巻き返してここまで来たホーム最終戦。さらなる上を目指し勝利あるのみ
プレーオフ圏内を目指して背水の陣の山形を迎えるホーム最終戦。こちらはプレーオフを優位に戦うために、ひとつでも上の順位を目指して勝点3を獲りに行く。
次なる目標へとシフトして心身の準備を
前節、アウェイで横浜FCとの激闘を制してJ1参入プレーオフ進出を決めたチーム。ここからは、まずはプレーオフのホーム開催を目指して戦うことになる。
過密日程に苦しみ大幅に出遅れた前半戦を巻き返そうと必死で戦い続けてきた後半戦は10勝8分1敗。特に現在採用している可変システムで戦うようになって以降は2度の3連勝も含め勝点を積むペースを上げたとともに、ここ最近は内容がともなわなくても勝ち切れる試合を増やしている。
プレーオフ圏内というひとつの目標を達成したことでチームに緩みが出てはいけないと目を配る下平隆宏監督。一方で、ここまでのハイテンションな戦いにより心身に疲労が蓄積していることを踏まえて、オフ明け初日には少しその強度を緩め、2日目からぐっと上げていくなど、細やかに手綱を調整しているようだ。
横浜FC戦で出た課題もしっかりとフィードバック。ゲームメーカー・下田北斗を中心に、周囲の選手たちが共通意識の下にポジションを取ることが重要になる。「今後の戦いで自分たちがボールを握って優位に進めていくスタイルをやっていくことが、昇格のためには必要になる。そういうところも高めていかないといけない」と、下田は引き締まった表情で語った。
全力で勝ちに来る山形は間違いなく手強い
今節、遠いアウェイから乗り込んでくる山形は、現在8位。勝点1差で6位・徳島と7位・仙台を追っており、プレーオフ圏残り1枠を争う背水の陣となる。今節の仙台は16日の16時からホームで熊本と、徳島はそのあと18時30分からやはりホームで大宮と。山形はそれに先駆けて14時キックオフの大分戦で、勝利して希望をつなげたいという状況だ。急激に調子を上げ15日には首位・新潟の優勝を先延ばしにした9位・東京Vに勝点で並ばれた背景もあり、今節の山形が全力で来ることは間違いない。
ここ4戦、山形は未勝利。雨で中断する難しい試合となった第38節・東京V戦にCKの流れから失点して0-1で敗れると、そこからの3連戦はいずれもドローで終えた。第39節・新潟戦も第33節・大宮戦も、先制しながら終盤に追いつかれる展開。前節の水戸戦は相手の得意とするハイプレスに苦しめられ、攻められて耐え0-0となっている。日程的に不利な状況だったとはいえ、手痛い取りこぼしだった。
ピーター・クラモフスキー監督が横浜FMからJ2へと持ち込んだかたちの4-3-3をベースとしたスタイルは確固としており、毎試合、相手を上回る時間を多く作っている。右サイドでは大分アカデミーOBの國分伸太郎が攻撃を牽引。ディサロ燦シルヴァーノやチアゴ・アウベスらも好調の模様だ。
今節は激しいプレスの応酬とトランジションを繰り返す迫力の展開が予想される。強力な相手だが、ホーム最終戦でしっかりと勝ち切ることで、プレーオフの先へと弾みをつけたい。
余談。山形は2012年J2第41節、大分に0-3で敗れ、そのシーズンのJ1昇格の可能性を断たれている。1999年に端を発し、J1昇格をめぐるシーズン、大分と山形は何度もぎりぎりでしのぎを削ってきた。ピッチにはあまり関係のない話だが、トリニータとともに生きてきたサポーターたちにとっては、そういう意味でも勝たなくてはならない因縁の相手だ。