TORITENトリテン

今節の見どころ

中断明け3連戦の初戦は札幌。マンツーマンディフェンスをかいくぐれ

 

チームの基礎部分をあらためて固めたであろう中断期間にどれだけ連係やクオリティーが高まったかを確かめられる3連戦がはじまる。最初の相手はスタイル体現には最も相性の良い札幌だ。

 

スタイル体現の度合いでチームの成熟度を測れる一戦

システムとしてはミラー状態で、ピッチ全域でマンツーマンディフェンスを仕掛けてくる札幌に対しては、後方からビルドアップしながらボールを前進させるこちらのスタイルは、表現しやすいはずだ。逆に言えばそれが上手くいかなければ良いゲームにはなりようがないのだが、チームの標榜するスタイルの戦術浸透度を測るにはうってつけの相手と言える。
 
前節・福岡戦後の中断期間に、チームスタイルをより浸透させ、コンビネーションを高めるために意思疎通を図り、個々の相互理解も深めて、いわばチームの土台を固めるようなトレーニングをすると話していた片野坂知宏監督。ビルドアップで詰まった際の“逃げ方”も選択肢として共有できるようにしたいとのことで、実際に15日に報道陣に公開されたトレーニングでも、ポゼッション練習時にそういう指示が飛んでいた。また、選手たちによると今季は従来以上に球際の強度や出ていくスピードを求められているらしく、そういう意味でも骨太なチームを育てたい意思が見える。
 
札幌の強度の高い、そしてオーガナイズされたマンツーマンディフェンスを、いかにかいくぐってボールを前に運び、フィニッシュの形を演出して仕留めるか。中断期間の収穫を得点へと結実させたい。
 

試合前日にアンロペ離脱発表も5月以降は好調の札幌

深井一希や小柏剛、ジェイら主要メンバーに負傷者が多発していた一方で、荒野拓馬が復帰を果たした札幌だが、18日にはアンデルソン・ロペスが移籍交渉のためすでにチームを離れていることが公式に発表された。今季12ゴールを挙げているチーム得点王の離脱がチームにどういう影響を及ぼすかは気になるところだ。負傷者が復帰してくる可能性もあり、メンバーは読みづらい。
 
開幕戦で横浜FCに大勝した後はやや苦戦気味だったが、4月24日の第11節・仙台戦に勝利すると、5月、6月は3勝2分1敗と勝点を積んだ。敗れた相手は首位の川崎Fで、ある意味「致し方ない」結果だとすれば、戦績としては好調を維持していると言えるだろう。6月13日のルヴァンカップ・プレーオフステージ第2戦でも横浜FMを下してノックアウトステージ進出を決めている。
 
ペトロヴィッチ監督と片野坂監督との師弟対決は、昨季は2引き分けの五分だったが、一昨季は弟子が2勝を挙げている。手の内を知っている弟子に対してもブレずに戦い方を貫くため、これまでの対戦では大抵、大分が札幌のスタイルのウィークポイントを突いて先手を取っていた。だが、選手層の厚い札幌が後半にカードを切って形勢を逆転させて大分を苦しめるのも、何度も繰り返されてきた展開だ。
 
「今回は90分のマネジメントでそうならないように、先制したら勝ち切れるようにしたい」と片野坂監督。そのためにはこちらも選手層に厚みを持たせることが必須で、ゲームプランに幅を持たせておきたい。
 
昨季に続き札幌厚別での試合。天気予報では午後から降水確率40%で夜には雨となっている。雨天での試合となればピッチではイレギュラーな事態も起きそうだ。チームの地力が問われる。
 

試合に向けての監督・選手コメント

札幌さんはルヴァンカップでベスト8に進出して、やっぱり力のあるチーム。移動の大変さもあるがチャレンジして勝点の取れるゲームをしたい。
 
——札幌は怪我人も出ているようだが、どのように見ているか。
 
前線に怪我人が出ているようだし、深井くんも怪我したりしているようだが、治って復帰してくるかもしれないし、どういうメンバーが来るかはわからない。ただ、戦い方はミシャさんのスタイルで、守備も攻撃もしっかりと合わせてやってくると思うし、われわれに対しても強度高く戦ってくると思うので、手強い相手になると思う。
 
——これまでの対戦では札幌の弱点を突いて先手を取り、相手が強度を高めて押し込まれる展開が続いてきた。今回は。
 
そういうふうになって先制点を取って勝ちきれるといいのだが、選手層は札幌さんのほうが厚いし、怪我人の状況がどういうふうになっているかわからないが、外国籍選手を含め個の能力が高いので、これまではそうやって押し込まれたり追いつかれたりという展開になってきた。そうならないように、自分たちも90分のマネジメントで、後半にもギアを上げて勝ち切れる、追いつく、勝ち越せる状況を作っていけるような準備をしたい。
 
■FW 13 伊佐耕平
 
なかなか上手くいかない期間が続いたが、前節の福岡戦で見せたように、全員が必死にボールに喰らいついて戦うことをベースに戦えればと思う。それほど簡単にはいかないと思うが、それをしっかり表現しつつ、僕たちの攻撃の形を出し、一勝一勝、また引き分けでも少しずつ勝点を積み上げて、残留したい。
 
前節勝った勢いを継続しつつ、自分たちがやるべきことに目を向けて、一週間しっかり準備したい。サポーターのみなさんは声が出せない中で苦しいときも拍手で応援していただいているので、そうやっていただいた力をしっかりと結果で返したい。
 
■GK 22 ポープ・ウィリアム
 
僕たちはここからどれだけポイントを取れるか。一試合一試合、目の前の試合でどれだけパワーを出せるかということが続いていく。どのチームとの対戦も厳しいゲームにはなると思うが、自分が勝敗を良いほうに転がせるようなプレーをしたいと思っているし、勝点を取れる選手でありたい。まずは僕が個人的に結果を出せるように。僕で勝ったと言わせられるような試合を出来るよう、突き詰めて一試合一試合を大切に戦っていきたい。
 
札幌は守備のときはマンツーマンでハメに来る。前線に外国籍選手を含めパワーのある選手が多い中で、高さもある。サッカーも似ている部分があるしミラーゲームになる。そういう相手に対して、僕らは普段からしっかり準備しているので、それほど相手どうこうよりも自分たちがやるべきことをしっかりやるという部分が大事になってくる。お互いGKがビルドアップに関わる中で、いまだったら札幌は菅野さんが入ってくる。そういう部分が差をつけるポイントにもなると思うので、僕たちGKの出来がチームの勝敗を左右すると思う。