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今節の見どころ

サポーターの声が戻ってくる今節。後押しされて難敵に勝利を

 

大分にとっては11連戦の11戦目だったこともあり、前半戦の対戦の中でも特に力量差を感じさせられた東京Vとの再戦。指揮官交代後、さらに強さを増している相手に、今度はどれだけこちらの力をぶつけることが出来るか。

 

前節の中止後、切り替えて準備に臨む

前節の水戸戦が試合当日の朝に開催中止となった後、チームは予定どおり2日間のオフを経て気持ちを切り替え、今節の東京V戦に向けての準備をスタートした。
 
先週行ったミーティングで共有したゲームモデルに基づき、今週もスタイルの練度を高めるトレーニングが続いている。J1残留のためにリスクマネジメントを重視しながら戦った昨季までとは異なり、今季はリスクを冒してでも積極果敢に攻める姿勢を貫く戦い方を目指す。
 
そのためにはまず選手たちの意識改革が必要で、トレーニングやミーティングを通じてそれを促しながら、やはり理想を体現するためには攻撃のクオリティーを高めなくてはならないと下平隆宏監督は言う。相応に時間を要する取り組みではあるが、前半戦のほとんどを覆っていた長期連戦が一段落して以降、プレシーズンに描いた青写真を徐々に現実のチームへと添わせつつ落とし込んでいるところだ。
 
「結果がついてくれば選手たちも自信を持って取り組めるようになる」と指揮官は言う。同時に、ここまでの取りこぼし分を巻き返していかなくてはならない状況でもある。前節の水戸戦に向けての囲み取材では「上に行くためにはここは落とせない。こちらはそういうギリギリのところでやっている」と引き締まった表情を見せていた。
 

指揮官交代後に復調して強さを増す東京V

今節の相手・東京Vとの前回対戦は第8節。大分にとっては11連戦の11戦目で、疲労の極まったチーム状態でのアウェイ戦だった。0-1というスコア以上に力量差を感じた屈辱的な敗戦の記憶を、今節は塗り替えたい。
 
一方の東京Vは前回の大分戦後に調子を落とし、6月には監督交代を敢行。新たに城福浩監督が指揮を執るようになり、復調中だ。もともと技術の高い戦力が組織的に戦う素地は確立しており、そこにさらに厳しく戦う力が上乗せされた印象で、プレスも厳しく主導権を握って優位に試合を進めていく。そんな東京Vのことを下平監督も「フィジカル的にもメンタル的にも強さを感じる難敵」と呼び、警戒を緩めない。
 
おそらく主導権を争う展開になると思われるが、こちらもいまチャレンジしていることを表現して戦えるかどうか。最終的には両ゴール前の攻防が勝敗を分けることになる中で、東京Vの高い攻撃力を抑えつつ得点を奪う力が問われる。
 
ともにチーム内にコロナウイルス陽性判定者が確認されたりコロナ禍の影響で試合が中止になったりとイレギュラーな事態に見舞われている同士。大分は長沢駿に続き野村直輝の負傷離脱も発表され、万全のチームコンディションとは言い難いが、ここは意欲的にトレーニングに取り組んでいた出場可能な選手たちに期待を懸けたい。
 
そして今節の昭和電工ドーム大分には、「声出し応援の段階的導入運営検証試合」のひとつとして、約2年5ヶ月ぶりにサポーターの声が戻ってくる。あくまでも実証実験段階で、声出し可能なエリアもスタンドの一画に限られてはいるが、ひさしぶりのコミュニケーション手段解禁に、スタジアムがどのような雰囲気になるかが楽しみだ。声出し応援エリアから響くチャントに後押しされて、勝利を掴み取りたい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■下平隆宏監督
 
前節の水戸戦に向けて1週間、いい状態で準備していたところで試合が飛んでしまって、ちょっと拍子抜けしたような感じもあったのだが、そこからまたリセットして、また1週間準備できるので、しっかり今節に臨みたい。
 
東京Vさんは攻撃力のあるチーム。いままた監督さんが代わって、いいチームに仕上がっているので難敵だと思うが、われわれもいまは調子を保っているところなので、いいゲームになればと思っている。
 
東京Vにはフィジカル的にもメンタル的にも強さを感じる。前節も自分たちのやりたいことを出してゲームを支配していた。中盤のプレスの強度も高い。まずは自分たちがいまやっていることを表現したい。
 
■MF 39 増山朝陽
 
東京Vに対しても、球際で勝ち切ることが大事。勝てた試合はセカンドボール対応だったり球際のところでの勝率が高く、いい感じでボールを持てて、守備でもしっかりシャットアウトできている。上手い相手に対しても粘り強く、また球際に強く行くことが大事になってくる。
 
先日、監督もミーティングで「殻を破れていない選手が多い」という話をしていたが、そういう意味では、最近は僕以外の選手も声を出したり、盛り上げようとしたり、殻を破ろうとしている感じがある。全体的にトーンが上がったというか、一人ではなく全体で活気が出ているというのをすごく感じる。