復調した相手。強度の高い町田を上回るタフさを出せるか
9年ぶりに、今度は町田を率いてポポヴィッチ監督が帰ってくる。強力な1トップ2シャドーと失点の少なさで一時の停滞から復調した相手に、それを上回る強度でタフに戦いたい一戦だ。
前節と天皇杯を経験して今節の戦い方は
前節のアウェイ群馬戦では、一部の選手を入れ替え、早めに前線にボールを送って前にパワーをかけやすくする戦法で6試合ぶりの白星をつかんだ。得点は1点のみで追加点は奪えず、相手の精度不足に助けられた場面もあったが、高木駿のファインセーブを中心に無失点で抑えての勝利だった。
前節の戦い方を変えた背景には、下平隆宏監督のこんな考えがあった。
「もちろん群馬さんのチームスタイルとの相性もあるし、少しシンプルにすることでパワーを出しやすくするという狙いもあったが、やはり僕のスタイルで行くとどうしても、ボールを握ること、ボールを大事にすること、ポゼッション率を上げることに選手の頭が行き過ぎてしまうところがあって、肝心のゴールを奪う、ゴールを守るというところがちょっと希薄になっていたところもある。それであまり戦術的な負荷をかけずに、サッカー選手が本来持っている、戦わなくてはいけないところ、メンタル的に強くなければいけないところ、そういったところをもっと刺激することも必要なのかなと感じていた。そういうものを含めて、選手の変化を見ながらやっていこうと思っている」
その群馬戦の内容と結果を踏まえての、中2日での天皇杯・しまね戦では、戦況を読みながらゲームメイクできる下田北斗と小林裕紀をダブルボランチに据え、2人にある程度ゲームを委ねたという。これまで積み上げてきた戦術の大枠が浸透しているからこそ、ピッチでの判断に任せることが出来たのだろう。
この2戦を経験したあとのチームが、今節、どのような戦いぶりを見せるか。
3-4-2-1に変更して復調した町田
2009年7月から約半年間、苦境に喘ぐ大分を率い、J1残留こそ遂げられなかったが、縦に速く流れるようなサッカーで強烈なインパクトを残してくれたランコ・ポポヴィッチ監督が、また敵将としてこのスタジアムへと帰ってくる。
ポポヴィッチ監督との前回対戦は2013年J1。前年にJ1昇格プレーオフを制して4シーズンぶりにJ1に返り咲いたシーズンの開幕戦と、その年の第19節に対戦して、ホームでは1-2、アウェイでは0-2で2敗している。
今回は好調の町田を率いての帰還だ。ポポヴィッチ監督が町田で指揮を執るのは2011年以来2度目。そのときは1年のみだったが、その後FC東京、C大阪、スペインのレアル・サラゴサ、タイのブリーラム・ユナイテッド、インドのブネー・シティで監督を務め、9年ぶりに町田に戻って今季が2年目となる。
かつて大分でもプレーしたポープ・ウィリアムと岡野洵も在籍する町田には、各ポジションに高い強度を誇るプレーヤーが並ぶ。かつてJ2やJ2・J3入れ替え戦で対戦したときも町田は毎回強かったが、現在はポポヴィッチ監督のスタイルの下、好調なシーズンを過ごしている。
序盤の快調さが、第8節からは8戦白星なしと一時は停滞したが、第12節・横浜FC戦(1△1)で採用した3-4-2-1システムを第15節から本格的にベースとして、現在はすっかり復調した。特に鄭大世、ヴィニシウス・アラウージョ、長谷川アーリアジャスール、平戸太貴、ドゥドゥらで形成する1トップ2シャドーは脅威となる。高橋祥平や深津康太が中心となる守備陣や太田修介と翁長聖のWBの推進力も町田の好調を支えている。
ここまでリーグで2番目に失点の少ない町田から得点を奪えるか。ロースコアの勝負になる可能性が高いが、町田に負けない両ゴール前の強度を出し、リーグ戦では第9節・徳島戦以来となる昭和電工ドーム大分での勝利を掴みたい。