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今節の見どころ

上り調子を継続。サイド攻撃の練度を高め、下平監督体制初の4連勝へ

 

下平監督体制になってから、なかなか乗り越えられない4連勝への壁。今季3度目の3連勝からさらなる勢いをつけていくために、今節の千葉戦は重要な一戦となる。

 

サイド攻撃の徹底がもたらした今回の3連勝

今季3度目の3連勝で勝点を40に伸ばし、首位・町田と勝点6差の2位でリーグ戦を折り返したチーム。下平隆宏監督体制初の4連勝を懸けて、今節、アウェイで千葉に挑む。
 
負傷者続出という厳しい状況ながら上向きな手応えが感じられるのは、第19節・甲府戦からの徹底したサイド攻撃によるもの。攻撃戦術を整理し、サイドを起点としたフィニッシュの形を定めることにより得点機やCKのチャンスを大幅に増やしている。第20節・群馬戦からは伊佐耕平の軽い負傷により中川寛斗を4-2-3-1の頂点に配置した0トップシステムを採用せざるを得なくなったが、それも「怪我の功名」(下平監督)となり、中川とトップ下の野村直輝が自由に動くことによって、むしろサイド攻撃の徹底ぶりが増幅する形となった。
 
開幕以来、主力としてチームを支えてきた茂平に代わって右SHに入るようになった松尾勇佑が、絶好調の上夷克典にも助けられながらフィット感を増していることや、野嶽惇也の短い離脱中に池田廉が復帰したこと、2試合連続でサムエルの途中投入後に藤本一輝の決勝弾が生まれていることなど、好材料が並ぶ。それに加えて前節の岡山戦では、待望の渡邉新太が復帰。中川や野村とタイプの異なるゴールハンターが前線に入ってくることで、攻撃のニュアンスに大きな変化をもたらすことが出来る。渡邉とサムエルは昨季から相性のよさを感じさせており、前節のゴールシーンも2人が絡んだ。
 
これらの好材料をさらなる上昇気流へとつなげていくためには、サイド攻撃の練度を高めることが必要になる。より効果的にサイドを攻略できるように、今週は前節まで課題の残ったビルドアップの部分を重点的にトレーニングした。公開トレーニングでのゲーム後に、下平監督は「みんな頑張ってトライしてくれていた」と評価。そのゲームではサムエルも好調さを発揮しており、今節への期待感を煽る。
 

田口が復帰して捲土重来を期す千葉

千葉は現在、6勝6分9敗の勝点24で17位。第2節からは8戦白星なしと苦しい序盤を過ごしたが、第15節からは甲府、清水、栃木にすべて1-0で3連勝。だが、続いて仙台、町田、水戸に3連敗し、前節のいわき戦はスコアレスドローで連敗は止めたものの、厳しい状況が続いている。
 
それぞれの対相手戦術の狙いや試合中の修正もロジカルなのだが、それがなかなか勝点に結びついていない印象だ。ただ、前節のいわき戦で田口泰士が10試合ぶりに復帰し、87分間プレーしたことは千葉にとって大きな好材料となった。経験豊富で強度高くゲームメイクに長けた田口が中盤で存在感を放つことで、布陣のクオリティーは一段階上がる。もとより個々の能力の高い戦力が揃っており、それをまとめる力が強固になればチーム本来のポテンシャルが引き出されるようになるはずだ。
 
千葉との前回対戦は2-1で大分が勝利。高畑奎汰の2得点で先行し、試合終了間際に失点している。千葉はこの試合からシステムを4バックに変更して現在も継続中。大分は当時は3-4-2-1で戦っており、チーム状況や成熟度も大きく異なる。両者がぶつかる今節、ピッチで何が起きるか。
 
呉屋大翔や風間宏矢ら“元大分組”との対戦は楽しみだが、前回対戦時に「次のフクアリで」と燃えていた町田也真人が負傷中なのがつくづく残念。15時15分からスタジアムの公園エリアで、日本サッカーに大きな功績をもたらしてくれたイビチャ・オシム元千葉監督モニュメントの除幕式が行われるので、興味のある方はそちらも是非。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■下平隆宏監督
 
後半戦も、いまうちがやっていることを積み上げてやっていく。これで結果が出ていけば選手たちも自信を持ってやれるようになる。勢いをつけるためにもこの時期に連勝を重ねたい。僕は横浜FCで昇格した2019年に、この時期に戦術がフィットして7連勝してそこから一気に波に乗った(記者註:第20節から17戦負けなし)。
 
ビルドアップは完璧ではないが、頑張ってやろうとしているし質も上がってきている。ゲーム形式の練習でもいい感じで点が入った。このあとのタフな3連戦、特に首位・町田といい形で対決できるためにも、今節の千葉戦は非常に大事にしたい。
 
■DF 25 安藤智哉
 
チームとしては前半戦の目標の勝点42にはちょっと届かなかったが、いいときも悪いときもありながら2位で折り返せているのはいいと思う。個人的には怪我で出遅れた部分もあったが、同じポジションの選手たちといい競争をしながらやれている。もっと個人のところを上げていきたい。
 
ここ最近、シュートが味方に当たるシーンが多い。決め切るところを決め切りたい。フクアリはアウェイ感がすごいらしいので楽しみにしている。
 
■MF 5 中川寛斗
 
(0トップシステムで重要な役割を担っているが)相手によって数的優位を作る必要がないときは行かなくてもいい。今節の千葉戦はまた僕の中で分析しながら、チームのやりたいこととアジャストしながらやっていく必要がある。現在のチームとしてのビルドアップの課題は、シンプルに止める/蹴るの質と、それに対する準備。すべてにおいてまだまだだなと感じる。
 
僕はノムくん(野村直輝)のようなファンタジスタが好き。ちょっと外国籍選手チックというか、ボールを渡せばなんとかしてくれる日本人離れしたところがある。そしてノムくんも僕に気を遣って自由にやらせてくれている。
 
■FW 9 サムエル
 
群馬戦で自分がピッチに入って4分後に点が入ったのは、自分は直接ボールは触っていないが、ニアに走ったら相手CBが自分についてきたところで、背後にフジ(藤本一輝)が入ってきたもの。少しでも得点に貢献できたのでうれしい。岡山戦では自分が入って2分後にアシスト。フジにパスを出してフジが決めてくれたのでよかった。次は自分のゴールで勝ちたい。
 
(渡邉)新太やノム(野村直輝)たちMFとは上手くいっている。彼らと近い距離を保っていれば、いいコンビネーションを繰り出せる。もっともっとそういう状況を作って相手ゴールの近くで危険なプレーをすれば、さらに得点は増えていくと思う。