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今節の見どころ

守備の再建で攻撃を支え、17戦無敗で5連勝中の首位・横浜FCに立ち向かう

 

3連敗中に挑む相手は、首位をひた走る強豪・横浜FC。厳しい戦いが予想される中、互いにボランチの主力を欠いてのマッチアップはどのような展開へと流れるか。

 

守備戦術を再整理して基準を明確化

今週は守備戦術の確認に重点が置かれた。特に背後を突かれての失点が多くなっていることに加え、負傷者の復帰などでメンバーが入れ替わったり戦術が変わったりする中でやや曖昧になっていた部分があることを踏まえ、選手の感覚も反映させながらあらためて整理。明確な基準の下に共有したようだ。特にプレスの掛け方とラインコントロールに関するディシプリンを徹底することにより、守備がバラバラになることを防ぐ。
 
出場停止明けで戦線復帰する経験豊富な香川勇気やディフェンスリーダーとしてライン設定を担う安藤智哉によると、ディスカッションでも選手からの具体的な意見が出やすくなっているという。今季のようにチーム状態がなかなか安定しない中では、メンバー変更などがあるたびに細やかに意思疎通を図っていかなくてはならない。吉田真那斗は「守備は積み重ねが大事。ピッチの中でつねに周りを見ながらコミュニケーションを取り続けたい」と話した。
 
保田堅心がU-19代表活動で抜けたボランチの人選を含め、中盤の構成も気になるところ。前節は中川寛斗も欠場しており、今節出場できるか否かで布陣の性格が変わってきそうだ。一方で2列目に関しては、野村直輝と髙橋大悟の2シャドーがハマっており、好機は徐々に増やせている。ボールを運べる池田廉やポジショニングに長けた町田也真人らも調子を上げており、彼らが残り試合で新たな刺激をもたらしてくれることに期待したい。
 

ユーリ・ララ不在の横浜FCがどうなるか

一方の横浜FCもユーリ・ララが出場停止。攻守に圧倒的な存在感を示すボックス・トゥ・ボックスのボランチの不在がどのように影響するかが興味深い。前節の徳島戦に続き相手メンバーが読みづらく、ピッチでは柔軟な対応が求められることになる。
 
現在、大分は3連敗中で、横浜FCは5連勝中とコントラストの強いチーム状態。戦力個々の高いポテンシャルにも支えられて21勝6分4敗で首位に立つ横浜FCは、ポゼッションスタイルの浸透とともに調子を上げ、17戦無敗で昇格争いの先陣を切っている。マッチアップは第2節の前回対戦とは全く異なる感触になるだろう。タレントたちによる質の高い攻撃に対応しながら、こちらもリーグ最少の18失点を誇る堅守を打開しなくてはならない。福森晃斗の左足はフィードのみならずセットプレーでも要警戒。特に前線のメンバーに高さが不足している現在、どう守るかはしっかり準備しているはずだ。
 
状況的には厳しい戦いが予想されるが、リーグ通算対戦成績は18勝7分6敗と相性は悪くない。前節に続き古巣のスタジアムでのプレーに燃えている野村の、22年J2第40節のような恩返しゴラッソにも期待したい。勝点を1ずつでも積んでいけば、十分に自力で残留を勝ち取れる位置。落ち着いて戦い、地に足をつけて前進していくのみだ。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
自分なりに準備した対横浜FCの守備と攻撃のところは選手たちに伝えることが出来たので、あとは選手に自信を持たせて思い切りプレーさせたい。外的要因に目を向けず、相手が首位だろうがアウェイだろうが自分たちのフットボールで勝つという気持ちを強く出すようなゲームになってくれればと思う。その中で勝点3を取ることが出来れば自信に繋がり、残り試合にも繋がっていく。今節はそういうチャレンジになる。
 
今節の戦いのポイントは選手たちも理解してくれていて、整理されていると思う。ただ、相手はクオリティーと強度が高いので、そこでどれだけ戦ってくれるか。今週は守備戦術をあらためて整理したが、改善されたところもあればまだ残る課題もある。これは継続的に積み上げていくべきものであり、試合中に切らさず集中して11人がどれだけ一丸となってプレーできるかが大事。
 
■DF 25 安藤智哉
 
失点が続いているのでより強固にしていくために、今週は守備を整理した。映像での確認を通じてみんなから意見が飛び交うことも増え、これまで以上にコミュニケーションが取れるようにもなってきた。実際の試合でそれを表現できればと思う。最善の準備をして臨みたい。
 
横浜FCは裏抜けをかなり狙ってくるのでライン設定が非常に大事で、同時に前のプレッシングも大事になってくる。ただ、仮に前のプレスがハマらなかったとしても、後ろは崩れてはいけない。今季は守備のことも攻撃のことも考える時間がより増えて、個人的にいいことだと思っている。自分が良ければ勝てると思いながらやっていく。特に後ろの選手はそうでなくてはならない。とにかく勝ちたい。
 
■DF 44 吉田真那斗
 
(前節は最終ラインで出場したが?)自分の良さは後ろのほうが出やすいのかなと感じた。推進力や攻撃に関与していくところでは後ろのほうが手応えがあったので、初めてのポジションでも不慣れという感覚にはならなかった。上手く関係性で崩せる場面があったので、一列前でも最終ラインでも自分としてはあまり変わらない。
 
基本的に1対1で負けてはいけない。相手は好調だが、フィードやクロスに対しても局面ごとにしっかり全員が戦えば、勝てない相手ではないと思う。ひとりひとりが意識を高めて戦っていきたい。もっと前線の選手に得点が欲しいので、そのために、サイドや後ろの選手が前線を上手く生かしていかなくてはならない。いい選手が揃っているし、以前よりもいい形が作れるようになってきているので、あとは質を高めて仕留め切れるかどうか。
 
マリノスでは三ツ沢での試合をスタンドから観戦してきた中で、今節はピッチに立てる可能性が高いので楽しみにしている。いま自分は大分の選手だが、片隅にはマリノスのプライドも持っているので、横浜FCには負けられない。