現状打開の風穴を開けよ。再び上昇気流を掴む契機としたい一戦
内容も結果も厳しかった上位対決3連戦を終え、蓄積した疲労と損なわれた自信を回復させもう一度ファイティングポーズを取り直して臨む今節。天皇杯3回戦突破で勢いづく相手を、さらなる勢いで上回れるか。
気持ちを引き締めて原点を見つめ直した
タフさを極めた上位対決3連戦を終え、ひさびさに1週間の準備期間を得た今節。前節から2日間のオフを挟んで、通常のルーティンとは異なり、オフ明け初日は課題克服を意識させつつ心身のリフレッシュ。2日目にミーティングを行い、暑さの中、気持ちを引き締めて原点を見つめ直すトレーニングメニューを課した。
「走る部分、戦う部分といったところは、長いシーズンの中で薄れてくる時期がある。ミーティングでもガツンと言って、あきらめない、一体感、アグレッシブといったチームのフィロソフィーをもう一度共有した」と下平隆宏監督。負傷者が多発して戦力をやりくりしながら戦う中で、内容も結果も伴わなかった3連戦のあいだに疲労が溜まり自信や闘志が損なわれている雰囲気もあったチームに、戦いの原点を再確認させるタイミング。ゲーム形式のトレーニングでは2種登録選手を含めてメンバーを大幅にシャッフルし、あらためてポジション争いに刺激を入れた。
練習後に弓場将輝は「まだまだ足りないと自分自身で思ったし、最近は戦う部分が足りていなかったことをなんとなくみんなも薄々と感じていて、明確にミーティングで指摘された中で、もう一度締め直そうという雰囲気が全体に出てきた。チームとして仲間を助ける意識も、まだまだ足りない。試合に出ている選手は出ていない選手の思いも背負って、責任あるプレーをすることを忘れないようにしたい」と話した。
天皇杯で鳥栖を下し勢いづいた熊本
今節の相手である熊本も大分と同じく、シーズン折り返し以降は2分2敗と足踏み状態にある。前半戦終盤には第19節・いわき戦と第21節・藤枝戦で4-0と大勝もしたが、第22節からは磐田に0-2、東京Vに0-1、群馬と秋田にそれぞれ1-1と、自慢の攻撃力が得点に結びついていない。
ただ、12日に行われた天皇杯3回戦には、大木武監督らしく先発を1人変更したのみのメンバーで臨み、J1・鳥栖を鮮やかな逆転劇で下した。前半のうちに2点を先行されながら後半立ち上がりに松岡瑠夢の2得点で追いつくと、もう一度突き放されたあと、88分から出場した道脇豊が90分と90+5分に立て続けに得点を挙げて最終的に3-4というスコアで終えている。
そこから中3日。連戦とはいうものの天皇杯は同じ九州内で移動の負荷も少なく、好調の鳥栖にジャイアントキリングを果たして勢いづいているはずだ。公式戦2連続の九州ダービーに勝利して、再び昇格争いに絡める位置まで順位を上げたい状況にある。
そんな熊本相手に、大分がどういう戦い方で挑むか。連戦後にメンバーを見極めなおした指揮官とコーチングスタッフが、限られた戦力の中から誰をチョイスして戦術を組むかが注目される。闘志を前面に出して5試合ぶりの白星を掴みたい。
試合に向けての監督・選手コメント
■下平隆宏監督
ゲーム形式のトレーニングもメンバーをシャッフルして行った。熊本はマンツーマンで守備をしてくるので、走力のある選手を起用したいと考えている。
トレーニングを見てメンバーを選び、その上で戦い方も再考したい。ただ、戦術よりも戦う意識をもう一度あらためて前面に出すことが大事。どうしても戦い方や戦術を落とし込んでいくと頭がそちらに引っ張られ、そういう部分がおろそかになってしまう。その匙加減が難しい。気持ちを見せてアグレッシブに戦うことが大事。2連敗して、ここから何を見せられるか。われわれがJ1昇格するためには、もう勝ち続けるしかない。
■MF 6 弓場将輝
熊本は前からプレスに来るので、バックパスを繰り返していたら相手の守備にハマってしまう。なんとかボールを前進させたい。ミーティングでは自分たちがいま失いかけているもの、ゴール前で体を張るところや献身的に戦うところを、重点的に言われた。今日のトレーニングではそういうところを見せてくれといういことで、ハードなメニューだった。暑いがここで頑張れば9月10月に余裕を持って戦うことが出来る。頑張りどころ。
熊本戦は、個人的に平川くんにやらせたくない。2歳上で、熊本で花咲いた選手だが、もともとすごく才能のある選手だと知っているので、しっかりと抑えたい。相手はキャプテンでいちばんのキーマンだし、自分がそこを抑えれば相手に勝機を譲ることはないと思っている。