いわきのパワフルな戦い方に巻き込まれずボールを動かして前進したい
システム変更してGKも代え、戦い方を変えて挑んだ前節。0-0ではあったが新たな変化も見え、おそらくそれを継続すると思われる今節は、そのクオリティーの進化に期待したい一戦だ。
攻撃面の課題改善に取り組んだ今週
一気に夏本番という天候になった今週。グラウンドには強い陽射しが照りつけ、気温もぐんと上昇した。
今季はスタートから4バックシステムでのスタイル構築に取り組んできたが、負傷者が相次ぎ、特にSBの層が薄くなったことを受けて、3バックシステムをベースにすることを余儀なくされたチーム。第20節の栃木戦に今季初の3バックスタートで臨むと、前々節の鹿児島戦は4バックシステムに戻したが、前節の甲府戦は3-5-2システムで戦った。
GKが濵田太郎からムン・キョンゴンに代わったことでも、戦い方に変化が生じている。ここまで濱田は数々のビッグセーブでチームのピンチを救ってきたが、一方のムンは攻撃面で長所を発揮するタイプ。パス交換で相手のハイプレスをいなすことに長けているため、後方でのポゼッションから数的優位を演出することが出来る。
6月は1得点しか取れておらず、チャンス構築数も少なかった。ただ、FW陣のコンディションが悪いわけではなく、ゲームメイクの段階で良いかたちで前にボールを収めることが出来なかったことが課題だ。その改善を期して今週は攻撃練習に時間を割き、ボールの動かし方を確認。布陣の重心が低くならないよう、押し上げてからは前線に人数をかけていく意識を共有した。
長崎と横浜FCに連敗中のいわき
いわきは現在、8勝7分7敗の勝点31で8位。第21節にはアウェイで山口に3-0と大勝したが、ルヴァンカップの影響で先週ミッドウィークに開催された第19節は長崎に1-3、その3日後に行われた前節は横浜FCに0-4と複数失点で連敗を喫している。個々のポテンシャルがありスタイルの強度が高い相手を苦手とする傾向があるようだ。
いわきと言えばインテンシティーの高さが何よりのストロングポイント。その強みを賢く生かした戦いぶりで相手を凌駕したときは圧倒的で、前回対戦の第11節には序盤からボールを握られると後半に失点し、0-2で完敗した。今節はそのリベンジを果たしたいところ。
相手の長所を出させないためにも、こちらがしっかりとボールを握る展開に持ち込みたい。激しいプレスに臆すことなくスペースを見極めながら、長短のパスを使い分けて前進できるか。苦しい状況からの脱却と浮上を目指し、意図を合わせて戦いたい。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
前節の甲府戦ではある程度狙いがあった中で選手たちがやってくれていて、それをより上げていければというところ。ここ数試合、得点を取れていないので、ディテールにこだわって刺激を入れることで少しでも得点に繋がればというところで、甲府戦で出た課題を修正するようにした。
いわきさんの良さはハードワークだし、オープンな展開でのカウンターのカウンターなどスピーディーな展開。そんないわきさんのストロングをしっかり理解した上で戦わなくてはならない。戦い方を合わせられるよう、選手に提示していく。だからといって受け身になると、いわきさんも得点力があるしボールの繋ぎも上手いので、そこはちゃんとやられないようにすることが大事。いわきさんのプレッシャーを回避して、しっかり認知した中でチャンスを作れるようにしたい。
■DF 25 安藤智哉
出場停止だった前節の甲府戦はスタンドから試合を客観的に見ることが出来た。前々節の鹿児島戦は自分が退場したあと、みんな倒れるまで戦ってくれていたので、次は自分がという思いで試合に臨む。ここからが勝負。トレーニングマッチで得点もしたので、公式戦でも取れるようにしたい。
相手のWBはスピードがあるし、対角へのフィードが多いので、そこのコントロールはつねにしなくてはならない。局面の1対1も大事。ああいう相手を上回って、相手の強みを消していきたい。まずは走るところや球際。相手のストロングに負けないこと。そこで勝たないと難しいゲーム運びになる。
■FW 11 渡邉新太
しっかりボールを持っていれば相手に攻められることもないし無駄走りも少なくなる。前節は攻撃の時間が増えて守備の時間が少なくなったことはよかったが、そうなったときにサイドとトップ3人の崩しやクオリティーを、自分も含めてもっと高めていきたい。ポジションを取っているところにいいかたちでボールが入れば絶対にチャンスになる。そこにボールを入れる過程がもっとスムーズになればと思う。
いわきに対しては1対1、個人での戦いでもベースとして負けないことが大事。その上でしっかり立ち位置を取って戦いたい。そうすれば奪われた瞬間にもパワーを出せるし、攻撃のときもさらにパワーを出せるようになる。まずはしっかりボールを持ってゲームプランを進め、チャンスメイクしていく。相手は高い強度を出してくるが、自分たちもトランジションの部分では負けてはいけない。
次の試合に向けての改善点や良かったところについて、選手同士でもミーティングでもしっかり話し合いが出来ていて、そういうところが積み上げに繋がっていく。やることが明確になったぶん、それプラスアルファのものを出せるようにしていきたい。