白波スタジアムは雨予報。相手の勢いに飲まれずアグレッシブに戦え
前節、山形に逆転勝利して浅野監督体制初の、そして9試合ぶりの白星を挙げた鹿児島。そのホーム連戦の2戦目に、今節は乗り込む。苦境を乗り越える足掛かりとなる勝利を。
苦しい台所事情が続く中で
前節・栃木戦での敗戦を受け、7戦未勝利。チームは苦しい時期を過ごしている。今週のオフ明けの19日には、通常の全体ミーティングの後に、選手のみのミーティングが行われた。
開催を主導した渡邉新太キャプテンによると、最年長の梅崎司からも後押しがあり、現状を鑑みて開催。「着地点が『練習からもっとやろう』ということになるのはわかっていたことだけど、ひとりひとり全員、特に若手たちが、自分の言葉を発することに意味があると考えた」と意図を明かす。最初に若い選手たちに発言を求めたものの、なかなか言葉が出てこなかった中で、最初に口火を切ったのは新井栄聡だったという。「栄聡は試合に出れていないけど、日頃の練習から全力でやっているのはみんなわかっている。そういう選手が最初に話してくれたことは大きい。栄聡みたいな選手が増えなくては、チームは強くならない」と渡邉。その日のトレーニングは良い緊張感の下に行われたが、「これが1週間、1ヶ月と続いていかなくては意味がない」と厳しい表情で話した。
負傷者が多い中で、ゲームプランも限定されがち。片野坂知宏監督は攻撃の課題改善のカギとして「選手の関係性」を高めることを挙げたが、現状の戦いぶりは、たとえば関係性を築くのが得意なメンバーを優先すると守備面のパワーがやや落ち、守備力を優先してメンバー選考すれば攻撃面に目をつぶらなくてはならなくなるといった状態に陥っているようにも見える。前節はそんなチーム事情も受けて今季初の3バックシステムでスタートしたが、狙いは上手く出せず。復帰が見込まれるメンバーのコンディション向上が急がれる。
前節、山形に逆転勝利した鹿児島
一方で鹿児島は、12日に対戦した天皇杯2回戦で敗れはしたものの、負傷から復帰したメンバーやこれまで出場機会を得られなかったメンバーが多く出場し、選手層が厚みを持ちつつある。第18節から指揮を執る浅野哲也監督体制でリーグ戦3戦目にあたる前節、山形に2-1で逆転勝利して新体制初白星、9試合ぶりの勝利を遂げた。
今節はそこからのホーム連戦。リーグ第5節と天皇杯2回戦で連敗しているだけに、今節はホームで勝ちに来るだろう。鹿児島にとって大分は2016年J3でも2敗した相手であり、初勝利への思いは強そうだ。
ただし、浅野監督は山形戦についても「内容的には厳しいものがあった」と評価。天皇杯での大分戦後にも球際への寄せについて「まだまだ」と言及していたが、山形戦のハーフタイムには守備についてゲキを飛ばしたという。
監督や選手が代わっても伝統的にアグレッシブなスタイルを貫いてきた鹿児島。前線のタレントは多く、大分戦での活躍を期しているに違いない藤本憲明をはじめ、ンドカ・チャールスや鈴木翔大らに加えて前節得点した有田光希も調子を上げている。サイドには技術が高くスピードのあるアタッカーが揃い、どの駒がどの順番で起用されてくるかが読みづらい。
チーム状況としてはどうしても鹿児島に分があるように思えるが、大分も、前節の栃木戦では複数の決定機を築き12本のシュートを放っている。栃木戦では先制点を取れなかったことが大きくその後の展開に響いてしまったので、今節はなんとか先に点を取って、試合の流れを引き寄せたい。
駒不足を戦術的工夫で補ってしのいでいるが、選手個々が持てるパワーを出して戦うことが大前提。苦境への特効薬は勝利のみだが、その勝利を引き寄せるのは自分たちでしかない。相手のパワーに負けずに戦うのみだ。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
今週は選手たちが自発的にミーティングをした。今季はホームでなかなか勝てていないし前節の栃木戦もああいう敗戦の仕方だったので、選手ももう一度気を引き締めるためにトレーニングへの姿勢などについて意見を言い合ったようだった。やはりプレーするのは選手だし、そういうことは大事だと思う。
鹿児島さんは天皇杯とはまた違ったメンバーで来るだろうし、怪我人も何人か復帰してきている。有田くんも点を取ったし、五領くんたちも天皇杯でメンバーに入ってきたので、コンディションが上がっていれば絡んでくると思う。フジ(藤本憲明)もいるし、誰をどういうふうに使ってくるか。
ここまで18得点は少ないしシュート数、チャンス数もトータル的に少ない。前節は12本打った中で、そこで点を取ることが出来ればよかった。
■FW 29 宇津元伸弥
3連戦を終えてかなり疲労したが2日間のオフは家から出ずに過ごし、回復した。栃木戦は仕掛ける機会が多く、チャンスも多く作れたが、そこで点を決めていればチームの流れも変わるし自分のコンディションも上がる。全部の1対1に勝つことが大事だが、勝てなかったとしてもすぐに切り替えたい。サイドで優位性を保てばチームも楽になるので頑張りたい。
愛媛戦以来、先制点が取れていない。前半チャンスを決めきれずに後半に失点する試合が続いたので、そこは僕たち攻撃陣の課題。1点取ってディフェンス陣に楽をさせたい。特に(濵田)太郎が守備でよく踏みとどまってくれているので、太郎に楽をさせたいと思っている。勝てておらず降格圏が近づいているという声も聞こえてくるが、僕はそこは気にせずに上しか見ていない。まずは鹿児島に勝って勢いを取り戻すことが大事。
■GK 32 濵田太郎
鹿児島はメンバーも代えてくると思うし、今節はアウェイで、僕が出た前回対戦時とは監督が代わっているので前回勝利したことなどは関係なく、目の前の勝利にこだわっていきたい。ここで勝つか負けるかで今後の昇格争いやプレーオフ争いが左右されてくると思うので、何が何でも勝って勢いづけたい。鹿児島はサイド攻撃に勢いがあるが、いま自分たちはクロスからの失点も少なく、引き続きしっかり対応していきたい。
白波スタジアムは長野に移籍していた昨季、J3でプレーした。観客が多くワンプレーごとにすごく沸いて、鹿児島サポは熱い印象。その試合では長野が勝ったが、アウェイの雰囲気満点のいいスタジアムだと感じた。
選手ミーティングではみんなそれぞれ思っていることを話した。自分は次の試合でスタメンを外れるかもしれないし怪我をするかもしれないと考えたら、日々のトレーニングでももっといい準備が出来ると思うし、一日一日に懸ける思いが強くなる。練習からワンプレーワンプレーに全力を注いでいこうとみんなで話し、自分自身もただメニューをこなすだけでなく、少しでも上手くなろうという意識で取り組んでいる。