中断期間の真ん中の敵地戦は+3を譲れない直接対決
五輪による中断期間、2人の新戦力も迎えリフレッシュしたチーム。今節はコロナ禍により延期になっていた第3節のイレギュラーな日程で、直近の第22節H浦和戦から17日間のブランクがあるが、いい流れを継続したい。相手は怒涛の15連戦の4戦目。アウェイでの6ポイントマッチで勝点を積めるか。
新加入2人のもたらす化学変化はいかに
東京五輪による中断期間前最後の試合だった前節・H浦和戦で、チームは攻守に連動した姿を披露し、相手の修正にも対応して1-0で勝利を遂げた。そこに至る天皇杯を挟んだ3連戦はそれぞれ中2日でアウェイ2戦からのホーム戦というタフな日程だったが、総力戦で2勝1敗の勝ち越し。前々節の清水戦で勝点を積めなかったのは残念だったが、チームマネジメントや采配と戦力が噛みあってきた手応えを感じさせる3連戦だった。
遅れて合流したエンリケ ・トレヴィザンとペレイラがフィットしてきたことや、これまで調子を上げきれていなかった選手たちが本領発揮しはじめていることが、それを後押しした。福岡戦で負傷した坂圭祐と清水戦で出場停止だった三竿雄斗の穴を埋めるかたちで出場機会を得た上夷克典も、急激に存在感を増している。開幕戦で負傷して以来なかなか戦線復帰できずにいた野村直輝も、現在は全体練習に合流しているようだ。
そこに加わった呉屋大翔と梅崎司は、今節から出場可能。過去に他チームでも質の高さや経験の豊富さを感じさせていた2人により、チームにどのような化学変化がもたらされるかが楽しみだ。それまでにも、仙台戦に続き浦和戦でも長沢駿を囮にして町田也真人が得点するなど攻撃のコンビネーションは成熟しつつあったが、この中断期間、新たな刺激を得てのパワーアップに期待したい。
片野坂知宏監督もそうだが、長沢と呉屋にとっても今節は古巣戦。長沢は絶不調だった仙台での昨季J1第27節、パナスタでのG大阪戦でハットトリックし、その試合に4-0で勝利して17戦無敗をストップ。その後、チームは徐々に調子を上向けた。経験豊富なストライカーの強い思いが、今節も勝利へと結実することを願う。
相手はたとえ力技でも勝点の取れるタレント揃い
今季は災難続きのG大阪。3月にチーム内に複数の新型コロナウイルス感染者が出たためトップチームの活動停止を余儀なくされ、リーグ戦6試合が延期となった。YBCルヴァンカップやACL、天皇杯も並行しながらスケジュールの合間を縫って未消化試合を戦わなくてはならない中で、5月には宮本恒靖監督が電撃解任。第14節の浦和戦から松波正信監督が指揮を執っている。
徐々に新監督の哲学が根付きはじめている感触もある中で、ウズベキスタンでのACLからの帰国後に再びトップチーム選手2名、スタッフ2名の陽性判定社が出るという災難。負傷者も出ている中、ターンオーバー的に戦力をやりくりしながらカップ戦を含め怒涛の15連戦を戦っている。今節はその4戦目で、ホーム3連戦の3戦目。最初の2戦は神戸と鹿島に敗れているので、今節は何が何でも勝とうとしてくるはずだ。
対戦相手ながら大変な状況だとは思うが、リーグ屈指のタレント軍団はさすがと言える戦いを気丈に続けている。たとえ内容的に相手に上回られていても、勝点を拾う状況に持ち込める両ゴール前のクオリティーと強度が、G大阪にはある。前節の鹿島戦もプレッシングに阻まれて相手ペースとなった中、ゴール前で粘り強く守り、失点後には攻め返してチャンスも築いた。
そこから中2日での今節、どういうメンバーとゲームプランで大分戦に臨むか。片野坂知宏監督は「おそらく3-4-2-1同士になる」と読む。タレント集団とのミラーゲームで力負けしないようにしたい。
強烈な個が並ぶG大阪の攻撃に対し、エンリケが3バックの中央にいることは心強い。相手も状況が変わっているが、こちらも高めているものがある。超連戦のG大阪と、中断期間の中間にぽつりと公式戦のある大分。どちらも難しい状況下で、絶対に負けられない一戦を迎える。大分の底力を見せるときだ。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
非常にフレッシュで集中してG大阪戦に向けてチャレンジしてくれている。選手一人一人も意識高くやれていて雰囲気がいい。浦和戦でいい勝ち方をして中断期間に入れたのが大きい。呉屋と梅崎の新加入選手が入ったことでいい競争をしながら全員が試合に出る準備を重ねている。
