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今節の見どころ

リーグ再開。今季無敗の昨季王者を前に、チームの成長を確かめたい

 

中盤のメンバー構成が変わる可能性も見える川崎F。こちらも新戦力を加え、戦い方の幅を広げて昨季王者に挑む。

 

取りこぼさずに勝点を積み上げたい

東京五輪が閉幕し、いよいよ本格的にリーグが再開する。中断明け最初の試合はホーム戦。今季も首位をひた走る昨季王者・川崎Fを迎え撃つ。
 
約1ヶ月の中断期間のちょうど真ん中あたりに、延期となっていた第3節・G大阪戦を戦ったチーム。丁寧な戦いぶりで試合に入り先制には成功したが、その後に相手の圧を受け、痛恨の逆転負けを喫した。勢いを得たG大阪は怒涛の連戦の中、札幌と仙台にも勝ち3連勝。横浜FMには競り負けたが、ようやく22試合を消化して13位にまで急浮上した。
 
現在、降格圏にいるのは最下位の横浜FC(勝点11)、19位・大分(同16)、18位・仙台(同17)、17位・徳島(同20)。その上も16位・柏(同20)、15位・湘南(同21)、14位・清水(同23)と勝点差は接近しており、G大阪同様に連勝すれば抜け出せる状況にある。ここから首位の川崎F、2位の横浜FMとの対戦が続くとはなんとも厳しい日程だが、総当たりのリーグ戦であることを忘れず、取りこぼしなく地道に勝点を積んでいく胆力も試されそうだ。
 
夏の移籍期間に、黒﨑隼人、高山薫、福森健太、髙澤優也の4人が期限付きでチームを離れた。加入も4人。すでにG大阪戦で途中出場した呉屋大翔と梅崎司に続き、野嶽惇也と増山朝陽も登録を終えた。やはり巻き返しを期す横浜FCが両ゴール前を主戦場とする外国籍選手5人(うち4人が初来日)を獲得したのとは対照的な補強方針で、これまで積み上げてきた戦術にフィットし即戦力となれる日本人に的を絞り、フィニッシュワークとサイドアタックを強化した形だ。それぞれの選択がどう出るかはシーズン終了時に評価される。1日も早く新戦力を加えた戦い方を浸透させ、勝点へとつなげたい。
 

昨季王者が最後に敗れたのは昭和電工ドーム大分

川崎Fは田中碧のフォルトゥナ・デュッセルドルフへの移籍に続き、三笘薫の海外移籍もほぼ決定的と見られている。東京五輪準決勝スペイン戦ではベンチスタートだったが、ベストコンディションではないと言われつつ、途中出場して1点を挙げている。三笘とともに五輪の舞台で戦った旗手怜央も、帯同するか否かが気になるところ。
 
大島僚太は長期離脱中で、中盤を中心に顔ぶれが大きく変わる可能性があるが、分厚い選手層のどのプレーヤーがピッチに立っても、ブレないスタイルでクオリティーを維持することの出来るのが川崎F。むしろこれまでリーグ戦で出場機会の乏しかった知念慶や小塚和季ら“古巣組”もチャンスを狙って士気を高めていそうだ。古巣と言えば家長昭博も厄介な存在。彼らの攻撃にどう対応するか、チームは緻密な準備を進めているはずだ。
 
昨季から無敗記録を伸ばしている川崎Fだが、最後に敗れたのは昨季J1第28節の大分戦(0●1)。優勝に王手を掛けた一戦だったが、大分が意地を見せてホームスタジアムでの歓喜のセレモニーを阻んだ。昨季3敗しかしていない王者の数少ない黒星のひとつで、大分としては今季もその快挙を遂げたい思いがつのる。
 
ただ、その試合では前半のうちに、野村直輝をエリア内で倒して谷口彰悟が退場。長い時間を数的優位で戦えたことに加え、昨季のチームは完成度も高かった。「昨季とは状況が違いますからね。難しい試合になることは間違いないです。が、川崎Fさん相手に勝利できれば非常に大きい。思い切ってチャレンジして大金星を挙げ、川崎Fさんにとって大分は鬼門だと言わせるくらいに狙っていきたい」と片野坂知宏監督。
 
確かに川崎Fの強さは疑いようのないものだが、こちらも中断期間に新戦力を加え、新たなオプションを得て戦い方の幅を広げている。G大阪戦のように圧を受けてしまえば耐えるのは難しいが、臆せず強度を保って戦えば勝機もうかがえる。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
川崎Fは王者だし、今季も負けなしの強豪。攻撃力があり守備面でも非常に強度がある。隙のないチーム。強い相手だしボールを持たれる時間も多くなると思うが、それは想定した中で、どれだけ粘り強く我慢強く戦えるかが大事。われわれも出来るだけボールを握りたい。得点しなくては勝点3は取れないので、攻撃力のある川崎Fさん相手には得点を多く取らなくては勝点を取るのは難しい。狙いをしっかりと合わせ、ピッチに出ているメンバーが粘り強く戦うことが大事。
 
一体感を持って戦い、自分の最大値を出してやり切ることが大事だと思う。残り試合が少なくなってくればくるほど選手は焦りやプレッシャーを感じると思うが、目の前の試合に向けてしっかり準備し、ピッチにいる11人がコミュニケーションを取って最後まで集中力を切らさず粘り強く戦うこと。それがわれわれがここまで戦えている要因の一つでもあると思うので、それを継続することがいい成果につながる。
 
■FW 33 呉屋大翔
 
大分はボールを大事にするのが良さなのだが、得点するためにはどこかでリスクを負うような攻めのパスが必要。それを引き出すのが自分の役目。そのために周囲とのコミュニケーションが大事だし、よりそこを高められればもっと怖い攻撃を出せるようになると思う。
 
川崎Fは首位を走っていてクオリティーの高い選手が揃っているが、自分たちのやることは変わらない。目の前の相手に負けず相手より多く走るなど、細かいことを全員が出来れば、勝点が取れるゲームに出来る。チームとして出来ることは限られている中で、個人としてどういうものをチームにもたらせるか。僕は特に途中加入なので勝利に貢献したい。残り試合数や勝点のことは考えすぎず、とにかくいまは目の前の相手に対して必死に戦うことが勝点につながってくると思っている。全員がそういうところを意識すれば徐々によくなってくる。
 
川崎Fの時間帯も多くなると思うが、こちらの時間も必ず作れると思うので、その時間帯にいかにゴール前で仕事が出来るか、シュートを打ち切れるか。数少ないチャンスを生かせるようチームとして共通認識を持ち、あとは前線がチャンスを生かすところで個人にかかってくる。集中して臨みたい。
 

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