相手はアウェイ連戦の1戦目。手応えを感じる戦いに細部のクオリティーを上げて臨む
チームの成熟度が高まっている様子が、一戦ごとに見て取れるここ3試合。9月の1勝1分1敗を、10月はさらに勝点の積める試合へとつなげていきたい。
もう一段階高めて手応えを勝点につなげる
9月のリーグ戦3試合は1勝1分1敗。中断期間明けの第28節・湘南戦で7試合ぶりの勝利を挙げ、第29節・鳥栖ではスコアレスドローで勝点1を得て、アウェイ連敗を12でストップした。ただ、勝点を積んだその2戦はシュート数がそれぞれ3本と1本。守備の粘りは光ったが、勝点3を取るためには得点機の少なさが課題となっていた。
それを克服するように、前節の名古屋戦では積極的に攻める姿勢を表現。シャドーの位置で先発した長沢駿をターゲットに前線への配球を増やした。長沢へのサポートが不足して攻撃でのコンビネーションが上手く繰り出せず、試合の中で徐々に修正しながら流れを手繰り寄せると、終盤には相手を押し込んで激しく追撃したが、名古屋の堅守は敗れず、3試合ぶり黒星という結果に終わった。
戦術浸透や選手同士の相互理解が進んでいる手応えは、内容から存分に感じられる試合だった。それだけになんとしても勝点に結びつけたかったところ。今週、囲み取材に応じた長沢は、フィニッシャーとしての自身の責任についてシビアに言及した。
片野坂知宏監督も、トレーニングでの選手たちの意識の高まりを感じている。コーチ陣が提示した戦術に対し、選手間での具体的なすり合わせが増えているようだという。「残り8試合すべてを決勝戦のつもりで」と話す下田北斗もインタビューで「出場する選手のそれぞれの得意なことをゲームでより多く出せるようなシチュエーションに持っていきたい」と話した。
規律を持って戦っている新体制のC大阪
残り8試合のうちには、17位の徳島、18位の仙台、20位の横浜FCと現在降格圏で足掻いているチームに加え、いまだ安泰とは言えない13位・G大阪に14位・柏との直接対決も控えている。これら6ポイントマッチでは絶対に勝点を落とせない。
そんなラストスパートで右肩上がりに駆け抜けるためにも、今節のC大阪戦は重要な一戦だ。C大阪は、今季から指揮を執っていたレヴィー・クルピ監督が8月26日付で退任し、小菊昭雄監督体制となって1ヶ月。初陣の第27節・G大阪戦に1-0で勝利して大阪ダービーを制すると、続くYBCルヴァンカップ準々決勝でもG大阪と対戦。ホームでの第1戦には0-1で敗れたが、アウェイでの第2戦に4-0で圧勝して準決勝へと駒を進めた。
その後のリーグ戦は2勝3敗という戦績だが、個々の能力が高く粒揃いの戦力を組織的に生かして好ゲームを繰り広げている印象だ。片野坂監督も「監督が代わられてからは戦術のところでも規律を持って、C大阪さんらしい戦いで、選手も迷わずプレーしている」と警戒する。
さらに厄介なのはC大阪が今節の3日後に、ルヴァンカップ準決勝・浦和戦の第1戦を控えている点だ。昭和電工ドーム大分から中2日で埼玉スタジアムへと移動をともなうアウェイ連戦で、戦力のターンオーバーも予想される中、大分戦にどういうメンバーで臨んでくるかが予想しづらい。片野坂監督はそれも含めて「しっかり準備したい」と戦いを見据えた。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督コメント
名古屋戦でわれわれが準備してきたことを選手もよく表現してくれて、0-1での敗戦にはなったが、内容的に勝点を取れるゲームだったと思う。チャンスを作ることも出来ていたし、いいゲームをしていた手応えがある。ただ、結局負けて勝点を取れていないので、いいゲームをしたというだけで終わらず、それを勝点につながるようにしていかなくてはならない。
名古屋戦で何故勝点につながらなかったかというところを、選手は真摯に自分に矢印を向け、反省しつつ次のゲームに生かすために今後への課題に向き合い、トレーニングでもチャレンジする姿勢を見せてくれている。それは非常に大事。勝つためにもう一段階、クオリティーや強度、ひとりひとりのこだわりの部分でレベルを上げていかなくてはならない。それをチャレンジできるような形で共有し、その準備や思いが今節のC大阪戦で上手く表現されればと思う。
名古屋戦同様、C大阪戦に向けても攻撃と守備の狙いがあるので、今週それをしっかりと、ある程度の基準を設けた中で徹底する。それを信じ、それに対して質と強度をどれだけ上げられるか。名古屋戦でも狙いどおりにチャンスが作れたということは、選手の意識が共有され、しっかり意思疎通できたということだと思うので、そういった狙いの中でC大阪戦でもいい準備をして、得点を挙げ勝点3を取れるようにしたい。
C大阪さんがどういうふうにリーグ戦とルヴァンカップのマネジメントをされてくるか。また、怪我人などわからない部分がある。監督が代わられてからは戦術のところでも規律を持ってC大阪さんらしい戦いで、選手も迷わずプレーしている印象。簡単に勝てる相手ではないと思うが、相手のメンバー選考や出方を含め、こちらもしっかり準備して相手を上回れるよう準備したい。
■FW 20 長沢駿
前節は最後までチームで押し込む状態が長く続き、最近はそういう時間帯も作れていなかった中で、チャンスも作れていた。そこで僕が決め切れるかどうかがいちばん重要。やはり点を取らないと試合には勝てないので、毎試合、責任を感じながらプレーしている。
残り8試合、全試合に勝つしかない状況だと思っている。選手間でもそういう声が出ているし、試合や練習に臨む態度にも表れている。勝ちたい気持ちを前面に出しつつ、それぞれが自分の中でこだわっていく部分を、これまで以上に出していかなくてはならない。そういう部分は練習で出来るようにしていかなくては試合で出ないと思うので、1日1日の練習が大事。
C大阪は監督が替わって難しい状況だと思うが、やることはブレずに戦えているチームだと思う。ベテランの大久保選手がいたり、ちゃんとまとめられる、そして仕留められる選手がいる。後ろにも安定した選手が多い。なかなか手強い相手だが、そういう相手をこじ開けて勝ちに行かなくてはならない。攻め続け、やり続けることによって相手が崩れてくれば、1試合のうちにチャンスも訪れるのでそこで決めきることが大事。先制点が重要になる。