現在地から見つめ直した原点。仕切り直して勝点1差の甲府に挑む
4戦未勝利と足踏み中のチーム。オフ明けの朝には、長いミーティングが行われた。それを踏まえたより具体的な戦い方をグラウンドで落とし込み、今節、勝点1差で追う甲府に挑む。
戦い方をより明確かつ具体的に
週の立ち上げの5月31日、選手やスタッフがグラウンドに出てきたとき時計はすでに11時15分を指していた。ずいぶん長いミーティングが行われた模様だ。
約半年前、チーム始動の日にひとりひとり全員が掲げた、目指すべきサッカー像。シーズンの半分近くを戦ったいま、それを実践できているかどうかを検証し、あらためてここからどうするべきかを、もう一度ひとりひとりが発表した。個人とチームの現在地を見極め、チームコンセプトを再確認する作業。その内容をもって、下平隆宏監督以下コーチ陣は、翌日からのトレーニングを実施した。
走り、闘う。メンタル面も含めてのインテンシティーを向上させるためにも、選手たちがより迷いなくプレーできるように、今週はこれまでよりぐっと具体的な戦術的指示が多く出された。チームとしての戦い方を整理し共有して、再び上を目指す態勢だ。
負傷者も多いが、2日にはU-20W杯から帰還した屋敷優成も合流。戦線復帰しつつある戦力の姿も見え、新たな刺激がもたらされることを願う。
乗り込んでくるのは天皇杯チャンピオン
昨年の天皇杯で優勝を遂げ、今季はJ2リーグ戦を戦いながらACLに挑戦する甲府。それを見据えた戦力補強も行い、充実した体制で戦っている。
天皇杯優勝へと導いた吉田達磨前監督は昨季かぎりで退任し、今季から指揮を執るのは篠田善之監督。前監督の落とし込んだテクニカルな攻撃的スタイルの要素も残しつつ、より守備を強化し、攻撃にもシンプルな力強さを加えた。
補強の目玉であったピーター・ウタカは期待に違わず今季ここまで8得点の活躍。前節の大宮戦でもチームの強みであるハイプレスから相手のミスを誘うと、ウタカの立て続けの2得点で試合の流れを引き寄せ、最終的に5-1と大勝する道を築いた。ちなみに5点目でトドメを刺したのは、大分のサポーターにとっていまだに特別な存在である三平和司だった。現在までに4得点を挙げている三平とともに、長谷川元希や武富孝介ら、技術の高い華やかな攻撃陣が並ぶ。
勝点1差で3位につける甲府をどう抑え、どう攻略するか。勝てば順位が入れ替わり、負ければさらに離される6ポイントゲーム。5試合ぶりの勝利を期して、レゾナックドーム大分が熱く激る。
試合に向けての監督・選手コメント
■下平隆宏監督
前節も雨の中で1点も取れず勝点1に終わってしまったので、ホームでは勝点3がマスト。加えて今節は勝てば順位をひっくり返せるし、負ければ離されてしまうという状況。順位的なところも考えて、大事な一戦になると思う。前節もああいうピッチコンディションでのああいう試合ではあったが、やはり昇格を目指すためには勝点3を取らなくてはならなかった。
今週はミーティングでまた全員が意見を言って、選手たちが求めた部分もあったので戦術面で少しこちらから提示した。ある意味、6月1日を転機としたい。
■DF 19 上夷克典
練習などを見ていても、誰一人として気持ちを切らしている選手はいない。天皇杯もあるので、そこに向けてもみんなチャンスだと捉えて取り組んでいると思う。競争が活性化するといい。
ウタカは京都時代、僕とカブっていた2020年に、得点王としてたくさん点を取って助けてくれた。対戦するにあたっていちばん嫌なところはゴール前の上手さと落ち着き。あとは決定力が怖い。しっかりリスク管理しておかなくては、一つの隙を与えると確実に決めてくる選手。でもそこを切らさずにやれば、やられることはないはず。
■FW 9 サムエル
FWとしては点を決めることが大事。フィジカル的にはもっともっと上を目指さなくてはいけない。自分が監督の求めていることをしっかりピッチの中で実行すれば、もっと点を決めることが出来ると思う。これからもっと試合に出てリズムをつかめれば、監督の求めていること、たとえば前でプレーしてほしいとか、背後をとってほしいということが、もっと表現できるようになる。
やっと先発で出られるチャンスが来たと思ったら前節はピッチコンディションが最悪で、自分のやりたいプレーを見せることが出来なかった。ゴールの近くでもプレーできなかったが、多分、次のチャンスが来ればもっといい状態でサッカーが出来ると思うので、もっと味方とコミュニケーションを取りながらやっていけると思う。