TORITENトリテン

今節の見どころ

守備のオーガナイズが急務。上り調子の徳島を抑え5試合ぶりの勝利を目指す

 

前節の逆転負けを含め3試合8失点の要因を突き詰め、トレーニングを続ける中で指揮官は選手選考にも頭を悩ませた様子。上り調子の徳島に、今節、どう立ち向かうか。

 

課題は守備の強度と安定感。人選にも注目

ここ3試合で8失点という数字を受けて、今週も守備のトレーニングに多くの時間が割かれた。個々の局面での強度やスピードを出しつつ、周囲とも連係して守ることを求める。
 
失点の要因の大きなひとつはオーガナイズ不足。先週は守備の課題克服を目指しミーティングを重ねた中でもっと声を掛け合うことを約束し合ったが、前節の甲府戦では2点を先行しながら後半からピッチに入ったピーター・ウタカの存在感にパニック状態に。マイボールの時間を落ち着いて維持することが出来ず押し込まれっぱなしになってしまった。さらにはテイシェイラが67分でピッチに倒れ込み、交代を直訴。急遽、西川幸之介が途中出場することになったが、厳しい戦況に持ち堪えることが出来ず、PK献上もあり失点を重ねて逆転負けとなった。
 
長身を生かしたシュートストップには期待できるテイシェイラだが、コンディション面で計算できないのはつらいところ。西川と新井栄聡とともにポジションを競う中で、今節は誰がゴールマウスを守るのかが注目される。GKを含めCBとボランチの人選もポイントとなる。前線に経験豊富なベテランが並ぶ一方で、ボランチやCBには若い選手が多く、統率や試合運びの面で課題が出ていた。彼らの成長に期待もしつつ、ゆっくり待っている余裕もないというシーズン最終盤だ。
 

新体制での3試合すべてクリーンシートの徳島

前々節の長崎戦でチーム内走行距離トップだった長沢駿は、前節も前半だけで6.3kmをマークしていた。伊佐耕平との30代2トップの献身的な走りがチームを牽引したほか、渡邉新太が2得点に絡むなど、攻撃陣は上向きだ。
 
ただ、シーズン序盤からの不調を受けて指揮官交代へと踏み切った徳島は、守備を立て直して新体制で戦った3試合連続クリーンシート。ラバイン監督のラストゲームとなった第31節の山口戦から4戦連続無失点となっている。その整理された守備網をいかにこじ開けるか。
 
戦術眼の高い中盤の選手が個々の強度を誇る攻撃陣を巧みに使える徳島に対しては、守備の安定とともにボール保持もカギとなる。前節も2点を先行した状況で落ち着いてボールを持てていれば、相手に攻められっぱなしになる展開とはならなかった。クレバーな柿谷曜一朗、スピードのある浜下瑛と西谷和希、そして怖さを醸し出せる渡大生に森海渡。ずらりと揃うタレントを操るボランチは、下平隆宏監督肝入りの教え子である白井永地だ。
 
さらに徳島を上昇気流に乗せつつある新指揮官は、下平監督が指導者となったばかりの頃、柏アカデミーでともに仕事をした吉田達磨監督。互いによく知る関係の2人の采配合戦も見どころのひとつとなる。
 
昇格争いに食い下がりたい大分にとっては緊迫した状況が続いており、その緊張感をいい方向へと持っていきたいところ。今週から全体練習終了後に全員でのジョグ1周を加えるなど、雰囲気づくりにもコーチ陣による細やかな施策が見られる。梅崎司キャプテンの下に一丸となり、この難局を乗り越えていきたい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■下平隆宏監督
 
勝てていない状況でも選手たちは元気に前向きに取り組んでくれている。目の前の一試合一試合にどれだけ集中して臨めるかなので、とにかく勝つための準備をしている。今週は特に守備の部分。まずは簡単な失点をせず、その中で自分たちの攻撃のよさを出せればと思っている。
 
徳島はもともとボールを持つのが上手いので、ポゼッション率を高めて攻撃してくると思う。それに対してわれわれはしっかり守備をしなくてはならないが、こちらもボール保持からのサイド攻撃というところは必要となってくる。CBが後ろからコーチングしたり保持率を高める配球をしたりするところも大事になる。
 
■FW 11 渡邉新太
 
今週は戦術とか立ち位置とかどうこうよりも球際とか走るとかいったベース部分をシモさん(下平隆宏監督)がより意識させた。通常のトレーニングよりも対人系や球際のハードなものが多かった。要所要所で閉めるところなどポジションに関係なく共通して意識できた。そのことで、よりベースに対する意識が高まったと思う。
 
徳島は一人一人のポテンシャルが高く、いまの順位にいるようなチームではない。だからこそハマれば絶対に強い相手。主導権を握らせると本当に厄介なので、主導権の握り合いで負けないことが大事。押し込まれる時間帯も絶対にあるので、時間帯によっては割り切ったプレーも必要になる。賢くやっていかなくてはならない。
 
■FW 20 長沢駿
 
徳島は監督が代わり、その監督が(吉田)達磨さんなので、だいぶ厄介。どのチームに行っても自分のやりたいことがはっきりしているし、緻密だと聞いている。そういう部分がより浸透していると難しい相手になるが、隙を突ければ僕たちのチャンスになる。徳島はもともと力のある選手も多いので、ボールを持たれる時間も想定しながらになると思うが、最終的に僕らが勝利を勝ち取るだけ。90分を通してどういう試合をするかということが大事。
 
チームの置かれた状況的にピリついた感じもあるが、監督が雰囲気を作ってくれている。いちばんはみんなが楽しんでサッカーをやれることが大事。雰囲気的には悪くない。前節の結果を引きずることもなく、今節はホームで戦える。シーズン終盤はメンタル的な部分に左右されてくるものなので、スタッフが作ってくれている雰囲気を感じ取り、僕たちがピッチで表現できればと思う。僕ら年長の選手が示さなくてはならない。