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今節の見どころ

“相似形”の山口と攻撃志向をぶつけ合う一戦。目指すは初勝利のみ

 

5試合ぶりに中3日の準備期間を得たチームは、課題となっていた守備面の整理をあらためて進めた。今節の相手・山口は、互いの長所も短所もわかってしまう“相似形”のチーム。自らの哲学をどう貫くかが非常に楽しみな一戦となりそうだ。

 

全試合で得点できているが無失点試合もない

それぞれ中2日での4連戦というタフな日程を乗り越え、今節は5試合ぶりに中3日での試合。とはいえ11連戦はようやく折り返したところで、このあとはルヴァンカップも含め、J2第8節の東京V戦まで5連戦となる。11連戦の前半とは異なりアウェイゲームが多いこともどう出るか。そのあとは1週空いてまた9連戦がはじまるので、出来るだけ早い段階で勝点を積んで、精神的に楽な状態へと持ち込みたい。
 
ここまで全公式戦で得点できている一方、無失点試合もないことを喫緊の課題として、チームは守備の整理に取り組んでいる。これまでもアンカー脇のスペースをカバーするためのスライドなどを行ってきたのだが、さらに細かく約束事を徹底している模様だ。
 
中川寛斗はチームの目指すスタイルについて「超攻撃型。いい攻撃をすることが結果的にいい守備につながるように」と話す。そこに到達するまでにはまだ選手間でのすり合わせを進めるなどの必要があり、その中でも早い段階から勝点を積んでいくための対策も必要だ。
 
下平隆宏監督は攻撃面でのアレンジも匂わす。「まだまだ選手の良さが出ていなかったので。僕がやりたい戦術だからやるのではなく、選手に合ったように少しずつ変化させたりバランスを取ったりということもしていくつもりでいる」とのことで、どこがどれくらい変わるのかは試合を見てのお楽しみになる。
 
コロナ禍での入国制限で合流が遅れていた2人の外国籍選手も相次いでチームに合流した。15日に加わったサムエルはゲーム形式以外のトレーニングメニューには参加しているが、長いブランクからコンディションを上げている途上。指揮官は「体重や体脂肪率がだいぶ飽和している」と苦笑い。エドゥアルド・ネットはワクチン3回接種を終えていたため予定より早く17日に合流となった。とりあえず初日はクラブハウスにも入ることなく、車でグラウンドに来てちょっと走り、手を振ってまた車で帰っていった、という程度だったようだ。
 

攻撃志向もそれゆえの弱点もよく似ている山口

今節ホームに迎えるのは、現在1勝2分1敗の山口。その試合を見れば、すぐに大分との近似性に気づくことになる。4-3-3システムの攻撃型ポゼッション志向で、守備はアグレッシブにハイプレスから。「非常によく似ている。アンカー1枚のところで守備に回ると弱さを見せるところも」と下平監督も思わず苦笑するほど、失点時やピンチの際に見える課題も近く見える。
 
攻撃のタクトを振るのは下平監督も横浜FC時代に起用していた佐藤謙介で、クレバーなゲームメイクと精度の高いキックが持ち味だ。1トップの大槻周平はここまで3得点を挙げている。吉岡雅和と沼田駿也の両WGも高い攻撃力を誇る。
 
ビルドアップ時の変形も踏まえ、この攻撃志向の両チームが激突するとき、どのような現象が起きるか。互いに守備では相手のビルドアップにハイプレスで圧をかけ、攻撃ではそれをかいくぐって前線へと運ぶ攻防。いなすこともまた真っ向勝負である両軍のチームスタイルは、双方のゴール前の場面の多いエキサイティングなゲームを期待させる。
 
そこでどれだけネットを揺らし、揺らさせないかの勝負。こちらも長沢駿が公式戦4得点、呉屋大翔が同2得点と好調で、伊佐耕平もまだ得点こそ挙げていないがしっかりと組織のタスクをこなしている。連敗を避けたい山口と、初勝利を挙げたい大分、最後はどちらの気持ちが上回るかだ。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■下平隆宏監督
 
未勝利の中で選手たちに焦りはそれほどない印象だが、リーグ戦ではいまショッキングな順位にいるので、楽観視できない状況ではある。かといってチームが落ち込んでいたり雰囲気が悪かったりすることはなく、自分たちがやっていることを信じて、あとはこれを結果に結びつけるだけだというところで取り組んでいる。
 
本当はもっと攻撃的にやっていきたいところなのだが、現状、失点がかさんで実際に勝ち星がついてきていないという状況なので、少し攻撃のウェイトを微調整して、守備の部分にも人や配分を割いていくことが必要になってくる。しっかりバランスを取りたい。
 
得点を取りたいのは変わらない。前から来るぶんそこを外せれば、かなりチャンスにつながっていくと思う。まずそこを外した上でのチャンスを決めきっていく。山口も4-3-3でしっかりビルドアップしてくるチームでストロングとウィークのポイントがわかるので、そういうところはしっかり押さえ、守備のところもしっかりやっていきたい。
 
■MF 23 中川寛斗
 
J1復帰を目指すチームとして、スタートダッシュが切れていないことがすごく歯痒いし悔しい。もっともっと出来るというのが素直な気持ち。とは言っても、一試合一試合、やりたいことややらなくてはならないことは出来つつあると思うので、あとはひとつのプレーや、ボールをゴールに入れる/入れさせないというキワの部分。ひとつ流れをつかめるよう、選手全員、気合が入っているので、コンディションを合わせて全力で愚直に試合に臨むことが必要。
 
本当に勝つことが第一の目標になってきている。サポーターもスポンサーさんもそれを望んでいる。今節はホームでそれを達成できるとポジティブな捉え方が出来る。トリニータのサポーターに勝利を届けられる最高の状況。ひとりひとりがしっかりプレーして勝点3をもぎ取れるように。簡単に取れる勝点3ではなく、すごく難しい試合になると思うが、ひとりひとりが体を張って少しでも勝利の確率を上げられるようなプレーをして、勝ちを取りにいきたい。
 
怪我人も復帰してきたし、外国籍選手も合流して層が厚くなってきた。刺激しあってひとりひとりのモチベーションも高くなっている。今節出る選手出ない選手、ルヴァンで出た選手出ない選手、みんなが同じ方向を向けていると思うので、コンディションはいい状態に入っていると思う。