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今節の見どころ

好調の鳥栖との九州ダービー。現在のコントラストを反転させよ

 

昨季までの積み上げが開花して今季好調の鳥栖をホームに迎える九州ダービー。思うように結果の出ていない大分とは対照的だが、その明暗をひっくり返すような試合に期待したい。

 

昨季までの積み上げが開花した好調の鳥栖

屈辱的な敗戦を喫した前節・湘南戦から6日。今節は、昨季最終節にアウェイで対戦して以来のマッチアップとなる鳥栖を、ホームに迎える。
 
鳥栖は辛抱強く浸透させたスタイルが昨季終盤から花開きはじめ、今季は開幕から絶好調。14試合を終えて8勝3分3敗の勝点27で現在4位。開幕3連勝、6戦無敗でスタートダッシュを決めると、4月には3敗を喫したものの、第10節からはまた3連勝、前節も広島とスコアレスドローで4戦無敗となっている。
 
対戦相手によって複数システムを使い分けつつ、変則的なポジショニングで優位性を生み出す戦法。相手を上手く釘付けにしながら誰かがフリーになる状況を作り出すことが非常に上手く、原理原則が徹底されていることがゲームの中でも見えてくる。
 
昨季から2種登録で経験を積んでいる17歳の中野伸哉ら生え抜きの若手たちがハードワークしてアグレッシブなサッカーを展開してきたが、このスタイルをぐっと向上させたのが、昨年10月の朴一圭の加入だ。さらに今季加入の仙頭啓矢もゲームメイクのキーマン。渡邉新太の新潟ユースの後輩・飯野七聖の突破力をはじめ、個々の戦力の特長が組織を輝かせている。
 
相手に攻撃機会を与えないボールポゼッションと整理された激しいプレッシングで、ここまでリーグ最少の5失点。得点は6得点の山下敬大、4得点の林大地とFW陣を中心に19得点を挙げている。
 

重心が低くなると自滅しがち。前からハメたい

ここまでクリーンシートは第12節・清水戦の1試合のみ、総得点8で守備・攻撃ともに課題満載の大分とは、くっきりと明暗が分かれている形の鳥栖。昨季までの積み上げの多さやチーム状態を踏まえるとどうしても分が悪いが、このコントラストを感じさせない戦いぶりが勝機につながると見る。
 
志向としてはボールを握りたい同士で、真っ向勝負で主導権争いに挑みたいが、試合の中で相手のほうが力量的に上回ることが明確になれば、割り切った戦法も有効に使いたい。試合中にもさまざまに変化してくる相手に対し、いかにこちらのストロングポイントを出し続けるかが問われる一戦だ。
 
これまで劣勢となった試合での課題は、布陣の重心の低さ。失点しないようリスク管理する意識が消極的なプレーへと転じ、相手に勢いを与えて守りきれず、こちらはゴールが遠く攻めきれない状態へと陥りがちだった。
 
昨季まではハイプレスの相手を引き込んでその背後を使う手を有効活用していた松本怜が、今季の良くない試合では相手を引き込むポジショニングを取るとそこからなかなか出ていけていない。松本は「自陣の深い位置で回していても僕の位置までボールが入らずそこで奪われたり、苦し紛れに前に出して取られる部分が多かったので、自分が関われる部分がかなり少なかった。浦和戦やその前くらいからボールが入りはじめて、裏に抜ける場面も増えてきていた。僕がいかに高い位置でもらえるかが重要だし、湘南戦はサイドにもうちょっと人数をかけられたらよかった」と分析する。
 
最近は町田也真人との連係で右サイドでの好機を増やしている松本だが、鳥栖の左サイドに今節、誰が出てくるか。最近は小屋松知哉と中野伸の組み合わせに仙頭が絡む形が多い。一方で樋口雄太がスペースを空け、飯野が突破する組み合わせが強烈な逆サイドに、大分は誰をぶつけるか。
 
試合前日に県内の感染者数がついに100人超となったコロナ禍下での九州ダービー。入場制限もあり、通常とは異なる様相のスタジアムにはなるだろうが、ピッチとスタンドが呼応して盛り上がる熱戦に期待したい。