TORITENトリテン

今節の見どころ

目下2連勝中のライバルを迎える今節こそ、今季初の白星を

 

今季リーグのホーム初戦の相手は、ともに昨季降格し、1年でのJ1復帰を誓うライバル・横浜FC。目下2連勝中の相手に土をつけ、今季初勝利を遂げたい。

 

消化不良だった前節のぶんも取り返す、今季初のホームでのリーグ戦

今季の初陣となったJ2第2節アウェイ甲府戦から中2日での今季初ホームゲーム、ルヴァンカップ第2節G大阪戦には大幅にメンバーを入れ替えて臨み、今季大分で戦う多くの選手が公式戦のピッチに立った。プレシーズンの負傷から復帰したメンバーの姿も見え、チームは全体を底上げしながら歩を進めている。
 
前節の甲府戦は強風に悩まされ、意図通りにボールを操ることが出来ず消化不良。ルヴァンカップG大阪戦ではJ1のプレーヤーを相手に力負けした局面もあったが、スタイル表現へのトライが随所に見て取れ、メンバー外だった選手たちの「早くまた試合をしたい」という気持ちを煽ったようだ。リモートでの囲み取材に応えた町田也真人も「ルヴァンカップではリーグ甲府戦に出られなかった選手たちがチャンスを得て、本当にいい試合をしていた。いいチームの流れになっていると思うし、早くドームでサッカーしたいなという気持ちになっている」と士気を表明した。
 
風に悩まされることがなく、慣れ親しんだ芝で戦う今節。あらためて今季のチームの姿を見るのが楽しみだ。11連戦の3戦目、まだまだ序盤だが、今節からそれぞれ中2日での4連戦というタイトなスケジュール。横浜FC、水戸、長崎とリーグでも上位予想の厄介なチームとのリーグ3戦の後に、ルヴァンカップでJ1強豪の鹿島と対戦する流れだ。ホーム、ホーム、近場のアウェイ、ホームと移動が生じるのは長崎戦のみだが、次々にやってくる試合を、選手たちがどういう状態で迎えるか。下平隆宏監督は連戦を見越した起用プランは考えておらず「こういうのは大体、計画していても計画していたとおりにはいかないものなので、そのときどきの状況を見て、一戦一戦戦っていくことが大事」と話す。選手たちのセルフコンディショニング力も問われそうだ。
 

ミシャ式を取り入れた新たなスタイルで連勝中の横浜FC

ともにJ1残留を争っていた昨夏、そして1年でのJ1復帰を目指す今季に向けても、積極補強を行っている横浜FC。今季からは四方田修平監督が就任し、札幌でヘッドコーチとして薫陶を受けたミハイロ・ペトロヴィッチ監督の“ミシャ式”に若干のアレンジを施した新たなスタイルを浸透させている。
 
開幕から今後の大混戦を予想させる今季J2で、現在、唯一2戦2勝で単独首位。昨季J1のシーズン終盤に猛威を振るったサウロ・ミネイロは2戦ともにメンバー外で、1トップを務めたのはやはり昨夏加入のフェリペ・ヴィゼウ。長谷川竜也と小川航基が2シャドーに並び、右WBにもイサカ・ゼイン、右CBには大分アカデミー出身の中村拓海と新戦力が多く起用された。
 
横浜FCは19年、下平監督が13年ぶりにJ1昇格させたチーム。柏アカデミーで手塩にかけた手塚康平が中盤を統べ、他にもともに戦った面々とのひさびさの対戦となる。3バックの中央に位置取るディフェンスリーダーは、大分アカデミーから明治大に進み、そこでは上夷克典と2CBを組んでいた岩武克弥だ。
 
昨季J1開幕戦で札幌と対戦し、ミシャのオールコートマンツーマンにハメられて1-5で完敗した経験を持つ下平監督。今節はミシャの愛弟子の一人・四方田監督率いる横浜FCが、その戦法で来るのかどうか。個々の局面で戦力差が出やすい戦術だが、今度は大分の選手たちと戦う下平監督は、手駒のクオリティーに信頼を置いて、それを受けて立つ。
 
