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今節の見どころ

2回戦は新体制での公式戦初勝利を期す鹿児島と。チームの新たな可能性を見たい

 

こちらもリーグ6戦未勝利だが、相手も8戦未勝利と苦しんでいる同士の、天皇杯での対戦。連戦のためおそらく戦力のターンオーバーが予想される。新たな可能性の発芽に期待したい。

 

若手がチャンスを掴める貴重な天皇杯

綱渡りのように戦力をやりくりして戦ったJ2第19節アウェイ山形戦から中2日。試合後すぐに帰路についたチームは翌日から天皇杯2回戦・鹿児島戦の準備に入った。
 
山形戦では香川勇気が戦線復帰。小酒井新大と藤原優大が出場停止分を消化し、11日にはモーリスレベロ杯参加中のU-19代表から保田堅心を呼び戻すことも発表されたが、山形戦で野嶽惇也が負傷交代したこともあり、またしばらく主力が欠ける可能性が出てきた。特別指定選手の有働夢叶と木本真翔はそれぞれの大学で天皇杯に登録されたため、出場できない。(なお、中京大の1回戦・びわこ成蹊スポーツ大戦で有働は決勝点を挙げている)
 
そんな選手層もあり、リーグ次節の栃木戦との間に挟まれた天皇杯では、2種登録選手の動員も含め大幅なターンオーバーが想定される。ここでどれだけ戦力の底上げが出来るか、リーグ後半戦を占う大事な試金石となる。山形戦の終盤では松岡颯人がリーグ戦デビュー。トップ下で出場したルヴァンカップ北九州戦に続き本職のボランチではなく右WBでの出場となったが、1対1の守備にも果敢に挑むなど短い時間ながら気概を見せた。出番はなかったが山形戦には佐藤丈晟も帯同。先日、キム・ヒョンウが4得点を挙げて猛アピールしたトレーニングマッチ・日本文理大戦で、その4得点のうち2得点は佐藤のアシストだった。新たなポジションにチャレンジ中の天才肌のブレイクが待たれる。また、負傷からの復帰組が絡んでくれば、それもリーグ戦へと繋げていけそうだ。
 

浅野監督体制になってのリーグ2戦はいずれもドロー

2回戦の相手・鹿児島とは3月にJ2第5節で対戦し、3-0で勝利。それがリーグ前半戦唯一のホームでの勝利となったが、その鹿児島はチームをJ2昇格へと導いた大島康明監督を第17節・藤枝戦後に解任し、第18節・秋田戦からは8年ぶりに鹿児島で指揮を執る浅野哲也監督にバトンを渡している。秋田戦も前節の岡山戦も、フォーメーションは前体制と同様に4-2-3-1。起用選手もそれほど大きくは変わっておらず、この連戦中の天皇杯で浅野監督がどのようなマネジメントをしてくるかはまだ見えないが、監督や選手が代わってもアグレッシブなスタイルを貫いてきたのが鹿児島だ。
 
天皇杯での対戦から10日後には白波スタジアムでのJ2第21節での対戦も控えているが、ともにターンオーバーしていれば全く別の試合になる可能性も高い。ただ、鹿児島は監督交代後の2戦もドローとリーグ戦8戦未勝利でJ3降格圏に沈んでおり、この試合で浅野監督体制での公式戦初勝利を遂げて勢いをつけたいはず。一方で大分もリーグ戦6戦白星なし。たとえ異なる大会であっても勝利に飢えるのは鹿児島と同じで、
 
リーグ前節の山形戦では、片野坂知宏監督の采配にも苦しい台所事情が露呈したが、アクシデントによる急な布陣変更に対応した選手たちが、チームのためにそれぞれのタスクを懸命にこなす様子が見られた。それがあってこその、難しい試合での勝点1。「これまでの引き分けとは違う意味がある」という試合後の指揮官の言葉どおり、山形戦とこの天皇杯・鹿児島戦を、今季の大きなマイルストーンにしていきたい。