戦う気持ちは潰えない。積み上げてきたものを整理して迷いなく発揮せよ
相変わらず厳しい状況が続く昇格争い。チームはいつもより入念な戦術的準備を施して今節に臨む。相手はJ2残留を懸けて苦しんでいる栃木。どちらにとっても勝点3が欲しい状況だ。
守備の安定感を維持しつつ攻撃力を高める
代表ウィークによる中断期間を利用して、チームは3日間のオフでリフレッシュしたあと、栃木戦に向けての入念な準備を施した。15日にはジェイリースFCとのトレーニングマッチを実施。戦術確認をしながら行い、U-22代表で存在感を発揮して以後、好調を維持している鮎川峻の得点で1-0勝利した。
それも踏まえながら翌週は、さらなる戦術浸透を継続。基礎メニューの段階から下平隆宏監督がじきじきに音頭を取り、立ち位置やボールの受け方、体の向きなどを細かく具体的に指示した。
ここ3試合は守備が安定して一時期のような複数失点はしなくなったが、バランスを重視する反動で、得点力のほうも勢いが損なわれている印象だ。チャンスは作れているのだが、フィニッシュの場面での迫力がもうひとつ欲しいところ。下平監督は守備の安定感を崩さずにもう少し攻撃に軸足を置けるよう、戦術的工夫を凝らしながら個々を指導した。
前節の東京V戦で一発退場となったペレイラが、今節は出場停止。その穴をどう埋めるかもポイントとなる。前節のように羽田健人を最終ラインに下げるのか、安藤智哉を5試合ぶりに先発起用するのか。それによって中盤より前の人選も左右されてくることになり、ゲーム形式のトレーニングでは複数のパターンが試された。
4連敗中の流れを断ち切りたい栃木
20日に行われた甲府対長崎が1-1のドローで終わり、11位の大分としてはJ1昇格プレーオフ進出にわずかながらまだ望みをつなげる状況だ。6位の長崎との勝点差は5で厳しい立場ではあるが、可能性のあるかぎり目標達成に向けて勝点3を積み続けたい。
一方の栃木は現在19位。J3降格圏の21位・大宮とは勝点6差だが、大宮が3連勝中なのに対して栃木は4連敗中と苦しんでいる。悪い流れを断ち切るべく、今節は是が非でも勝利が欲しいところだ。中断期間のトレーニングマッチでも好感触を得たようで、それを公式戦の勢いにつなげに行く。
アグレッシブなプレッシングと鋭いカウンターを強みとする栃木に対し、ポゼッション志向の強い大分がリスクマネジメントしながらどれだけボールを動かせるか。エースキラーのペレイラを欠く中でも栃木の強力なFW陣を抑え、恐れずにゴールへと向かっていきたい。
試合に向けての監督・選手コメント
■下平隆宏監督
これまで「共創」で選手たちに戦術を託す部分を多めにしてやってきたのだが、今節はこの中断期間も利用して、明確に指示しながら栃木戦に向けての戦術を落とし込んだ。攻撃に軸足を置くと守備のリスクが増すことにはなるが、ここ最近は守備は安定しているので、それを維持しながら、攻撃に迫力やアイデアを出していきたい。
■DF 49 羽田健人
先週から対栃木の準備をする中で、チームとしての戦術理解がより進んだ。栃木戦のカギは相手の強度の高いFWに負けてはいけないというところ。セカンドボールの拾いあいになると思う。今節はペレイラが出場停止なのでメンバーが変わることになるが、練習で合わせてみても特に問題ないと感じた。しっかりバランスを取りながら戦いたい。
■MF 7 梅崎司
栃木戦に向けてどう戦うかを明確にして準備は整っている。フィニッシュワークの部分は確実に変わると思う。攻撃に力をそそぐぶん、リスクを負う部分も出てくると思うが、そこでしっかりトレーニングしたことを出せるかどうか。相手は奪ってからのカウンターを特長としているが、こちらも狙いを出せればチャンスは作れると思っている。
何より大事なのはフィニッシュワーク。前節も試合の入りから僕らが主導権を握っていたが、どうフィニッシュにつなげていくかというところが薄かったのも事実。今節はそこに明確性が出てきている。僕も頭をクリアにして迷いなく判断し、ゴールにつなげていきたい。
チームとしてのこれまでの積み上げも絶対に生きてくる。この2年間でビルドアップの質は間違いなく向上している。そこに対しての立ち位置取りに関しては個人個人のスキルを持っている選手もいるし、そういうものが上手くミックスされて、フィニッシュまで完結できればと思っている。