いずれにしても激しくプレッシャーをかけてくるであろう横浜FCの守備に対し、それを見極めた大分がどのようにボールを運び好機を築いていくか。そんな駆け引きも楽しみな一戦となる。4日には刀根亮輔の左膝前十字靱帯損傷(全治8ヶ月)が発表された。今季の活躍を期待していただけに残念きわまりないが、出場メンバーには刀根のぶんも背負って頑張ってもらいたい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■下平隆宏監督
 
ルヴァンカップのG大阪戦でもやりたいことにトライはしたが、5割くらいしか出せなかった感触。特にビルドアップの部分でG大阪がかなり前から激しくプレスをかけてきた中で、非常にいいプレッシャーだったとは思うが、あれをしっかり外してかいくぐり、自分たちの攻撃の回数をもっと増やしたかったというのが正直なところ。
 
横浜FCは思い入れのある前任チームなので対戦するにあたって考えるところは当然あるが、四方田監督に代わって、札幌でミシャさんがやっているようなスタイルに近づいている印象。昨夏の補強を含め今季も積極的に補強していて、だいぶ選手も入れ替わっている。特にアタッカー。1トップ2シャドーもまるまる替わっている。後ろのほう、3バックやダブルボランチはよく知っている選手たちが出ているので、彼らの特徴を理解した上で攻略していきたい。
 
特にボランチの手塚康平は柏ユース時代からの教え子で、僕が呼んだ選手。彼が監督が替わった中でもしっかりスタメンでプレーしていることはうれしく思う。大分出身の岩武克弥は小柄だが対人には強い。人間性やキャラクターは最高で、彼がいるだけでチームが明るくなる。本当にいいヤツという印象。いろんな知っている選手たちとの対戦が楽しみ。中村拓海も含め、大分にゆかりのある選手がいる対戦になる。
 
J2から昇格したチームだし、僕の監督キャリアとしても自信になった。当時はカズさん(三浦知良)をはじめ中村俊輔、松井大輔、南雄太らそうそうたるメンバーがいて、そのマネジメントを含めてすごく成長できたチームで、彼らと昇格できたことは自信になった。そういった意味では特に成長させてもらったクラブ。ただ、いまは完全にライバルチームで、2連勝中だしJ1から一緒に落ちてきて、ともに復帰を目指す中で最大のライバルだろうという思い。序盤の大一番になるというくらいのつもりで臨みたい。
 
■MF 8 町田也真人
 
前節の甲府戦は風が強かったので、自分たちのやりたいサッカーもあったが相手が嫌がることに割り切って切り替えたほうがよかったのかなという反省点もある。背後に落として陣地を回復してから相手に圧を与えていくというサッカーをするべきだったのかなとも思った。コンディション的にいい状態でなかったのも間違いないが、それでももうちょっとやれないとダメ。なんとか最低限の勝点を取れたという感じ。
 
横浜FCは一緒に降格してきたチームで前評判も高く、現在J2で唯一2連勝している。必ず昇格のライバルになると思っているので、叩いておかなくてはならない大事な試合になると思っている。ミシャ式でマンツーマン気味につかれるのかなと思うし、得点シーンではワンタッチプレーなども多かった気がするので、個の部分プラスコンビネーションが出てきたら厄介だなと思う反面、シーズンの早い段階で対戦できるのは出鼻を挫けるチャンス。でも間違いなくJ2の中では前線の個の能力はトップクラスのチームだと思う。
 
今季初のホームでのリーグ戦で、今季どんな試合をするだろうといろんな人が思っているだろうし、自分たちもいま2連勝して首位に立っている相手に対し、どれだけ戦えてどれだけ上回れるだろうと思っている。まずは今季のトリニータはすごく楽しくて強いと思ってもらえるよう、自分が率先してプレーしたい。
 
いまは流れの中から得点が生まれていないので、流れから点が生まれるような動きをしていきたい。前節の甲府戦で自分自身、組み立てて終わってしまっているという感覚があったので、しっかりゴール前に入っていって、昨季のように仕留めるチャンスが来るようなポジションに入ることを意識していきたい。出すほうも楽しいしやりがいもあるのだが、やはりインテリオールで点が取れて出せて守備も出来てというふうになりたい。下りた位置から前線に出ていくのはめっちゃ大変。めっちゃやることも多いけど、それをやれるようになりたい。