本来の姿を取り戻し、前節からひとつ成長した姿を見せよ
今季2敗目を喫した前節の町田戦は、相手の勢いにのまれて意図する戦いを表現できないままに前半を過ごした。後半は修正してある程度立て直せたことも収穫のひとつとしつつ、今節はチーム本来の姿を取り戻す力が問われる。
攻撃の優先順位を再確認し質を高める
芝の養生の関係で、公開トレーニングはAコートとBコートで行った今週。週の立ち上げ日には映像を使ったミーティングで前節の町田戦を丁寧に振り返り、あらためて課題修正への道を共有すると、グラウンドでその実践に取り組んだ。
相手のハイプレスをまともに受けてしまい、いつものように柔軟に攻撃を繰り出すことが出来なかった前節の経験を踏まえ、今節はまず、本来の自分たちの姿を取り戻すことがいちばんのカギになりそうだ。中川寛斗も「相手どうこうというよりも僕らがやるべきことをやることと、相手がやってきたことに対しての対応力が試されている」と、まずはチームに矢印を向ける。
相手の守備の出方を見ながらどのようにそれをかいくぐっていくか/こじ開けるか。特に今節はハイプレス対応が焦点となる。今季立ち上げ時期から浸透させてきた攻撃戦術を、優先順位も再確認しながらブラッシュアップした。
懸念点は前節の試合中に負傷した数名の選手の動向。あるいは複数名の先発/サブが入れ替わる可能性もある。そうなればそれがどのように影響するかは気になるが、この長く過酷なJ2のシーズンを戦い抜くためにも、ここまでチームの好調を支えてきた選手たちを押し退ける勢いで、新たなヒーローにも登場してもらいたい。
アグレッシブさは健在ながら失点も多い水戸
今節ホームに迎える水戸は、昨季は1分1敗という対戦成績。まずホームでの開幕戦、そしてアウェイでの第28節が、ともにそれぞれのホームチームによるコロナ禍の影響を受けた。開幕戦は前日に、第28節は試合当日に延期が決まることとなり、両軍ともアウェイへの移動後に空振りして帰ってきた経緯がある。大分にとってアウェイだった第28節は直前の第30節から中2日で開催され、不利な条件の中、0-2で敗戦。当時の秋葉忠弘監督に「ディスイズ」と言わせてしまったのはトラウマ級の思い出だ。
今季は新たに濱崎芳己監督が就任。その脇では、2017年から5シーズンにわたり大分で参謀として当時の片野坂知宏監督体制を支えた安田好隆氏がヘッドコーチを務める。
水戸のチームスタイルであるアグレッシブさは継続されており、内容的にも悪くはないのだが、ここまで失点が嵩んで勝点を逃す試合が多くなっている。開幕から3戦連続ドローだったが、その後は町田に3失点、甲府に2失点、磐田に5失点、前節の藤枝に4失点と大量失点での敗戦が繰り返された。失点数は山口の22点に次ぐ20点でリーグワースト2位。だが、前々節の徳島戦ではビルドアップを得意とする相手をバランスのいい守備で完封しており、今節もアウェイで手堅く勝点を狙ってくるに違いない。
試合前々日のトレーニング前の円陣で高木駿が話していたとおり、自信を持って戦うことが試合の流れを引き寄せる。相手につけいる隙を与えないよう、いかなる状況にも迷いを見せてはならない。そのための準備は日々のトレーニングで出来ている。
試合に向けての監督・選手コメント
■下平隆宏監督
前節は相手のストロングが上回った印象のゲームになってしまった。課題はある程度はっきりしているので、そこをどうクオリティーを上げていくかというところ。もっと相手のプレスに対して長いボールを使ったり裏返したりという選択肢も見せつつ攻撃の形を作らなくてはと話をしてからトレーニングに臨んだ。
■FW 13 伊佐耕平
前節の町田戦は自分たちで苦しくした試合だった。セットプレーを与えるミスからはじまったので、あのミスをなくせば何でもない。(3失点後に円陣を組んだとき)やられて全体的に体も動かなくなっていたので、それをなくそうと話した。もったいない試合だった。ビルドアップの質を高め、ある程度前を狙う意識をつけたい。そこが改善されないと、相手に人数をかけて前に来られたときにああいう展開になってしまう。チームで話し合って全員で対応していく。
■MF 6 弓場将輝
今週は前節の課題修正に取り組み、特にポジションの近い選手とコミュニケーションを取りながらやれた。やっていることは間違っていないので、そこの質を合わせていくだけだと思う。前節のように対策されたときに自分たちで改善できるかというところを、今季は試されている。