“カタノサッカーJ1デビューの地”で、もう一段階の踏ん張りを
今季リーグ戦は残り3試合。今節はアウェイで、3連勝中の強豪・鹿島に挑む。J1残留争いが佳境を迎えるいま、もうひと踏ん張りの時だ。
最後まで望みをつなぐために
最短であれば今節にも下位3チームのJ2降格が確定となる状況だ。残留圏まで勝点5差の大分も今節、鹿島に勝利しなければ、他会場の結果次第でJ1残留の可能性を絶たれることになる。ひとつは、大分が負けあるいは引き分けるとともに、湘南が仙台に、清水が広島に揃って勝利した場合。あるいは大分が負けるとともに、湘南が仙台と引き分け、清水が広島に、徳島がFC東京に揃って勝利した場合。
いずれのケースも他力が絡んでくることになるが、大分が鹿島に勝利すれば、次節以降へと望みはつながる。シンプルに勝利を求めるのみだが、それはそういうシチュエーションには関係なく、これまでもチームが貫いてきた「目の前の一戦で最大値を出し勝利を目指す」という姿勢に変わりない。
鹿島戦では毎回、古巣戦であり弟・健斗との仲良し兄弟対決を楽しみにしている三竿雄斗も「いまはそんなことを言っている状況ではない。いつも以上に平常心で、いつもどおりいいプレーをする」と誓う。残留が懸かった状況だからといって特別なことをするのではなく、今季これまで積み上げてきたものを発揮して勝利を狙うつもりだ。
ACL出場圏内へとラストスパート中の鹿島
残留争い中の大分と立場は大きく違うが、来季のACL出場権を競っている鹿島にとっても、3位・神戸との勝ち点5差を追って負けられない一戦だ。現在3連勝中とラストスパートをかけ、代表活動から帰還した上田綺世も合流済みで、好調の土居聖真とともに先発が予想される。
10月を2勝1分の無敗で乗り切った大分だが、その相手はいずれも4バックシステムのチーム。その後、ミラーゲームだった前々節の福岡には組織を寸断され苦しんで敗れ、前節のG大阪には前半は4バックの相手とのミスマッチを突いて主導権を握ったが後半に枚数を合わせられて逆転負けを喫している。
鹿島も4バックシステムを採用しており、噛み合わせとしては悪くない相性だが、どのポジションにもクオリティーの高い戦力が並ぶ相手に力負けせずに戦う力と賢さが求められる。特にここ2試合はクロスから失点しており、鹿島との対戦にあたってその守備での課題修正は急務だ。攻撃では鹿島のサイドに追いやる守備をどう上回るか。
一度はJ3にまで転落したチームが片野坂知宏監督に率いられ6年ぶりにJ1の舞台へと返り咲いた2019年、その最初の試合はアウェイ鹿島戦だった。シンデレラストーリーで一躍話題となった藤本憲明の2得点で勝利し、大分の復活を鮮烈に印象づけた一戦だ。昨季のアウェイ鹿島戦でも粘り強さを見せ勝利している。
今季はアウェイでの勝率が著しく落ち込んでいるチームだが、ここでビッグなアウェイ2勝目を挙げたいところ。“カタノサッカーJ1デビューの地”で、終戦は迎えさせない。最後に意地を見せて、残留を勝ち取りに行く。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
最近の数試合は鹿島さんらしい戦いが行われている。相馬監督による鹿島の伝統的なサッカー、プレー、戦術で、ひとりひとりがクオリティーを持っている選手がいる。ACL圏内の可能性を残している中で、前節も浦和さんにしっかりと勝って、迷いなくプレーしている。
カシマスタジアムでの試合はいい印象があるが、今回はわれわれだけでなく鹿島さんにとっても負けられない試合。非常に激しい試合になるだろうと予想している。鹿島さんはアグレッシブに戦ってくるので、それを上回って得点するための狙いを表現すること。守備のところでも粘り強く戦うことが大事になる。
いままでもそうだったし、ずっと僕も言ってきたとおり、目の前の試合に勝てるゲームをする。残り3試合でも2試合でも最終戦でも同じ。まずは目の前の鹿島戦に勝つための準備と、日頃のトレーニングからどれだけ高い意識を持ってトライするかが大事になる。残り3試合、どれも簡単に勝てる相手ではないので、とにかく目の前の一戦に、ラストゲームだと思う勢いでチャレンジするしかないと思っている。
■DF 3 三竿雄斗
チームは厳しい状況だが、毎日の練習の中でお互い要求しあって次の試合に向け勝つための準備をしている。まだまだみんなJ1残留を諦めていない。昨季のアウェイ鹿島戦は前半は相手に攻め込まれたがみんなで体を張って無失点で乗り切り、後半にいい戦いが出来た。まずは先制点が大事。取れれば残りの時間、いいイメージでプレーできると思う。
シーズン終盤の鹿島さんは勝負強いイメージがあるし、来季のACL出場権獲得のチャンスがある中で高いモチベーションで戦ってくると思うので、厳しい戦いにはなると思う。だが、こちらも2年連続アウェイ鹿島で勝てているので、悪いイメージはない。
残り3試合、残留がかかっている中で、特別なことをいまからすることはなく、やるべきことは変わらない。いままでやってきたことを信じて自分のプレーに集中し、今季自分たちが積み上げてきたものを発揮する。いままで以上に気持ちを入れて戦わなくてはならないのもあるが、個人的には特別いいことをしてやろうとか気持ちを入れてやったとしてもいいプレーが出来るとは自分は思わない。自分のやるべきこと、持っているものを出して、ひとつひとつのプレーを全力でやるだけ。いままで以上に平常心で臨みたい。