チームスタイル構築の途上にある同士。得点力不足の課題を打開するのはどちらか
岡山といえば難敵のイメージ。今季からはJ2で百戦錬磨の木山監督が指揮を執る。大分同様に新体制でしっかりボールを握るスタイルを構築していく中で、現在は同じく得点力不足に陥っている。そんな相手より多くゴールネットを揺らしたい。
存在感を発揮した“ルヴァン組”の出場はあるか
今節は7連戦の3戦目。ミッドウィークのナイトゲーム、ルヴァンカップグループステージ第6節・C大阪戦から中2日でのアウェイ戦で、敵地は微妙に遠い岡山だ。
これまでリーグ戦に主力として出場していたメンバーの多くはルヴァンカップではメンバー外だったが、三竿雄斗や伊東幸敏、藤本一輝らはベンチ入りして途中出場し、3得点目への流れを作る仕事を遂げた。その他にも下平隆宏監督がC大阪戦後に「起用する目処が立った戦力もいる」と言及したことから、出場メンバーの何人かは今後のリーグ戦にも絡んできそうだ。得点したサムエルと渡邉新太はC大阪戦にフル出場しているので、今節はどうなるか。他にも自身のストロングポイントを存分に発揮した選手が多く見られ、連戦中に選手起用の選択肢が増えたことは喜ばしい。
ポジションやタスクへの理解と慣れ、周囲の選手との意思疎通と連係なども、連戦中には実戦を通じて高めていくことになるが、連係を育てるためにメンバーを固定すれば疲労が蓄積し、チームの底上げも進まない。それ以前に負傷者が多発しているという台所事情もある。指揮官は「リハビリメンバーだけでいいチームが組める」と自虐気味だが、複数名の復帰が予定より遅れていることもあり、ここはメディカルスタッフにも一層の奮起を促したい。
過密日程の中でいかに目標達成へと向かうか
そういう厳しい状況にあっても長期的な目標のためにはチームスタイルを成熟させなくてはならない一方で、1年でのJ1復帰という目標も、10月に全リーグ戦が終了するハイスピードな日程の中で、確実にプレッシャーの度合いを増している。
ただ、周囲を見渡せば、今季のJ2では抜きん出て好調を維持しているチームがほぼなく、シーズン序盤に上位だったチームが失速し、ここに来て調子を上げてきたチームが上位に躍り出るなど、混戦状態が続いている。連戦が一息ついた後、夏頃には徐々にチーム力の差が順位に反映されてくるのではないかと思われるが、現在はまだ1試合の結果で大きく順位が入れ替わる状態だ。
第12節から秋田、東京V、水戸と戦って3連勝し現在4位と上位にいる岡山も、現在は前々節の千葉戦と前節の群馬戦で連敗中。いずれも0-1で無得点に終わっている。今季から指揮を執る木山隆之監督はしっかりボールを握りながら戦えるチームを作る名手だが、現在はまだ、チーム戦術のベース部分の構築を途上としているようだ。群馬戦後にはゴールに向かっていく意欲の不足を指摘し、その部分をミーティングでも選手たちに強く要求したという。
ともにスタイルのベースとなるビルドアップ部分が成長途上の両軍。辛抱強くそれに取り組みながら、やはり勝点を積んでいかなくてはメンタル的にも厳しくなってしまう。もちろん理想どおりのボール運びをピッチに描き出した上で勝利できればそれに越したことはないのだが、試合中にそれが上手くいかないとき、どういう選択をするか。チームとして優先する収穫をどこに定め、それに向かって全員が意思統一できるかどうか。両指揮官にとってはそのバランス感覚も問われる一戦になりそうだ。