呉屋のほうが早く合流したが、呉屋の特長を選手もわかってきているし、呉屋自身も早く大分のサッカーに馴染もうとコミュニケーションを取りながら取り組んでくれている。梅崎は合流して間もないが、やはり古巣だし、知っている選手も何人かいてスムーズ。若い選手にも積極的にコミュニケーションを取ったりして、いいチャレンジをしてくれている。
G大阪さんは連戦での戦い。怪我人も何人か出ているようだし、ACLでコロナに感染した選手も若干名出たようで、大変な中でのゲームになるだろう。ただ、そういう中でも個々の能力の高い選手が揃っているし、松波監督の戦い方がある程度見えてきた部分がある。ACLは残念ながら敗退となったが、リーグ戦では勝点を積み上げていて、この連戦の中でもやりくりしながら勝点を取るゲームを続けている。
われわれはアウェイだが大事な試合。順位が近く残留争いをしている。G大阪さんはわれわれより消化試合数も少ない中で、やはりこちらが勝点を積み上げたい。簡単に勝てる相手ではないし、外国籍選手を含めて選手層が厚いG大阪さんに、狙いを合わせてなんとか勝点の取れるゲームをしたい。前節の浦和戦でよかった流れを、中断はあったが、この1試合にかける思いでぶつけてトライしたい。
G大阪さんは、鹿島戦から中2日でわれわれとの試合なのでメンバーが読みづらいが、ある程度2チームのメンバーを回しながらやりくりされている中で、準備したい。おそらく3-4-2-1同士のマッチアップになるのではないか。それをどういうふうに上回れるかを合わせていきたい。
■FW 20 長沢駿
前節・浦和戦でいい形の守備や攻撃が出来たのでそれを持続させながら、新加入選手とのコンビネーションをみんなで大事にして高めている。頼もしい2人が加入してくれたと思う。ウメさん(梅崎司)はいちばん年長者になった中で練習でもプレーでも違いを見せてくれている。経験豊富で実力のある選手が入ってくるといい刺激をもらえる。呉屋は得点力や攻撃の部分でプラスをもたらしてくれる。彼のストライカーたる部分はチームにいままでなかったもの。この2つは大きな武器になる。
ウメさんはU-19やU-20代表のときに一緒にプレーした、すごく偉大な先輩。こうして同じチームでプレーできるのはすごくうれしい。ウメさんから学ぶことはまだまだたくさんある。呉屋は彼がプロ1年目や2年目の若いときに一緒にプレーしたが、非常に上手くなった。点を取ることに関しては当時から長けていたが、それ以外の部分に関しても経験を積んでレベルアップし、頼もしい選手になっていると、ちょっとした驚きがあった。
G大阪はコロナの影響でなかなか試合が出来ず、上手く波に乗り切れないままACLに行ってハードスケジュールの中で戦い、コンディション的にはかなりキツい部分もあるだろうなと思うが、僕らは順位の近い相手だし、手を抜かずにG大阪を倒しに行くつもりでいる。相手は連戦で誰が出てくるかもまだわからないが、相手がどう出てこようが自分たちのいい部分や、新戦力を迎えて変わったところを見せていければ必ずいい結果に結びつくと信じている。
最後の部分で言えばパト(パトリック)だけでなく(宇佐美)貴史や(倉田)秋もいたり、前線は外国籍選手がいてかなり手強い。誰を抑えなきゃいけないというよりはチームとしてゴールを割らせないようにしていくことが大事になる。どこからでも点を取れるチームなのでかなり手強い相手だと思う。
ヒガシくん(東口順昭)中心に後ろにもタレントが揃っていて、個で守れる選手が多いので、なかなか手強いと思うが、必ずチャンスはあり、そのチャンスをいかに決めきるかが重要になってくる。前節の浦和戦で僕もチャンスを外して悔しい思いをしたので、ゴールを目指していい結果に結びつけられるようにやっていきたい。
■DF 19 上夷克典
暑さは得意なほうなので充実している。むしろ寒い時期に怪我が増えるタイプで、夏のほうが大抵コンディションがいい。みんながキツいときに助けられるよう頑張ります。
新加入選手が入り、呉屋選手や梅崎選手の特長も日々の練習でつかみつつある。さらに連係を高めればもっといい攻撃も出来ると思う。
G大阪は守備が堅い印象で、前線にはパトリック選手ら強烈なFWがいるので先制点が大事になってくる。パトリック選手とは京都時代に練習試合でマッチアップしたことがある。スピードや高さ、強さがあるので自由にやらせないことがカギになると思う。また、宇佐美選手たちには危険なところで受けさせないように前の選手を動かしてパスコースを切るなどしたい。
ここからの巻き返しのためには先制点を与えないことが大事。点を取れればチームとしても勢いづく。必ず先制点を取れるように頑張りたい。