スペクタクルな藤枝の攻撃をしのぎつつ、その隙を突いてゴールへと迫れ
降格圏まで勝点4差の大分と、プレーオフ圏まで勝点4差の藤枝。ともに勝点3を積みたい同士の、のっぴきならない戦いだ。
今節、ボランチの顔ぶれはいかに
守備の修正が奏功して選手同士の距離感よく戦えた前節は、優勝争い中の横浜FCに対し多くの時間帯を優位に進めると、相手をシュート3本に抑え1-1のドロー。横浜FCは連勝を5でストップし、首位の座を清水に明け渡すことになった。
試合内容が劇的に改善したことも大きな手応えで、これを今後に繋げて残り6試合で勝点を貪欲に積み上げたいところ。前節は18位の栃木が劇的逆転勝利を遂げて勝点4差に詰められており、これ以上の追い上げを防ぐためにも早い段階で勝利を重ねたい。
そんな中、今節は弓場将輝が累積警告により出場停止。保田堅心がU-19代表活動で不在にしている中、布陣の要であり前節の好調のカギを握ってもいたボランチが、毎試合その顔ぶれを変えることは不安材料だ。負傷者も出ており、今節の戦力のやりくりが気になる。
ただ、今節の相手・藤枝は前節の横浜FCとは全く異なるスタイルのチーム。いずれにしても前節のような展開にはならないだろう。
「超攻撃的」の裏には隙もある
藤枝は現在、14勝3分15敗の勝点45で10位。6位・千葉までの勝点差は4で、こちらもJ1昇格プレーオフ圏進出のために勝利が欲しいところだ。
第29節から熊本、栃木、仙台に3連勝と快調に勝点を積んだが、前節は清水に逆転負け。立ち上がりの劣勢をしのいで矢村健の4戦連続弾で先制に成功したものの、後半、修正した相手に主導権を明け渡すと立て続けに3得点を許す。後半アディショナルタイムに浅倉廉のプロ初ゴールで1点差に追いついたが、それ以上の追撃は叶わなかった。
J3時代から須藤大輔監督が積み上げてきた「超攻撃エンターテイメントサッカー」と名乗るスタイルは日を追いながら練度を高め、その攻撃はスペクタクル。現在は矢村が絶対的ストライカーとして、ここまで14得点を挙げている。
その流動的な攻撃に対しては、耐える時間も長くなると予想される。一方で藤枝は35得点45失点というデータもあり、スペースを突けば得点機は狙えそう。中盤のめまぐるしい駆け引きで上回りたい。
メンバーが代わる中、トレーニングでは選手同士の話し合いも多く持たれたが、野嶽惇也は「規律を守りすぎてスペースを空けてしまうこともあるので、そんなに難しく考えずとも、サッカーの原理原則を守っていれば問題ないはず。そのせめぎ合いこそがサッカーの面白さ」と構える。前節のように攻守両面で繋がることが肝要だ。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
藤枝はやることが決まっていないしポジションも流動的で、つねにボールを持つことが出来る選手がたくさんいるので、本当に厄介な相手。絶対的なストライカーが前線にいて、そこの管理ももちろん必要だが、そこにボールが渡るまでの過程をどのように防ぐかというところもある。個人もそうだが、チーム全体でどう管理するかが大事になってくる。
藤枝は須藤監督がJ3の頃からブレずにやっていて、J2でも特長を出してチームを作り、素晴らしいサッカーをしている。藤枝のチームカラーを作っていて、僕もああいうのが好きだし、ああいうサッカーが評価されるのはいいことだと思う。ただ、こちらもホームであと3試合となり、それを3連勝したい。藤枝に勝ち、横浜FC戦で得た勝点1を大きくできるようにしたい。次節のアウェイ長崎戦もピースタの柿落としでアウェイのすごい雰囲気になると思うので、そこに向けて弾みをつけ、残留を決定づけるようなゲームにしたい。
■MF 14 池田廉
前節の横浜FC戦は今季初先発で、プレーしていて楽しかった。試合内容も今季でいちばん良かったのではないかと思う。前節は試合をやりながら、どんどんやりやすくなった。今日のゲーム形式のトレーニングでも、周囲の選手たちとたくさんコミュニケーションを取った。最近は選手間の話し合いがより活発になっている。
藤枝は上手いチームなので、焦れずに戦うことが大事になる。自分も繋ぎや水を運ぶ役割もこなしていきたい。(降格圏の栃木と勝点4差になったことについて)うちが勝点を積んでいけば自力で残留できるのだが、現状、勝てていないので難しさもある。前節のような戦いを続けていければと思う。藤枝のプレッシングにも慌てることなく攻撃していきたい。
■MF 18 野嶽惇也
まずは失点しないことが大事。前節も攻めることが出来ている中で、前がかりになって背後にスペースが出来てしまうといけないのでリスク管理しておこうと話した矢先に、安い失点をしてしまった。それを教訓としたい。藤枝は得点力があり、どこからでもゴールを狙ってくると感じなので、堅い戦いも必要となる。いまは「いいゲーム」は望まない。勝点を積むことだけ考えて、やれることをやっていきたい。
モヨ選手が出場停止だが、藤枝はコンビネーションも脅威で、後ろの選手も高い位置に出てくるので、こちらもちゃんとコミュニケーションを取りながら、人に食いつきすぎずに守っていきたい。前半を無失点で乗り切れれば後半にスタジアムの雰囲気も盛り上がってくるので、交代選手のパワーも含めて出せればと思う。