TORITENトリテン

今節の見どころ

巻き返しへの第一歩。蒸し暑い維新でのタフなゲームを支配せよ

 

3週間の中断期間明けとなる今節。新加入選手をフィットさせ、負傷から復帰したメンバーも加えて再確認したチーム戦術を、タフなアウェイゲームで描き出したい。

 

選手層の厚み回復に期待ふくらむ

3週間の中断期間が終わり、8月3日、J2第25節A山口戦から、リーグが再開する。
 
チームはこの中断期間に、守備と攻撃それぞれの戦術を再整理して落とし込み、あらためて戦い方のベースを共有した。6月に加入して慌ただしく実戦に投入されていた吉田真那斗と、中断期間中に加わった髙橋大悟の2人の新加入組はポジションの近い選手たちとコミュニケーションを重ねてフィットを進め、負傷から復帰したメンバーもコンディションを上げながら、チーム戦術を確認している。
 
自ずとゲーム形式のメニューが多くなったが、はたから見ても選手層の厚みが回復してきたことが感じられる。プレシーズンから主力候補が次々に負傷し、一時はチームの半数近くが離脱していたこともあったが、現在は各ポジションに複数の選択肢を見込めるまでになり、戦術オプションやゲームプランに幅が持てるようになった。
 
今季始動時から目指した、アグレッシブな守備から入るシームレス・フットボール。何のためにどうやってボールを奪い、奪ったあとにどうするのかという、トランジションまで含めた守備の意識と約束事を浸透させることで、対戦相手のスタイルや試合中の振る舞いによっても変わってくる攻撃へと転じていく。そうやって落とし込んだベースが、今節以降の戦いにどれだけ発揮できるか。戦力の新たな組み合わせと配置によっても、これまでの戦い方から大きく変化するものが見られる可能性がある。
 

梅木out、宣福inの山口

山口は、今季から指揮を執る志垣良監督の下、昨季までのポゼッションスタイルとは大きく異なるサッカーで勝点を重ねながら、現在11勝5分8敗の勝点38で5位と健闘中だ。前線に高さと強さのあるターゲットを置くスタイルの要であった梅木翼の仙台への移籍は衝撃的なニュースだったが、7月4日にはその後継者として名古屋から酒井宣福を期限付きで獲得。さらに3日後には町田から奥山洋平も加入している。
 
補強動向からは、今季これまでのスタイルを継続しつつ強化していく方針が窺える。スコアレスドローに終わった5月26日、第17節の前回対戦時にも、その特徴的な戦い方に対して片野坂知宏監督たちコーチングスタッフはしっかりスカウティングして挑んだ。今節も山口のスタイルを分析しているが、異なる出方で来る可能性も警戒しているようだ。
 
6月29日の第22節・水戸戦から戦線に絡んでいる小林成豪との対戦も楽しみのひとつ。最前線の酒井の周囲を嫌らしく動き回る厄介な存在となっている。長いボールを多用する傾向の強い山口だが、布陣には成豪をはじめテクニカルな戦力も多く並び、決して一筋縄では行かないチームだ。
 
互いに中断期間の成果を見せたい今節。維新のピッチコンディションや独特の蒸し暑さに苦しむことも懸念されるが、思い切って戦い勝点3を掴み取りたい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
山口もハードワークしてくるチームなので、バトルの部分も含め、受けずに対応しながら、守備で狙えるところでは自分たちが理想としているような奪い方をして、狙いを突いて攻撃できるようにしたい。
 
山口は戦い方がはっきりしていて、ある程度早く前線にボールを当ててセカンドボールを拾って前進し、酒井くんや成豪を走らせたりスペースを狙ったりしてくるので、セカンドボール対応もすごく大事になる。自分たちがボールを持ったときには山口のプレスをかいくぐり、狙いを持って得点しに行きたい。山口の強固な守備陣形をどう崩すか。山口は失点も少ないし簡単には得点できないかもしれないが、いま自分たちがトライしていることが結果に繋がればと思う。
 
■MF 16 茂平
 
いまはある程度、やり方がはっきりした中でトライしている。選手間でもコミュニケーションを取りながら進めていて、手応えを感じる。守備での奪いどころを定め、そこで奪うためにどう追い込んでいくかということを共有した中で、実戦で確かめられたのがすごく大きい。それがはっきりしたことで選手間での立ち位置や行き方なども話がしやすくなった。
 
山口はロングボールを多めに使ってこちらをひっくり返しに来ると思うが、少しでも守備で限定して蹴りにくくすることが大事。前から行くことによって相手がどのタイミングでどこに蹴るかが後ろの選手もわかるので、潰しどころで潰し、攻撃へと転じていきたい。そのための強度と予測が大事になる。
 
■DF 25 安藤智哉
 
中断期間は、戦術的なところでは前からハメる守備にトライした。この暑さの中では全部が全部は奪いに行けないので、チャレンジしながらも陣形を崩さず、引っ掛けてカウンターという選択肢も持っておきたい。スコアや試合状況に応じて使い分けが必要になってくる。
 
山口は梅木くんが抜けたあとに酒井(宣福)くんが入ってきた。J1でプレーしていた選手とのマッチアップは燃える。対山口としては、背後のスペースを消しつつボールホルダーにしっかり寄せれば長いボールも限定できる。プレッシャーのかけ方が大事。一発で背後を取られることに気をつけなくてはならないので、ライン設定も強気で行きたい。無失点で抑えて勝利したい。