TORITENトリテン

今節の見どころ

超攻撃的スタイルの相手。立ち位置で先手を取り、押し下げられずに戦いたい

 

中2日でのアウェイ連戦からホームに戻る今節。迎えるのは強豪・横浜FMだ。立ち位置で先手を取り、押し込まれることなく攻め返していきたい。

 

「攻撃が最大の防御」を地で行く横浜FM

ルヴァンカップから中2日でのアウェイ連戦だった前節・仙台戦で敗れたことは、メンタル的にも大きなダメージだった。それでも、リーグ戦は続いていく。中3日での今節と、さらに中3日での次節はホーム連戦だ。今節は強豪・横浜FM、次節は昇格組にして躍進中の福岡との九州ダービー。どちらも手強い相手だが、連敗はなんとしても避けたい。離脱者続出で選手層も薄く、出場メンバーの体力的にも戦術的にも負荷がかかるチーム状態だが、この2戦を乗り切れば、開幕からほぼ途切れずにいた連戦も小休止。力の振り絞りどきだ。
 
横浜FMは現在、8勝4分2敗の勝点28で4位。直近ではリーグ戦2戦未勝利ではあるが、ここまで敗れた相手は開幕の川崎F(0-2)と前々節の鹿島(3-5)のみと、相変わらずの強さを誇っている。自ら攻め続けることで相手に攻めさせないと言わんばかりの攻撃的スタイルは失点数の少なさにもつながっており、ここまで複数失点した試合は、その川崎F戦と鹿島戦、そして第2節の広島戦だけだ。0-0でドローに終わった第9節の仙台戦を含め無失点が7試合と、「攻撃が最大の防御」を見事に体現している。
 
今季は中盤正三角形の4-3-3がスタートの形。バイーアから新加入のエウベルが右WGで躍動し、中盤頂点のマルコス・ジュニオールとのコンビネーションもよく攻撃力を高めている。左WGは昨季途中加入した前田大然。10得点のオナイウ阿道に続く8得点と、今季は数字に残る結果も出して絶好調だ。
 

相手の良さを出させれば大火傷の可能性も

そんな横浜FMを苦しめることが出来たのは、前節の柏。ネルシーニョ監督お得意の、システムを相手に合わせる戦法で持ち前のハードワークを発揮し、粘り強さを見せた。82分に先制してプランどおり勝利をつかんだかと思われたが、4分後に松原健の自らを起点とするゴラッソで追いつかれている。
 
横浜FMのハイライン・ハイプレスを逆手に取ろうと多くのチームが挑み、鹿島はそれで圧倒したが、背後を狙うと言ってもそれがなかなか難しい。チアゴ・マルチンスと畠中槙之輔の2CBの強度は高く、GK高丘陽平のアグレッシブな守備もそれをカバー。中盤では喜田拓也が献身的に立ち回る。単純に放り込んでも攻略は困難で、彼らの隙をどう作るかがカギになるが、とにかくハイプレスに押し下げられることなく敵陣へとボールを運ぶパワーを維持し続けることが必要だ。
 
過去、アンジェ・ポステコグルー監督の横浜FMと片野坂知宏監督の大分との対戦成績は2勝2敗。戦術的相性は決して悪くなく、自らの道を貫くポステコグルー・スタイルへの策を施せば、それはまずまずハマっている印象だ。ポジショニングで先手を取って相手を封じ、少ない好機をものに出来た試合では勝利しているが、そんな試合でも、後半は相手の圧に劣勢を強いられ、ひたすら耐える展開が多かった。
 
直近の対戦は昨季J1第21節、雨の三ツ沢で0-4での敗戦。最初の失点までは粘り強く戦っていたが、負傷から復帰した松原の目の覚めるような恩返し弾で先制された後、バランスを崩して自滅した。横浜FMはそういう相手に容赦なく、今季も3得点の試合を量産。第11節の横浜FC戦には5-0で大勝している。
 
そんなことにならないよう今節も先手を取りたいところだが、そこでネックになるのは活躍中のオナイウ阿道や松原だけでなく、むしろカタノサッカーのビルドアップを知り尽くしている岩田智輝かもしれない。チーム片野坂が講じる“アンジェ封じ”の思考回路も把握しているはずなので、選手同士のピッチ上での駆け引きが重要になりそうだ。