昇格争いと残留争い、勝利を譲れない同士の対決。甘さを排除して妥協なく戦え
第6節、0-3というスコアで今季初黒星を喫した相手。その大宮が現在は最下位で残留争いの瀬戸際にある。こちらも昇格争いから脱落しないよう、勝利を譲れない状況だ。互いのヒリヒリ感が、レゾナックドーム大分でぶつかり合う。
難しいシチュエーションでのマッチアップ
6試合ぶりに挙げた白星で、J1昇格争いに食い下がった前節。相手が前半のうちに退場者を出すというアクシデントもあったものの、球際への厳しい寄せやアグレッシブに仕掛ける姿勢がその状況を呼び込んだとも言える。前後半を通じて相手をシュート0本に抑え無失点で終えたことで、修正し続けてきた守備に関しても、ようやく手応えが感じられたところだ。1人少なくなった相手が5枚のブロックを構えたあとも、伊佐耕平の巧みな裏抜けを存分に生かしつつ、渡邉新太による先制弾をものにすると、危なげない試合運びで堅実に勝利を手にした。
経験値の高い選手たちがピッチ上に多くなったことも、このシーズン終盤には心強い要素だ。特に前節は香川勇気のメリハリの効いたプレー選択が光った。昇格争いや残留争いが佳境を迎える中では、落ち着いて戦況を見ながら相手と駆け引きする力が求められる。
特に今節は、現在8勝6分22敗の勝点30で最下位の大宮との対戦で、相手も降格圏脱出を目指し、必死で戦ってくるはずだ。立場こそ違えどこちらも勝ち続けなくては昇格レースから脱落してしまう状況で、非常に難しいシチュエーションのマッチアップとなる。
4-4-2システムに変更し巧みな守備を敷く大宮
前節の貴重な決勝弾を挙げた渡邉が、今節は累積警告により出場停止。他に負傷者も出ており、それらの穴をどう埋めるかが、今週のトレーニングでの懸案となっていた。2日目のゲームでは大きく2つのパターンが試され、さらに具体的に戦術が落とし込まれた3日目の非公開紅白戦で、大方の布陣は決まったはずだ。その手応えについて、下平隆宏監督は「悪くはなかった」と評した。
本来は派手な打ち合いを好む指揮官だが、昇格争い真っ最中のいまは、辛抱強く手堅い戦法を貫く構えだ。前節のように全員が守備意識を高めた中で、ジャブを打ち続けるようにゴールをこじ開けに行く。
大宮も前節、7試合ぶりの勝利を挙げたところ。システムを4-4-2に変え、ボールを大事にする徳島を相手にタイトなハイプレスを仕掛けると、先制後は構えてスペースを消した。その守備はよく整理されており、クオリティーも高い。前節は体調不良のシュヴィルツォクを欠いていたが、アンジェロッティと室井彗佑の2トップが組織的にもハマっていた印象だ。今節はCBのカイケが出場停止で浦上仁騎あたりが入ってくると思われる。前節、威力を発揮した伊佐の裏抜けもケアしてくるに違いない。
ともに前節に手応えを感じた同士の背水の陣。おそらくそれぞれに前節を踏襲するかたちで激突することになるだろう。いろいろなバランスを維持する冷静さと勝利への推進力が同時に試される試合になる。
試合に向けての監督・選手コメント
■下平隆宏監督
大宮は現在最下位だが、彼らは必死で死にもの狂いで戦ってくる。絶対に慢心があってはいけないし、それを上回る気持ちを見せないと足元をすくわれる、と選手たちに話をした。前回対戦は0-3で負けているのでその借りを返したいというのもあるが、何よりもいま自分たちが置かれている状況を考えても絶対に落とせない試合になる。
■MF 8 町田也真人
第6節の大宮との前回対戦は、試合の入りもいい感じではなかった。その中でセットプレーでやられたので、やはり入り方が大事。前節の水戸戦は試合の入りから一人一人の気持ちが見えていた。球際がすべて気持ちだけで勝てるというわけではないのだが、そういう気持ちの部分を見せることが出来る選手はどんどん見せて、ボールを持てる選手はどんどん持つ。そうやって一人一人の特長がバッと最初に出ればいいなと思う。