TORITENトリテン

今節の見どころ

今季ラストゲームは下平トリニータの集大成。群馬とそれぞれのスタイルをぶつけ合う

 

J1昇格への道は閉ざされたが、今季ラストゲームも決して消化試合とはしない。独特の戦い方が特徴的な群馬を相手に、これまでどおりポゼッション志向で向き合い、フットボールそのもので観客を楽しませに行く。

 

今季の、そして2年間の収穫を確かめたい一戦

2023年シーズン最後のゲームとなった、リーグ最終節。今季のチームの集大成を披露する場であり、10日に今季かぎりでの退任が発表された下平隆宏監督にとっては、指揮2シーズンの締めくくりでもある。
 
戦力の負傷や相手からの対策、それを受けてのマネジメントの問題で、安定感のある戦いがなかなか出来ずにきたが、その中でも培ってきたものはあり、それらを第39節・栃木戦から採用する4-3-3システムの中でいかに表現していくかで、今季の収穫を確認できるはずだ。
 
その試合に向けての、今季のチームが過ごす最後の1週間。公開されたトレーニングでは選手やスタッフたちの笑顔も見え、ゲーム形式のメニューではどんな状況でも全力の姿勢を貫くキャプテンの梅崎司に牽引されるように、全員が意欲的に取り組む様子がうかがわれた。
 
下平監督は「J1昇格の可能性はなくなってしまったが、われわれは消化試合だとは思っていない。もちろん順位のこともあるが、大事なのはシンプルに勝つこと。おそらくたくさんのサポーターが来てくださるのではないかと思っている中で、われわれのホームで勝って今季を終えることだけ考えたい」と話す。勝てなかった後半戦もホームやアウェイのスタジアムに通って応援してくれたサポーターに、最後に勝利を届けたい思いをあらわにした。
 

独特の可変システムが厄介な群馬

そんな今季ラストゲームの相手としてレゾナックドーム大分に迎えるのは、現在14勝15分12敗の勝点57で10位につける群馬だ。16勝11分14敗の勝点59で9位の大分に今節勝利すれば、順位を入れ替えて9位フィニッシュすることが出来る。群馬は2008年と2011年にJ2を9位で終えており、それがクラブ史上最高成績。今季もそこに並ぶことになるか否か。
 
今季の群馬は独特の立ち位置を取るビルドアップからの擬似カウンター攻撃が特徴的で、後ろに重心を置きながら攻守で可変するシステムはリスクも少なく堅守を維持。現在、失点数は42と東京V、清水、町田という上位陣に続くリーグ4番目の少なさで、対戦する側としてはなかなか厄介なチームだ。大槻毅監督1年目の昨季は20位で終えているが、今季の好調はこのスタイルが支えたものと思われる。
 
そんな群馬との対戦では、ポゼッション志向の大分がボールを握って相手陣でプレーする時間が増える展開が予想される。不用意にプレスに行けば擬似カウンターにより一発で背後を取られる危険性もあり、少ない枚数でもしっかり守り切れる態勢を整えておきたい。
 
シーズンを通しての安定感を醸し出せなかった反面、戦術的に多彩で読みづらい印象を相手に与えていた今季のチームが、今節も変わらずフットボールそのものに向き合う姿勢で勝ちに行く。それこそが、支えてくれた多くの人たちへのいちばんの恩返しだ。
 

試合に向けての監督コメント

■下平隆宏監督
 
目標達成できなかった悔しいシーズンだったが、最終節はまずはシンプルに勝つこと。ここまで苦しいシーズンだった中で、応援してくださっているサポーターのために、最後はホームで勝って笑って終わりたい。選手たちにとっても目標達成できなかったことはつらい現実だったと思うが、まだ1試合あるし、最後にファン、サポーターを喜ばせるチャンスがあるということ。
 
群馬はじわっと守るチーム。おそらく穴を開けないようにゴール前を固めながら守備をしてくるので、押し込んで攻撃できると思うが、あとは決定力のところが重要だと思っている。左右に揺さぶったり引き出したりの工夫、大胆な判断も必要になってくると思う。