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今節の見どころ

上位直接対決3連戦の初戦は九州ダービー。個々の強度の高い長崎に立ち向かえ

 

混戦のJ1昇格争いの中、今節からは上位直接対決3連戦。6ポイントマッチは落とせば大火傷だが、勝てば大きく前進できる。前節の劇的勝利の勢いをそのままに、ここからラストまで駆け上がりたい。

 

良好なチーム状態で臨むシーズン終盤

リーグ戦残り4節にして、J1昇格争いはいまだ結末が見えず、激しい競争が続いている。大分は現在、15勝15分8敗の勝点60。前節・甲府戦の劇的勝利で仙台を抜いて5位に浮上した。4位・熊本との勝点差は4だ。勝点59で6位の仙台の下には、7位の山形と8位の長崎が勝点55で並ぶ。ただし山形は大宮戦の1試合が未消化という状況だ。
 
勝点を取りこぼせばあっという間にJ1参入プレーオフ圏外へと弾き出されてしまいそうなヒリヒリしたシーズン終盤。大分は今節から上位直接対決3連戦に臨む。まずは今節、8位・長崎とのホーム戦だ。前節もホームで開催された甲府戦では、苦しい展開を耐える粘り強さと最後に勝ち切る貪欲さで、90+5分に勝点3をもぎ取った。その勢いを今節以降につなげたい。
 
決勝弾を挙げたのは、7月半ばから負傷離脱していた長沢駿だ。第28節・水戸戦から採用した可変システムにおいて、特に井上健太を起点とした攻撃が好感触で、クロスの質も高まった現在、“利き足は頭”の192cmが戦線復帰したことは大きな好材料だ。
 
チームの雰囲気も非常に良好で、自然と一体感が高まっている様子。ここから右肩上がりにJ1参入プレーオフを決定戦まで勝ち上がりたい。
 

7連戦を終えて4試合ぶりの勝利を目指す長崎

長崎は6月に解任された松田浩前監督からチームを引き継ぎ第24節・甲府戦から指揮を執るファビオ・カリーレ監督の下、おそらくJ1昇格後も見据えて、新たにポゼッションスタイルを構築している途上だ。カリーレ監督のここまでの戦績は5勝5分5敗。攻撃的スタイルへの転換期とあって失点も以前より増えており、前節の横浜FC戦も攻撃をやりきれなかったところで豪快なカウンターを受け、先制を許した。
 
コロナ禍の影響で9月は前節まで厳しい7連戦。7連戦の結果は2勝2分3敗で、ここ3戦は白星なし。連戦を終えてひさしぶりに1週間の準備期間を得た今節は、なんとしても勝点3を積んで昇格争いに食い下がりたいところだろう。
 
戦術浸透はまだ途上だが、もとより戦力個々の能力の高さはJ2屈指。連戦中は負傷者も増え、メンバーを入れ替えながら、第36節以降は3バックシステムで戦っているが、結果が出ていなくとも、外国籍選手をはじめとする強力なプレーヤーの存在感は大きい。都倉賢は前節、前半途中で負傷交代したが、他にも多彩なタレントたちがさまざまな配置で起用されており、ゴール前ではより集中した対応が求められそうだ。
 
長崎との前回対戦は11連戦の5戦目、しかも中2日での4連戦の3戦目で、チームの成熟度も低かった上に疲労も蓄積していたとはいえ、1-4での大敗は屈辱的だった。相手は監督が替わり戦い方も変化したが、今節はアウェイ戦の雪辱を期し、またJ1参入プレーオフ圏での足場を固めるためにも、一戦必勝の九州ダービーだ。