迫力あふれるカウンターを抑えつつ、堅守を大胆に攻略せよ
2009年以来の豊田スタジアムでの試合。ACLやルヴァンカップを勝ち上がりながらリーグ戦でも結果を出している好調・名古屋に、全力で挑む一戦だ。
結果の出た直近2戦とは異なる準備が必要
中断明け後のJ1第28節H湘南戦は、先発メンバーを大幅に入れ替え、最近はリーグ戦に絡んでいなかった戦力が躍動して2-0勝利。続く第29節A鳥栖戦も湘南戦と同じ先発メンバーで戦い、スコアレスドローで勝点1を積んだ。
2試合とも、立ち上がりから一体感のあるアグレッシブな守備で粘り、勝負どころで疲労した選手を交代し、攻撃のギアを上げるゲームプランがハマった形だ。また、鳥栖戦では相手の巧みなポゼッションを受けて前半途中から守備のやり方を変更したが、そこでも意識がバラバラになることはなく、組織として戦術理解が高まっていることが感じられた。
この手応えを今後につなげていきたいところ。ただ、湘南と鳥栖はいずれも同じ3-5-2システムで、守備も前線からプレスをかけてくるやり方だったが、今節の名古屋は4バックシステムで、しっかりとブロックを構えた中で球際強く潰すスタイル。これを攻略するためには、直近の2戦とはまた異なる準備を施す必要があると、片野坂知宏監督は話した。
今週もポジション争いは熾烈で、いい意味での緊張感あふれるトレーニングが出来ているようだ。「トレーニングしていても誰がメンバー入りするかわからない」と選手たちは口を揃える。
名古屋は公式戦14連戦の14戦目
ACLやルヴァンカップ、天皇杯を含めての過密日程をこなしている名古屋にとって、今節は公式戦14連戦の14戦目。最長でも中4日というタフな連戦で、戦力をやりくりしながら戦っており、ときにはトレーニングでじっくり落とし込む余裕のなかったやり方で実戦に臨むこともあるように見受けられたが、それでも個々の能力の高いプレーヤーが明確な目的意識をもって戦うことで、8月15日以降無敗という結果がついてきている。今節が終わればひさしぶりに1週間のブランクとなるため、残る力を出し切ってくることだろう。
首位・川崎Fに次いで失点の少ない堅守を、どう攻略するかは大きな課題だ。大分としては勝点を積めているここ2試合も、湘南戦は3本、鳥栖戦は1本とシュート数の少なさが気になる。2試合ともにチームとしての狙いは遂行できているのだが、フィニッシュの場面でもっと大胆さと思い切りを求めたいと指揮官は言った。
浮上のために必要な勝点3を得るためには攻撃がクローズアップされるが、名古屋は前線に強烈なタレントたちが居並び、迫力とスピード感あふれるカウンターを仕掛けてくるため、守備も疎かにすることは出来ない。前線だけで点の取れる選手たちが攻めてくる名古屋に押し込まれてラインが下がれば、攻撃もままならなくなる。相手の攻撃時間を削るためのポゼッションも必要になるし、リスクマネジメントも欠かせないが、それが消極的な姿勢へと裏返ってしまうことは避けたい。
非常に難しい相手だが、こちらも1週間かけてしっかり準備を施した。今節は、2009年J1開幕戦以来の豊田スタジアム。目指すところは明確で、とにかく勝点を得るために、一丸となって戦うのみだ。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
名古屋さんは守備が非常に堅い。ブロックを作る中で個々が球際などで隙なく守り、そこからの速い攻撃。名古屋さんには一人で運べ、一人で剥がせ、決定力のあるストライカーがいる。カウンターは鋭く迫力がある。そこで得点、もしくはセットプレーに持ち込んでの得点をして、あとは守り切るサッカーをされている。ACLで勝ち上がっている強さも、そういうところが表れているのかと思う。
名古屋さんも連戦の中でどういうメンバーで来るかわからないが、ホームで勝点3を取りにくると思う。フレッシュなメンバーを使ってきたとしても能力の高い選手がたくさん揃っている選手層の厚いチームなので、粘り強く戦い、名古屋さんのやりたいことに対して想定内の中で対応すること、リスク管理しつつ攻撃をやりきれるかどうか。出来れば0-0の状態を長く続け、先制点を取ることが出来れば試合を有利に運ぶことが出来るかと思う。ただ、前がかりになると相手のカウンターも脅威。バランスを取って集中を切らさず90分しっかりとマネジメントして戦わなくては、勝点3もしくは1さえも取れないゲームになるといけない。
■DF 41 刀根亮輔
今季アウェイで12連敗していた中で前節は勝点1が取れたことはポジティブに捉えたいが、この順位にいることを考えると勝点3が欲しかった。ただ、試合内容がよくなかったので御の字かなと思う。崩された場面もあったが、全員で守備意識を高く持って戦った。無失点で終われば最低でも勝点1は取れる。GK含めDF陣の自信にはつながった。
名古屋は堅守で無失点試合が多い。前線には一人で打開できる選手が揃っていて、守備も攻撃も強力。名古屋の攻撃に対して、こちらは組織で戦っているので、1対1で粘り強く守り、サポートに入る味方と数的優位を作る状況に持っていくことが大事になる。
1年間お世話になった古巣との対戦だが、いまはそういうことを気にしている状況ではない。もう一試合も落とせず、最低でも勝点1を拾わなくてはならないが、自分たちに必要なのは勝点3。死にものぐるいで取りにいかなくてはならないことは、選手全員がわかっている。