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今節の見どころ

“永遠の誇り”を乗り越えて苦境を脱出せよ。西川周作からゴールを奪え!

 

6連敗中のチームが乗り込むのは、苦手のリカルド・ロドリゲス監督率いる浦和のホームスタジアム。ゴールマウスを守るのは、われらが誇りでもある西川周作だ。苦境を乗り越えるには最高のシチュエーションではないか。

 

バランスを取りながらも主導権を手繰り寄せたい

新型コロナウイルス禍は収まるどころか変異種が猛威を振るいはじめ、大分県内でも複数のクラスターが発生する事態となっている。23日から24日にかけて東京五輪の聖火リレーが県内各地を巡る中、チームはアウェイの地へと出発した。
 
リーグ戦6連敗と苦しい状況に陥っている現在。前節と今節の間、ミッドウィークに開催されたYBCルヴァンカップGS第3節のFC東京戦では、ここまでリーグ戦でなかなかチャンスを得られずにいたメンバーが出場し、ひさしぶりに前後半を通じてゴール前に攻め込む場面の多いゲームを披露した。ここ最近のリーグ戦では構えて守ることが多かった中で、この試合では藤本一輝と屋敷優成の2シャドーが積極的にプレッシング。これにより高い位置でボールを奪ってショートカウンターにつなげた場面もあった。
 
ただ、それもプレスに出た背後のスペースケアをチーム内で徹底していたから出来たことだと片野坂知宏監督は話す。アグレッシブな守備はプレーに勢いを与えるが、無闇に前から行くことで生じるリスクも大きい。FC東京の長谷川健太監督も前半の試合展開を引き締めるように、ハーフタイムには中盤の選手たちに攻守のバランスを考えてプレーするようにと指示を出していた。
 
それから中3日の今節はまたメンバーが替わり、もちろん相手も違う。どういう守備と攻撃の狙いを持って臨むかは当然変わってくるが、大事なのはピッチに立つ11人が狙いを合わせてプレーすること。そしてゲームの流れを読み繊細にバランスを取りながら主導権を手繰り寄せていくことだ。
 

リカ将の哲学が結果に結びつきはじめた浦和

連敗ストップを期して乗り込むのは、現在4勝2分4敗の勝点14で10位の浦和が待つ埼玉スタジアム2002。今季から指揮を執る敵将は、J2時代に徳島でわれわれをさんざん苦しめたスペイン人監督、リカルド・ロドリゲスだ。リカ将の率いる徳島との対戦成績は4戦4敗。相性は非常に悪かった。
 
今季は戦場を移し、浦和にその哲学を植えつけているところ。開幕からしばらくはなかなか結果が出ず、横浜FMに3失点、川崎Fに5失点と大量失点した試合もあったが、第7節に鹿島に2-1で勝利すると続いて清水に2-0、指揮官の古巣・徳島に1-0と3連勝。前節はC大阪に0-1で敗れたが、試合をコントロールしていたのは浦和だと感じられる内容だった。
 
新監督の戦術が着実に浸透しつつあり結果という手応えに繋がってきた時期で、チームとしてもメンタル的に充実しているだろう。興梠慎三も昨季最終節に負った右腓骨筋腱脱臼から戦線復帰し、徐々にコンディションを上げつつある。ルヴァンカップ横浜FC戦には阿部勇樹も出場し、汰木康也や田中達也らがひさびさに躍動して杉本健勇が2ゴールするなど、チーム状態は上り調子のようだ。
 
選手層が厚くなってきたところで、敵将がどういうプランで大分に臨むか。システムは4-2-3-1を中心に4-4-2や4-1-4-1を使い分けており、武藤雄樹や西大伍が存在感を発揮している。
 
チーム状態だけを比較しても難しい相手であることに間違いはないが、こちらはとにかく連敗と連続無得点をストップさせたい“窮鼠”状態だ。なんとしても得点を奪いたい。
 
その相手のゴール前に立ちはだかるのは、17年前に大分でデビューし、日本代表守護神にまで上り詰めた西川周作だ。前節のC大阪戦でリーグ通算500試合出場という輝かしい記録を達成している。
 
大分にとっては永遠の誇りであると同時に、乗り越えなくてはならない過去でもある。この苦境で立ち向かう壁として、最高の相手、最高のシチュエーションではないか。