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今節の見どころ

ピースタ柿落としは九州ダービー。空気を読まずに勝ちに行け!

 

長崎の新スタジアムの柿落としということで、嫌が上にも注目度が高まった一戦。だが、チームがいま目指すのはJ2残留のために勝点を積むことのみ。フットボールに集中して、前指揮官の率いる強豪に全力で挑む。

 

いかなる中でもフットボールに集中する

ピーススタジアムの盛大な柿落としに向けて、長崎のクラブスタッフたちはいまもまだ大忙しのはずだ。注目度も高く、キー局や全国紙など、普段はJ1を取材しているメディアも多数、取材に押しかけることになっている。Jリーグの初めての公式試合開催でもあり、これまでにない観客動員数が予想されるため、アクシデントや混乱の可能性も考えられる。そして真新しい専用スタジアムでのダービーマッチは、間違いなく最高の雰囲気に包まれるはずだ。
 
慣れない環境でのさまざまな事態も予想されるが、片野坂知宏監督は「フットボールに集中するように」と説く。横浜FC戦から5-4ブロックをベースとして、はっきりとJ2残留を目指す戦い方へとシフトしたチーム。今季は負傷離脱などにより戦力が安定せず組織のベースを積み上げてこれなかった中で、守備のタスクがシンプルかつ明確になり迷いなくプレーできるようになったことで、メンバーや配置が変わっても組織的に戦えるようになった。横浜FCの連勝を5で止めて勝点1、プレーオフ圏内を目指す藤枝を零封して勝点3。それぞれに異なるスタイルで好調な相手から勝点を挙げたこの2試合が、残留争い脱出へと勢いをつける。
 

シモさんがタレントたちを操る長崎

第3節からは5連勝を含む22試合無敗で上位を走ってきた長崎だが、第24節からは7戦連続で白星から遠ざかるなどやや失速して現在3位。気づけば自動昇格圏とは勝点9差となっている。
 
だが、片野坂監督は「確かにちょっと結果が出ていないが、シモ(下平隆宏監督)は外国籍選手を上手く使って日本人選手と組み合わせている。攻撃ではしっかりポジションを取ってくるので、守備で上手くハメたいが、やはり相手の脅威はセットプレーとカウンター。持ち出せる、運べる、ドリブル、スピードと脅威があり、ゴール前では一振りで仕留める、パワーのある選手がたくさんいる」と最大限に警戒。マテウス・ジェズスの左足やマルコス・ギリェルメのスピード、フアンマ・デルガドの力強さに加え笠柳翼や澤田崇ら、居並ぶタレントの名を次々に挙げた。
 
大分としてはその攻撃力に耐えながら、得点チャンスを狙っていきたい。最近は選手層も厚みを回復し、2戦連続ゴール中の鮎川峻に加えて屋敷優成も1トップで存在感を示す。逆に長沢駿はシャドーでの起用がフィットしつつあり、前節は町田也真人も戦列に復帰して、中盤のクオリティーを高めてもいる。U-19代表から帰還した保田堅心もさほど疲労を見せておらず、メンバー選考が気になるところだ。
 
ちなみに今節、清水と横浜FCにとっては、自らが勝利すればこの試合の結果次第で昇格決定の可能性がある。長崎としては意地でそれを阻止したいはずだ。
 
高校選手権で対戦して以来の盟友である片野坂監督と下平監督との対戦は、大分、柏、横浜FC、G大阪とそれぞれにチームを変えながら、いつも好ゲームとなってきた。今節はどのような展開となるか。昨季まで前指揮官の下でプレーした選手たちも含め、互いによく知る同士のマッチアップ。駆け引きも白熱するに違いない。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
長崎さんは外国籍選手のパワーやクオリティーがある。日本人選手もドリブルで運べたり賢くプレーできたりするので、守備ではそこを自由にやらせて強さを引き出させてはならない。ひとりひとりの対応とチームとして管理することが大事。攻撃に関しては狙い目になるところにボールを運んでいけるかがカギになる。
 
ピースタは素晴らしいスタジアムのようだし、サポーターとの距離も近い。アウェイでそういういろんな圧を感じるところもあるかもしれないが、どれだけフットボールに集中できるかが大事。われわれのサポーターもおそらくたくさんの方々が来てくれると思う。九州ダービーでもあり、いろんなイベントがある中、われわれは残留に向けて勝点3を取らなくてはならない状況。フットボールに集中した中で、相手に対してもしっかり対応し、自分たちのやりたいことを発揮できるようにしたい。
 
これからスタジアムが歴史を作っていく最初の試合で、われわれが九州ダービーのアウェイチームとして戦えるのはすごくありがたいこと。そこでわれわれが勝ったという歴史を作りたい。
 
■DF 2 香川勇気
 
いまは守備のところである程度整理が出来て、やることをしっかりやるという安心感があって攻撃も出来ている。しっかり残留を決めるまではブレずにやりたい。前節は相手が前がかりになっているところでショートカウンターがハマったが、そればかりを狙っているわけでは決してなく、基本的にはしっかり守るところから相手を見て攻撃していく。それが出来る選手が揃っていて、状況把握が早くなり、迷いなくプレーできる時間が多くなっている。
 
ひとつ勝ったことで、緩むわけではなく少しいいイメージをつけることが出来たと思う。ここ2戦でいい守備からいい攻撃に繋げるというイメージが増えているので、全体的により積極的にプレーできるのではないか。長崎戦も自分たちのベースは変えずに相手のスカウティングをしながらどういう形がベストかということをみんなで合わせていった。まずは失点しないことが大事だが、失点しても焦らず、攻撃陣を信じて最少失点に抑えたい。
 
僕が長崎にいた頃に新スタジアムの構想がはじまって、数年かけてようやく完成したので自分も楽しみにしているところがある。サポーターとの距離も近いし雰囲気は最高だと思うので、それを楽しみながら戦いたい。