九州ダービー1発目は熊本。昨季ラストゲームからの成長を示すとき
主力の多くが入れ替わりながら今季も見事に“大木サッカー”を体現し、今季初の3連勝を期して乗り込んでくる熊本。こちらは昨季J1昇格の道を断たれたあの試合からの成長の証を示したい一戦だ。
あの一戦からの成長を確かめるとき
1週空けて、今節からまた3連戦がスタート。ミッドウィークにデーゲームでアウェイ山形戦をはさんで熊本と長崎とのホーム九州ダービー2連戦となる。大分にとって熊本は、昨季J1参入プレーオフ1回戦で2-2のドローに終わり昇格への道を断たれた相手だ。あのラストゲームの悔しさは、いまだ記憶にあたらしい。
あの昨季最後の熊本戦で、大分はそれまでとは異なり、ボランチが縦関係の立ち位置を取りつつ前線から激しくプレッシングする戦法へと切り替え、メンバーも変えて臨んだ。今節はそれを継続しており、その戦い方での積み上げも重ねている。さらにその戦法とポゼッションとを組み合わせた試合運びも出来るようになった。下平隆宏監督は「あの一戦からの成長を確かめるとき」と絶対勝利を誓う。今節勝利すれば今季3度目の3連勝だ。
前回の3連戦のラストとなった前節の金沢戦後に2日間のオフを取ったため、今節に向けての準備期間はいつもより1日短い。金沢戦で3失点したことを受け、今週のチームは守備の確認に重点を置いた。初日は金沢戦で出た課題の修正で、ゴール前の対応など。2日目は対熊本戦術を落とし込んだ。今節はデルランが累積警告で出場停止。最終ラインの並びも気になる。
スリリングな駆け引きが予想される
昨オフに主力を大量に引き抜かれた熊本だが、今季もスタートから見事なまでに大木武監督のスタイルを体現している。独特な3-3-1-3のフォーメーションは今季も継続しており、中盤3枚の両サイドの立ち位置がなかなか厄介だ。3バックではあるが、攻撃時にボランチが縦関係となる大分にとっては前節の金沢と同様、中盤ががっちり噛み合うことになる。互いにどう立ち回るか、スリリングな駆け引きが繰り広げられるゲームになるだろう。
熊本は14節を終えて5勝5分4敗の勝点20で11位。大分と同じく現在2連勝中で、3連勝すれば今季初。今季はゴリゴリの戦力を擁する編成のチームが増えたタフなJ2で、大分や熊本のようなチームが昇格争いに絡み続けていくためには、自らのスタイルの完成度を高める必要がある。逆に言えば独自のスタイルを極めれば、上位進出の可能性は大きくなるはずだ。それを競い合う一戦ともなりそうな今節。互いの意地を懸けて、九州のプライドをぶつけ合う。
試合に向けての監督・選手コメント
■下平隆宏監督
2オフにしたのでトレーニングは中3日。特に前節3失点したので、週の初日のミーティングでも守備のところはかなり厳しめに修正した。熊本の特徴的な戦術に対してどう動くかも確認した。
昨季プレーオフ熊本戦で激しく前から行った戦い方を、今季も継続していて、やれるようになってきている。そういう意味ではあの試合から僕らは成長している。今節は、あのときに採用した熊本が嫌がる戦法を発揮するとき。あのときよりもボールもしっかり持てるようになっている。守備一辺倒ではさすがにきついから、もうちょっと自分たちの時間も作りたい。
■MF 16 茂平
対熊本の守備は周囲とコミュニケーションをとりながらやらなくてはならないが、ちょっと間違えばたちまち剥がされてしまいそうな相手。でもそこで勇気を持っていかないと重くなってしまって、自由にボールを回せなくなってしまう。
実は僕は熊本とは相性がいい。北九州時代も秋田時代も熊本戦で点を取っている。秋田での昨季はクロスに合わせて1点。僕のクロスでのアシストもあり、昨季の対熊本の個人戦績は1G1Aで、チームとしても勝利している。マッチアップする可能性のある竹本雄飛は年代的にカブってはいないが立命館大の後輩。器用で上手く、ミドルシュートも打ってくる選手。気持ちよくボールを受けさせないようにしなくてはならない。