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今節の見どころ

急造布陣で挑むアウェイ山形。柔軟な戦いにはコミュニケーションが重要

 

負傷と出場停止によりさらに戦力を欠いて臨む今節。急造布陣でどこまで一体感を持って戦えるかが試される。ピッチでもコミュニケーションを密にし、多彩に変化してくる山形に対応していけるか。

 

堅心・コサ・優大不在。どう戦う?

もとより負傷者が多く、保田堅心を右SBで起用せざるを得ない台所事情だったところ、その保田が前節の徳島戦終了後にU-19代表活動のためフランスへと出立。徳島戦で退場となった小酒井新大と藤原優大も出場停止で欠いて、チームは今節に臨むことになる。
 
遠方で移動負荷の高い敵地でのタフな戦いを終えると、次は中2日で天皇杯2回戦・鹿児島戦。リーグ戦でメンバー入りしている特別指定選手の有働夢叶と木本真翔は、それぞれの大学で天皇杯に出場しているため、大分では登録できない。最近は2種登録選手がコンスタントにトレーニングに参加しており、天皇杯に動員される可能性もある。
 
かくも選手層が心もとないチーム状態で連戦を迎えることで、コーチ陣はゲームプランニングに頭を悩ませているようだ。選手の組み合わせが限られてしまえば、交代で変化をつけるバリエーションの幅が、どうしても狭くなる。
 
ただ、この窮地は、これまで出場機会の少なかった選手たちにとっては絶好のアピールチャンス。彼らがチーム内競争を活性化できれば、今節で折り返しとなるリーグの後半戦にも希望が見えてくるはず。今週のゲーム形式のトレーニングでは、多彩な組み合わせが試された。負傷の癒えたメンバーが復帰するか否かも気になるところだ。
 

賢く立ち回りたい立ち位置の取り合い

アウェイ山形戦と言えば、昨季のトラウマが蘇る。「エデュケーショナルデー」と銘打たれ水曜13時キックオフという異例の日程で開催された試合は、0-5での大敗に終わった。そして今節も山形は小中高生無料招待。大分のファンやサポーターにとっては少なからず圧を感じるイベントかもしれない。
 
一方で、片野坂知宏監督にとっては、J1自動昇格を決めた2018年J2最終節以来のNDソフトスタジアム山形。山形には2014年J2第16節(1-0)を最後に勝利しておらず、アウェイでの勝利はなんと2002年J2第38節(1-4)にまで遡るが、この相性の悪さを、今節こそ払拭したいものだ。
 
山形は昨季第8節から指揮を執る渡邉晋監督体制2シーズン目であり、今季は躍進が期待されているが、現在のところは6勝3分9敗の勝点21で15位。開幕2連勝スタート後は3連敗、その後も勝ったり負けたりを繰り返し、第14節からは山口、水戸、秋田に無得点で3連敗を喫している。前々節の熊本戦(1-0)で6戦ぶり白星を挙げると前節は群馬にスコアレスドロー。なかなか波に乗り切れていないのは、大分と同様だ。
 
古巣戦となる後藤優介・國分伸太郎もそうだがタレントが多く、状況打開のために多彩な戦い方を見せるチームだけに、今節も山形の出方は読みづらい。試合展開によってもさまざまに変化してくるので、それを見極めながらチームで合わせて戦う力が求められる。簡単な試合にはならないが、こちらも勝利に飢えている。熱く賢く対峙して、6戦ぶり勝利を掴みたい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
今節は急造布陣でやらなくてはならないので、すぐにパーフェクトなことは出来ないのだが、少しずつゲームに向けて大事なことを落とし込みつつ、ある程度の許容範囲を広げた中でやっていくことが大事。出られない選手の代わりというよりは、出る選手が上手くその中でフィットしてくれればいいなと思う。
 
山形はクオリティーの高い選手が揃っていて2セットいる。どういう形でわれわれに対して臨んでくるかというところも、少し出方が読みづらい。良い選手が揃っているので、調子づかせたり勢いに乗らせると厄介なことになる。しっかりと管理しながらわれわれが上回れるようにしていきたい。
 
■MF 18 野嶽惇也
 
チームはいま怪我人が多いが、これは試されていると思うので、個人的にも怪我せず、チームのために切らさず戦いたい。前節は僕のところからやられてしまったので、守備のところの課題を修正したい。ゲームでも複数の組み合わせを試したが、交代カードも含めてコーチ陣はいろいろと考えて工夫しているのだと思う。
 
前節、3バックのWBになったときに、少しでもバランスを崩すと相手にやられてしまうのだなと実感したので、周囲との距離の取り方についてもいろいろと考えている。徳島は完全にこちらを研究して準備してきていた。これから夏場になってくるのでハイプレスばかりでなく、試合中に切り替えることが出来なくてはいけないと思う。
 
■DF 31 ペレイラ
 
ひさしぶりに先発で出ることになるかもしれないが、どのポジションで出たとしても全力で頑張って勝点3を取りにいきたい。前節も最終ライン、中盤、前線とどのポジションで出るかわからなかったが、ベンチにいる間にそれぞれのポジションでマッチアップする相手のことを見てイメージしていた。
 
今節もしっかり準備しておきたい。前節はボランチでプレーして、感触がよかった。いまは怪我や出場停止で選手が少なくなっているが、その中で、僕は試合に出るチャンスが来たら絶対に掴んで離さない。今節と連戦になる天皇杯にも、他の選手と競争して自分が出られるよう頑張るし、点も取りたい。