大事なのは一体感と闘う気持ち。大観衆に後押しされてホームで白星を掴め
心身ともにダメージの深かった前節からの立て直しが問われる今節。クラブが一大集客プロジェクトを仕掛ける九州ダービーで、チームとしても個々としても、自らの持つ本来のポテンシャルを表現したい一戦だ。
基準を共有して一体となることがカギ
期待を持って臨んだ中断明け初戦だったにも関わらず、不甲斐ない内容で敗れた前節の山口戦から1週間。前半途中で足が止まるほどの維新の独特の蒸し暑さや劣悪なピッチコンディションに加え、終始相手にペースを握られっぱなしというメンタル的なダメージも大きかった。
今節はそこからのリバウンドパワーが強く求められる。まずは前節のようにチーム内での意思がバラバラにならないよう、しっかりと基準を共有することが肝要だ。コンパクトな距離感を維持しつつ、攻守両面で全体がひとつになって戦いたい。
大木武監督の独特なスタイルを貫く熊本は、スピーディーで流麗なパスワークを駆使しながらゴールを狙う攻撃的なチーム。それに対してはこちらも、特殊な対策が必要となる。前線からの守備でしっかりと制限をかけ効率的に潰しながら、攻撃に切り替わったら素早くスペースを見つけてボールを前進させる、それを一丸となって表現できるよう、チームは今週も意識づけに励んだ。
大勝や大敗も多い熊本とどう戦うか
熊本は現在、7勝6分12敗の勝点27で16位。今節勝てば6勝10分9敗の勝点28で15位につける大分と順位を入れ替えることが出来る。残留争いに巻き込まれず一刻も早く浮上したい同士、のっぴきならないシチュエーションでのマッチアップだ。
その特徴的なスタイルゆえか、横浜FCに0-5で大敗した翌節に愛媛に4-0で大勝し、長崎に0-2で敗れたあと千葉に2-0で勝利するなど、安定しない戦いが続いている。前節は栃木のコンパクトな守備に手こずりながらもチャンスは築くのだが、それをものに出来ないうちに立ち上がりとセットプレーで失点。終盤にかけてはペースを取り戻して追撃したが、栃木の堅守をこじ開けるには至らず0-2で敗れている。
本来のポテンシャルを出せず、いまひとつ安定感を欠くところも大分と同じ。厳しい状況にある同士だが、こちらとしてはホームゲームでもあり、勝利は譲れない。特に今節はクラブが総力を挙げて来場者2万人超えを目指す「亀祭」の2戦目。レゾナックドーム大分に響く声援に後押しされて、3試合ぶりの勝利を掴みに行く。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
前節の山口戦については、戦術的なところの精度というか、まだまだあれだけでは対応できないということだと思う。迫力や奪いに行くところ、ゴールを取りに行くところ、走力や質、量がまだ足りないということを、見ていて感じた。もちろんクロスやラストパス、シュートまでというところももう少しやらなくてはならない。
熊本さんは前回対戦時よりも若干、前への意識が高くなっていると感じる。ボールを持つといろいろ相手にとって嫌なことも出来る相手だし、難しいゲームになると思うので、相手を気持ちよくさせないように守備ではしっかり遮断したり奪ったりし、攻撃でもどれだけ質を上げチャンスを作っていけるかということに尽きる。
いま大事なのは選手がメンタル的に回復し、熊本戦に向けてパワーを出していい準備をし、躍動すること。そのへんもちゃんと伝え、狙いを持ってやれるよう、前向きになることを提示してあげたい。
■FW 99 髙橋大悟
前節は30分経たないうちに足が止まってしまい、自分たちのやりたいことを表現できず、相手のやりたいことを表現させてしまった。山口は強かったし、こちらのウィークをしっかり突かれた。僕は特に大分で初めての試合だったのでショックだった。相手からしても狙いやすいところにボールが入ってしまった。相手にとって怖いことや嫌なことがもっと出来ないと、爆弾ゲームのようにボールを回すだけではダメ。割り切って裏に落としてから押し込むのでもいいし、(長沢)駿くんの優位性を生かすのもビルドアップのひとつの選択肢。ただ回すだけがビルドアップではない。その意識を合わせなくてはならない。
前から行くのであれば剥がされたら頑張って戻る。行くときは行き、ダメだったら全員で帰り全体できっちり閉じて守る。固める、守る、我慢する、そして行けるときにまた行く。そういう気持ちの整理とやり方の整理がマッチしていないと難しい。前節、僕も何回かスイッチを入れようと試みたが、やはり全体の意識がマッチしないとボールは取れなかった。
ひとりが頑張ってふたつ守れるとか、しんどい思いをしても体を張るとか、攻撃だったらひとつ相手を剥がすとか、自分でシュートまで持っていくとか。絶対にマイボールにするとか。そういうのが必要だと感じた。そのベースがあった上での戦術。試合に出ている以上、申し訳ないプレーは出来ない。明るくみんなでひとつになって、勢いをもって戦いたい。