい強い気持ちで臨まないと、秋田さんに勝つのは難しい。
 
■MF 18 野嶽惇也
 
いまは後ろのリスクを負わない戦い方をしているのだが、アタッキングサードでもうちょっと、どう崩していくか。そこがいちばんサッカーとして面白いところでもあるので、単調になることなくひとりひとりがポジションを取って、どこが空いてくるのかを見極め、揺さぶりをかけて崩せるようになればと思う。やはり1回2回の揺さぶりでは相手の真ん中の守備も堅いので、崩しのバリエーションを増やしていきたい。怪我から復帰してきた選手も含めて最後のクオリティーやサッカーの面白さを出していければ、得点にも繋がると思う。
 
今節の秋田戦は、ただ蹴り合いになれば相手に分があることになるかもしれない。前回対戦は蹴られたボールを拾ったあとで繋ごうとしてまた奪われ、相手の勢いを受けてしまったので、もっとはっきりやっていく必要がある。堅いゲームになると思うが、その中でもセットプレーで点を取れれば。セットプレーのチャンス数は増えているので、それを生かしたい。