TORITENトリテン

今節の見どころ

5連戦の3戦目は前線の多彩さが魅力を倍増させているミシャサッカーとの対峙

 

才気あふれる機動性や長身から繰り出す豪快さなど、バラエティー豊かな攻撃陣を使い分けて試合の流れを引き寄せる札幌。こちらも負けじと攻める姿勢を貫きたい。

 

取り戻した攻撃性を存分に発揮したい

中2日でのアウェイ連戦を終え、ここも中2日でのホームゲーム。ここからの3戦は札幌、神戸、広島とそれぞれに難しい相手が続き、今回の5連戦の心臓破りの坂となる。
 
このタフな日程を乗り切るために、18日の天皇杯ラウンド16・群馬戦では大幅なターンオーバーを敢行し、屋敷優成を含む2種登録選手5人をメンバー入りさせるマネジメント。急造チームで修正を施しながら戦い、勝負どころで投入した小出悠太と小林成豪がきっちりと結果を出して、延長戦にまでもつれ込みはしたが、準々決勝へと駒を進めた。
 
多湿による消耗戦だったため、群馬戦に長時間出場したメンバーの今節の出場は難しいだろうが、その間、天皇杯メンバーとして登録できなかった4人の新戦力をはじめとする他の選手たちは、負傷さえしていなければ大分で鋭気を養っていたはずだ。15日に行われた前節の横浜FM戦もタフなゲームで、終盤は疲弊して相手の高い攻撃力の前に失点を重ねたが、そこから心身ともに回復してくれていることを願う。
 
その横浜FM戦では、いつもの3-4-2-1の立ち位置をずらすような4-2-3-1の形を取り、立ち上がりから全開で、プレッシングからのショートカウンターを狙った。それがこの試合で懸けた勝負どころだったのだが、そこで決定機を仕留め切れず、一度はセットプレーで追いついたのだが、その後にミスからもったいない失点を重ねて相手に流れを明け渡してしまった。
 
ただ、これまで消極的に傾きがちだったチームがアグレッシブさを回復したことには、今後への可能性が感じられた。片野坂知宏監督も、その姿勢は継続する意向を表明している。
 
「川崎F戦、横浜FM戦と、いまJリーグでいちばん強い、1位・2位の相手に対して、結果は出ていないにしろ、自分たちが攻撃にしても守備にしてもチャレンジしたところは、非常にポジティブだったと思う。特に横浜FM戦では大敗したが、ああいうチームに対しても思い切って引かずにチャレンジし、その中で勝点を取っていくことが、われわれが目標を達成するためには大事になってくる」
 

起点となる福森も、前線のタレントも要警戒

今節の相手・札幌とは毎回、3-4-2-1同士のミラーゲーム。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督と、広島のコーチ時代にその薫陶を受けた片野坂監督との師弟対決だ。かつて同じ源流だった“ミシャ式”と“カタノサッカー”はその後、互いにその攻撃的志向は維持しながら、時を追ってそれぞれにバージョンアップを繰り返して現在は別々の姿になった。とはいえ共通点もあれば、相互に手の内を知っている感触もあり、その駆け引きも試合を面白くしている。
 
札幌は調子を落とすことなく現在8位。前々節の浦和戦、前節のFC東京戦と連勝中で、いずれもインテンシティーの高いゲームを見事に制した。今夏の北海道は東京より厳しい暑さを記録したが、今週は肌寒い日が多く、そういった影響がどう出るか。20日現在、大分市の21日18時の予想気温は28度超となっている。
 
シーズン序盤にはやや苦しんだ時期もあったが連係が高まるにつれて調子を上げ、夏の補強も最小限に留めた札幌。新戦力であるスロベニア人FWのミラン・トゥチッチはまだ合流していない。札幌でのペトロヴィッチ監督は都倉賢やジェイ、アンデルソン・ロペスら長身ストライカーの長所を生かして広島や浦和時代とは異なる攻撃を見せていたが、今季は才気あふれる大卒ルーキーの小柏剛、個人技で勢いをもたらす金子拓郎ら機動力の高いプレーヤーが、ペトロヴィッチ監督のクリエイティビティーを存分に体現している印象だ。福森晃斗からの高精度フィードがひとたび彼らにいい形で入れば、一気に手がつけられなくなる場面が多く見られる。
 
札幌は天皇杯を3回戦で敗退しているため、前節のFC東京戦からたっぷり1週間の準備期間を経てのアウェイ戦。キム・ミンテが名古屋へと期限付き移籍し、今節は宮澤裕樹が出場停止だが、代わりに好調の田中駿汰がリベロ、右CBに岡村大八が入る可能性が高いと見られる。今季初の3連勝を懸ける札幌に、前回対戦とは違うところを見せつけたい。