今季はアウェイで開幕。昨季ともに苦しんだ徳島に新たなスタイルでぶつかる
2月17日のJ1第1節・川崎F対横浜FMを皮切りに2023年のJリーグが開幕。大分は19日にJ2第1節アウェイ徳島戦でスタートする。
守備の安定により攻撃力を高めた今季のチーム
18日にすでに7試合が行われたJ2。大分の開幕は19日のアウェイ徳島戦だ。ともにJ1から降格した昨季はルヴァンカップを合わせた過密日程に苦しんで出遅れたが、連戦終了後にめざましく戦績を上げて最後は昇格争いに絡んだ同士の対戦。過密日程なくスタートできる今季は、序盤から快調に勝点を積みたい。
なによりも無事に開幕戦を迎えられることがいちばんだ。昨季は開幕戦直前にコロナ禍による活動停止を余儀なくされ、それがさらなる過密日程へとつながった。プレシーズンには地震にも見舞われ、キャンプも短縮された。下平隆宏監督2シーズン目の今季は、まず指揮官自身がクラブを取り巻く大分という土地柄や県民性、選手たちの特徴を把握した状態からチーム構築できたことが大きい。昨季、指示待ちの選手が多いと感じた経験をもとに今季は「共創」というキーワードを掲げ、監督からのトップダウンではなく、より選手やスタッフの自主性に委ねながらの組織づくり。「コミュニケーションの質が高まり、ピッチ内外でそれについて話す機会がすごく多い」というキャプテン・梅崎司は、「チームとしてどうあるべきかについて、間違いなくみんなの向きが揃ってきているとトレーニングを通じて感じる」と、その手応えを口にした。
今季のサッカースタイルも選手たちの意見を吸い上げ、コーチ陣がまとめるかたちで決めた。攻守にアグレッシブに戦いエキサイティングなゲームを繰り広げるスタイルを体現するために、プレシーズンからトレーニングではトランジションと両ゴール前の攻防に重点を置いた。昨季の最大の課題であった失点の多さに関しては、補強も含めて守備を強化。トレーニングマッチを見るかぎりでは、守備が安定したことにより攻撃に力を割きやすくなっている印象だ。
昨季よりも縦に速くなっている徳島
徳島は今季から指揮を執るベニャート・ラバイン監督の初陣。ホーム開幕でもあり、サポーターも含めて士気を高めているはずだ。
2018年からレアル・ソシエダで分析コーチを務めていたというラバイン監督は、やはり中盤ダイヤモンドの4-4-2システムを採用する模様。1月24日のトレーニングマッチでもスペイン人監督らしく立ち位置を変えながら巧みにポゼッションさせようとしていたが、その時点では大分のほうがそれに上手く対応できていた。
あれから約1ヶ月が過ぎ、おそらく新指揮官の戦術も浸透しているはず。昨季までダニエル・ポヤトス監督がやっていたのよりも縦に速く、背後を狙う意識も高めているようだ。西谷和希の最前線での起用も予想されている。そうなれば大分とのマッチアップは、トランジションの活発な見応え満点の好ゲームへと結実することが考えられる。互いにコースを切り合いスペースを突き合う目まぐるしい展開になるのではないか。最後に決着をつけるのは、どちらが相手ゴールを多く陥し、自ゴールを守るかというキワの部分になる。
西谷と渡大生という強力な2トップの下に控えるのは柿谷曜一朗と予想する。この並びだけで相手の攻撃が厄介であることは容易に想像できる。その攻撃を牽制しつつ、こちらも堅守の徳島を攻略していく。第2節・東京V戦でのホーム開幕にいい形でつなげるためにも、アウェイではあるが好感触と勝点を得て大分に帰りたい。
試合に向けての監督・選手コメント
■下平隆宏監督
徳島は新監督が就任したが、しっかりボールを握って攻撃してくるスタイルはおそらく変わらないと思う。そういった選手が揃っているし、われわれがプレスをかけるのが難しい時間帯もあるかもしれないが、徳島の良さを消すためにも、われわれはいい守備をして、自分たちが攻撃する時間を増やしていきたい。
キャンプ中のトレーニングマッチでは、徳島はやはりボールを持つのが上手く、ちょっと面倒くさいと感じながら見ていた。守備を剥がせるよう準備してくるだろう。こちらはいかに守備をハメて相手を押し込んでいけるかがカギになると思う。
■MF 7 梅崎司
徳島とはキャンプ中にもトレーニングマッチをしたが、やはりボールを持つ、ビルドアップするのが上手いチーム。組織的なチームなので、自分たちはどうアグレッシブにボールを奪えるかという構図になるのではないか。そこがどう噛み合うかというところが大事になる。
いいスタートを切れなかった昨季は、逆にあそこからよくプレーオフまで行けたなとも思うが、今季はそういうふうにはなりたくないしなってはいけない。1年のあいだにチームは絶対に変化してくるものだが、自分たちがこうあるべきというベースは、スタートから見せていかなくてはならない。そういう意味で今季はすごくいい準備が出来ていると思う。相手あってのことなのでどこまで出せるかわからないが、それを出して勝つという意識をみんなで持って臨んでいきたい。
■MF 6 弓場将輝
徳島とはキャンプのときにトレーニングマッチを組んだが、あのときとはメンバーも戦い方も少し変わるだろうし、相手チームのコンディションも上がっていると思うので、自分たちがどれだけ対応できるか。自分たちの軸を増やさないと、そういうところが重要になってくると思う。
おそらく、そこまで撃ち合いの試合になるとは思わない。どちらもボールを大切にするチームだし、徳島は堅守で、うちも結構いい守備が出来ている。どちらが1点取って守り切れるかという展開になるのではないか。どちらが先に点を取るかがカギになりそう。