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今節の見どころ

今季最後の連戦の1戦目は九州ダービー。J1残留を決めた福岡に意地を見せろ

 

10月のリーグ戦を無敗で勝点を積み、天皇杯でもベスト4に勝ち上がって上り調子のチームが、激しい残留争いの中、今季最後の連戦に挑む。その1戦目は福岡との九州ダービーだ。

 

上り調子のいま、必ず勝点を積みに行く

今季の過密日程を終えた9月以降は、3勝2分1敗。10月は無敗の2勝1分と、これまでとは見違えるペースで勝点を積めている。残留争い直接対決のひとつだった前節の徳島戦では、セットプレーから先制されたが追撃のギアアップも機能して失点から10分後に追いつくと、アウェイで貴重な勝点1を手にした。
 
そこからアウェイ連戦となった天皇杯準々決勝・磐田戦にも2-0で勝利。相手も連戦の中でメンバーをターンオーバーしていたとはいえ、複数得点無失点で勝ち上がれたことで勢いは増した。クラブ初のベスト4進出に、チームを取り巻く周囲の士気も高まっている。
 
公式戦7試合で2失点と安定した守備が光る。「シーズンを通していろんなことを試した中で、前から連動して守備をしたり、みんなでブロックを作って耐えるところは耐えたりといった自分たちの落ち着きどころのバランスがよくなっている」と下田北斗。ビッグセーブを連発してチームの危機を救う守護神・高木駿の好調ぶりが大きい。前節の徳島戦で試したエンリケ・トレヴィザンとペレイラの“ブラジリアン2CB”や天皇杯・磐田戦でのペレイラの最終ラインでのフル出場など、守備のオプション増も、今後、強力な攻撃陣を擁する相手との対戦に向けて心強い材料だ。
 

J1残留を決め新たなチャレンジ中の福岡

今季J1昇格組の福岡は前々節、神戸戦には0-1で敗れたが、他会場の結果をもってJ1残留が決定。2001年以来、5年に1度J1昇格しては1年でJ2に逆戻りすることを繰り返していたが、今季はその「5年周期」のジンクスを破り、来季J1で戦う権利を手に入れた。10月29日には長谷部茂利監督の来季続投も発表されている。
 
その流れを受けて、来季に向けての準備に早速着手するように、前節の札幌戦はこれまでの4-4-2とは異なる3-4-2-1でミラーゲームを仕掛けた。球際激しくぶつかり合った試合はいずれも決め手を欠いてスコアレスドローに終わったが、勝点1を積んだ福岡は今季目標の「勝点50」まであと「3」と迫り、今節勝利すればそこに到達する状態となった。
 
片野坂知宏監督は「おそらく今節も札幌と同じシステムのわれわれに対してミラーゲームで来るのではないか」と、福岡の動向を読む。そうなればマッチアップする個々のパワーバランスが戦況に反映しやすくなるが、下田は「僕も含めて個人個人の能力が足りないところがあった。もっと目の前の相手に勝たなくてはならないし、相手を上回らなくては勝てない。だが、最近は個々のところを組織でカバーすることが出来てきた」とも話しており、タレント揃いの福岡に対して個でも組織でも上回る準備は万端だ。
 
混戦模様の残留争いを勝ち抜くために、いまは何よりも勝利が必要。中3日で連戦となるホームでの次節・G大阪戦に向けても弾みをつけ、勝点を積んでいきたい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
天皇杯も勝ち上がることが出来たし、リーグ戦でも勝点を積み上げていることで、選手も自信をもって残りのゲームに挑んでいけるよう準備できている。集中してトレーニングできているので、いい雰囲気で福岡戦を迎えられると思う。
 
福岡さんは前節の札幌戦で3バックを試されていた。J1残留を決められて、長谷部監督の続投も発表され、来季に向けてのオプション含め戦術の幅を広げるような戦いをされてくるのかなと。われわれも札幌と同じシステムなので、またミラーゲームでマッチアップさせてくるのではないかと思う。前回対戦時とはまた違ってくる。
 
長谷部監督は戦うチーム、隙のないチームを作ってくる。堅守速攻はパワーがありつねに狙っていて、4バックでも3バックでもその戦い方自体は変わらず、いい守備からいい攻撃につなげられる。守備も堅く、全員がハードワークするので、その守備をなんとかこじ開けなくては勝点3は取れない。どういったかたちで得点するか、また90分のマネジメントも考えながら戦いたい。先発の11人だけでなく18人が共通意識をもってパワーを出せるよう準備しなくてはならない。一筋縄ではいかない厳しい戦いいなるだろうと覚悟している。
 
■MF 11 下田北斗
 
いまはみんなでいいコミュニケーションを取りながら試合に臨めていて、チーム状態は良好。みんなが自分のやるべきことをしっかりやれている中で、失点が減っているのがゲームが安定している要因かと思う。
 
福岡は、前回対戦したときのイメージでは前線に外国籍選手もいてパワフルなイメージがある。そういったところでもしっかり負けないようにしなくてはならない。なかなか勝てない中で勝てた相手なのでいいイメージはあるが、自分たちも相手も当時とは状況が変わっているので、同じように行くとは思っていない。チャレンジャーとして気を引き締め戦っていきたい。
 
いま僕たちは悪い流れではなく、シーズンの中ではいい流れで来れている。そこは変えてはならない。相手云々というよりも自分たちの良さを出していく。その中で相手対策もするが、ベースはブレずに戦っていく。