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今節の見どころ

小林伸二監督体制5戦目の栃木を迎え撃つ。後半戦での巻き返しに向け前回対戦のリベンジを

 

今節からはリーグ後半戦。その最初の敵将は、第16節から指揮を執る小林伸二監督だ。かつて大分を初めてJ1昇格へと導いた名将が急ピッチで立て直しつつある栃木に、前回対戦のリベンジを果たしたい。

 

前節の山形戦から天皇杯・鹿児島戦の流れは上昇傾向

負傷や出場停止で複数の主力を欠いた前節の山形戦では綱渡りのように戦力をやりくりして戦うことを余儀なくされ、選手によっては本来の役割とは異なるタスクを急遽こなすことを求められたりもした中で、さすがに試合は終始相手のペースに。それでも全員が粘り強く戦い、スコアレスドローで終了。難しい状況ながらアウェイで勝点1を得た。
 
そこから中2日での天皇杯2回戦・鹿児島戦は、ペレイラ以外の10人を入れ替えてスタート。今季アカデミーから昇格した3人や2年目の生え抜き佐藤丈晟に2人の大卒ルーキーら布陣に多く並ぶ若手を、ペレイラと香川勇気の2CB、2トップの一角の伊佐耕平がリードし、ベンチからも経験豊富な選手たちが声をかけ続ける戦いとなった。鮎川峻とムン・キョンゴンもこの試合で復帰。若手たちも躍動して、伊佐の決勝弾により1-0で勝利すると、3回戦・川崎F戦へと駒を進めた。
 
天皇杯ではあったが、第5節以来のホームでの勝利。雰囲気も上がったところで、リーグ戦にも勢いを繋げていきたいところだ。今節からリーグは後半戦。ホームで1勝しか出来なかった前半戦のぶんも、しっかり巻き返していきたい。
 

新体制下でボールの動かしが巧みになっている栃木

とは言っても、台所事情は厳しいまま。野嶽惇也が前節途中で負傷したほか、トレーニング中のアクシデントにより今節の出場が危ぶまれる選手が複数名いる。保田堅心はU-19代表から12日夜に帰国し、13日にチームに合流してリカバリー、14日から全体練習に参加しているが、帰ってきたときのことを「人が少なくてびっくりした」と語った。それには連戦中で天皇杯出場組を中心にオフになっていたことも関係しているが、実際、別メニュー調整中のメンバーは相変わらず多い。
 
それでも天皇杯で手応えを得た若手たちがリーグ戦にも絡んでいく意欲を、以前よりはっきりと示しはじめた雰囲気は喜ばしい。少し以前には決起集会も開催して一体感を高めたチーム。主力と控え組のギャップが小さくなればなるほど、チームの総合力は高まることになる。
 
今節の相手・栃木は今季は不調に苦しんでおり、第6節の大分戦以来、勝利がない。第15節・徳島戦後に田中誠監督を解任して小林伸二監督体制へとシフトして、その後は2分2敗で今節が5試合目だ。新体制では選手の配置が若干変わり、以前よりもボールを動かせるようになって、前線の高さとパワーのある選手がより生きる戦いぶりになっている。前回勝利した大分戦とあり、選手たちのイメージもいいに違いない。
 
大分にとってこの敵将はクラブを初めてJ1へと導いてくれた人。まだフリーだったつい先日、創立30周年メモリアルマッチの第9節・秋田戦ではレゾナックドーム大分へ来場して祝辞を述べてくれた。それから2ヶ月余。本気で古巣を倒しに来るだろう。片野坂知宏監督にとっては現役時代の広島のコーチでもあり2003年大分での監督でもある。この師弟対決は小瀬で開催された2016年天皇杯3回戦・清水戦以来。あのときは0-1で敗れたが、今節は勝利したい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
栃木との前回対戦はあれだけ決定機やチャンスを作って勝点1さえも取れなかったので、あの敗戦は悔しさしか残っていない。今節はリベンジマッチだと思っている。ただ、あのときとは状況が違っていて、栃木は面倒な感じになっている。
 
陣形は3-4-2-1で、伸二さんになってからボールの繋ぎも上手くなっている。守備のところもしっかりオーガナイズされていて隙がなくなり、手強くなった。伸二さんはしっかりとマネジメントして選手を戦わせ、隙のないことをするし相手の隙も許さない。栃木は監督交代後に変化して良くなってきていると感じる。南野が調子がいいが、G大阪で一緒にやっているので、あいつにはやらせたくない。左足をケアしたい。
 
■DF 2 香川勇気
 
怪我から復帰してコンディションはいい。(山形戦、天皇杯と3つの異なるポジションでプレーしたが)どこで出てもプレーできるイメージは出来ている。どこから攻めることが出来るかをもっと早く前半から見つけることが出来ればスムーズになるのだが、最近はちょっと立ち上がりがよくないので、全員で早いうちに攻めどころを見つけていきたい。
 
今節の相手はやることがはっきりしているので、自分たちの攻め方、ボールの持ち方、ゲームの進め方など自分たち次第だと思う。相手にボールを持たせると前線の選手のストロングを生かしてくるので、自分たちでボールを持てるようにしたい。
 
トレーニングでも若手たちににつねに声をかけてきた中で、天皇杯では公式戦でやれる機会が出来た影響もあると思う。やはり練習とは違う肌感を感じながらやってくれたことが大きい。前節の山形戦と天皇杯2回戦・鹿児島戦で特に若手はいい経験を積めたと思う。

里帰り中の岩田智輝(セルティックFC)が陣中見舞いに来てくれたよ