夏の3連戦の3戦目。仕留めきれず粘りきれなかった前回対戦のリベンジを
多くの時間帯で主導権を握りながら好機を仕留めきれず、87分に失点して敗れた岡山との前回対戦の悔しさは忘れない。あのときから変貌したチームが、今節はそのリベンジを誓ってホームゲームに臨む。
前節の消耗戦からどれだけ回復できているか
夏の3連戦はタフな戦いだ。前節の山口戦は高温多湿のピッチに苦しめられて互いにミスが多くなり、最後は両チームの選手とも疲弊しながらの90分となった。厳しい環境であることを考慮して、下平隆宏監督も前節の千葉戦同様に早めに交代カードを切ったが、どちらも主導権を握ろうと立ち上がりからハイラインの背後を突き合い、次第にオープンさの度合いを増したゲームは、激しい消耗戦となるに至った。
どちらも左サイドを起点に攻めた中で、山口のほうに多く決定機を作られたが、結果はスコアレスドロー。山口の12本に対し大分は4本とシュート数では大きく下回ったが、高木駿のビッグセーブや坂圭祐のファインプレーにも助けられ、無失点でしのいでアウェイで勝点1を積み上げた。その守備の粘り強さについては指揮官も高評価している。
ただ、「また今日のゲームで何人か怪我人が出た可能性もある」という、試合後の監督会見での言葉が気になるところ。前半戦で長期離脱していたメンバーはチームに合流しつつあったが、現時点での彼らのコンディションの回復具合やポジションごとの層の厚さは不明だ。前節から中3日での今節も、日中は気温30度を超える予報。雨が降ることはなさそうだが、夜の昭和電工ドーム大分がどれだけ蒸し暑くなるか。ともに3連戦の3戦目ということで、より効率的に戦う術も求められることになるかもしれない。
裏へのボールに耐えセカンドボールを拾いたい
岡山との前回対戦は第17節、アウェイで悔しい敗戦となった試合だ。シチュエーション的に大分は11連戦と9連戦を終えての7連戦の3戦目で、疲労にも苛まれる中、4-2-3-1をベースとした可変システムで巧みに立ち位置を取り、主導権を握った。だが、複数の決定機を逃し、87分にスローインの流れからチアゴ・アウベスにゴールネットを揺らされて、苦杯を舐めた。この試合でヘディングシュートを外した悔しさをバネに渡邉新太が猛練習し、その後、立て続けに頭でゴールを奪うきっかけになった一戦でもある。
岡山は現在、山形とともに他チームより1試合少ない24試合を戦って10勝9分5敗で4位。25試合を終えて勝点36の大分とは勝点3差だ。今季から指揮を執る木山隆之監督の、シンプルにして勝つサッカーのツボを押さえたスタイルで徐々に調子を上げ、それこそ第17節の大分戦以降は第24節の熊本戦まで7戦無敗。第20節の金沢戦に5-1と大勝したあと、山口と琉球を相手に3連勝も遂げている。前節は大宮とシーソーゲームを演じながら、2-2で突入した後半アディショナルタイムに、途中出場のチアゴ・アウベスがPKを含む2得点を挙げて、4-2で勝利した。
1トップに据えるミッチェル・デュークをターゲットに、その強度を存分に生かした攻撃で相手を押し下げると、ステファン・ムークや田中雄大らが2列目で躍動する。そのストロングを極力削るためにも、セカンドボールを多く拾って主導権を握りたい。最近、闘志を前面に出して戦えるようになってきたチームが、粘りきれなかった前回対戦の雪辱を果たすチャンスだ。